年俸制とは【採用するメリットやデメリット、注意点についてわかりやすく解説します】

記事更新日:2023年10月17日 初回公開日:2023年10月17日

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日本にある企業の殆どが、年齢や勤続年数を元に基本給を設定し手当などを加算して支払う月給制を導入しています。更にボーナスを導入している企業では、月給とは別にボーナスの支払いを行い合計したものを年収として扱っています。しかし月給制では事前に貰える金額がいくらなのかがはっきりしていない為、その年が終わってからでない限り年収がいくらか把握することは出来ません。月給制の導入が多い日本で年俸制はスポーツ選手でしか耳にしたことがない人もいるはずです。今回は年俸制について解説していきますので、経営者の方は参考にしてみてください。

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年俸制とは

1年単位で給与を支払う給与体制

年俸制とは、1年単位で給与を支払う給与体制です。年俸制の定義は、労働時間に関係なく、労働者の成果・業績に応じて賃金額を決定しようとする賃金制度を指します。年俸制で受け取る金額は、昨年までの企業の業績や個人の経歴・スキルや企業への貢献度をベースとしており、1年間で受け取れる金額は契約開始・更新時に提示されます。年俸の支給を行う際には、労働基準法によって月に1回以上と決められています。支払い方は企業によって異なります。

月謝制との違い

年俸制は1年の給与を事前に決定しその金額を分割して支払う事から、成果主義を導入している企業が多く導入しています。月給制では社員の勤続年数や年齢を考慮して毎月の基本給や手当を考慮し、給与を払っている制度です。毎月給与を支払うという点においては、年俸制と月給制は同じです。しかし年俸制が事前に決めた年収を年単位で支払うのに対して、月給制は月単位で給与の額を決定します。月給制は毎月変動することがあるので、1年に支払う額が決まっていません。

日給制との違い

年俸制に関しては、月給制との比較で先述しました。日給制は1日単位で給与の支払う額を決めておき、その額に実際に出勤した日数を計算し支給を行います。年俸制は取り決めを行った年俸額を月割りで毎月支給を行い、日給制は1日当たりの給与支払額が決まっており出勤日数を掛けるため、算出方法が異なります。年俸制は事前に支払う金額が決まっているのに対して、日給制は勤務日数によって月で支払う額が異なることから年間で支払う額も流動的になります。

年俸制が増加する背景

成果主義を採用する企業が増えている

年俸制が増加している背景には、成果主義を採用する企業が増えている事が考えられます。海外では、日本のように終身雇用制が定着しておらず個人の業績や成果に応じて給与を決める事が一般的です。日本ではあまり年俸制が定着していませんでしたが、スポーツのような成果を求められる職種には年俸制が導入されています。従来では、終身雇用制により月給制が一般的でした。しかし昨今では日本でもグローバル化が進んでいることから、年俸制を取り入れる企業が増えてきています。

年俸制に向いている人

個人主義的な志向がある人

年俸制に向いている人は、個人主義的な思考がある人です。自分の成果を正当に評価してほしいと考えている人や、成果を上げて大幅に年収を上げたいと考えている人にとって、年俸制は最適な方法です。また実力を評価してほしいと考えている人だけでなく、年間の収入額の見通しを立ててライフプランを考えておきたいという人にも向いています。年俸制を導入している企業全てが、成果主義であるとは限りませんが個人主義的な考えを持っている人は年俸制がおすすめといえます。

年俸制のメリット

給与の見通しがつきやすい

年俸制のメリットは、給与の見通しがつきやすい点です。年俸制は月給制と違い、1年を通して受け取ることの出来る額が決まっています。前もって受け取られる金額が決まっており企業の業績に左右されることもないため、大きな買い物やローンなどが組みやすくなり返済計画について計算しやすくなります。月給制では、月によって金額が変わり金額が決まっていないため見通しが立て辛くなってしまう事から、見通しを付けやすいという点が年俸制のメリットの一つです。

給与の大幅なアップが期待できる

年俸制は、給与の大幅なアップが期待できるメリットがあります。月給制を導入している企業では、年功序列や終身雇用制を大切にしている場合が多く、入社したばかりの人が給与を上げる事は簡単ではありません。しかし年俸制を導入している企業では、年齢や勤続年数に関係なく能力や成果で給料を上げることが出来る可能性があります。実力や成果に見合った評価を行う土壌がある為、年俸制導入の企業では自分の努力次第で年収アップを目指せる環境があります。

急な減給がない

年俸制は急な減給がないのもメリットの一つです。年俸制は1年で支払う額を事前に決めている為、取り決め後は決まった額から下がることはありません。もし企業の業績や社員が十分に成果を出していない場合でも、企業側が勝手に下げる事は出来ません。月給制では企業の業績が悪化した場合や社員が成果を出せていない場合は、直接給料に反映されてしまう可能性もあります。翌年の評価に影響する可能性はありますが、事前に定めた期間内は急な減給を行われる可能性はありません。

企業側がコスト管理をしやすい

企業側がコスト管理しやすいのも、年俸制のメリットです。日給制や月給制は毎月給料が変動するため、その度に企業側でいくらになるのか算出が必要になります。社員数が多ければ多いほど、給与計算は手間がかかります。しかし年俸制は事前に支払う金額が決まっているため、毎月給料計算を行う必要はありません。手間や工数を削減できるだけでなく、早い段階で人件費の把握を行えるため長期的な経営戦略や経営計画を立てやすくなることも年俸制導入のメリットの一つです。

年俸制のデメリット

成果によっては給与が下がる可能性がある

年俸制のデメリットは、成果によっては給与が下がる可能性があることです。年俸制を導入している企業は、個人主義的な考えが多い傾向にある為、成果を発揮できていない場合は翌年の給料に影響を及ぼす可能性があります。年俸制は個人の能力や業績によっても上下することから、大幅な給料アップも見込めますが保証はないため下がってしまう場合もあります。成果を出し続けなければ給料が下がる可能性があり、それがプレッシャーとなってしまう事も考えられます。

成果を出してもすぐに給与に反映されない

年俸制は、成果を出してもすぐに給与に反映されない点がデメリットです。月給制の場合は、成果を出した際には翌月の給与に反映される場合もあり成果がすぐに給与に反映され、評価されていると実感することが出来ます。しかし年俸制の場合は、事前に1年分支払われる給与の額が決まっている為、どれだけ成果を上げ続けたとしてもその年の給与に反映されることはありません。成果の反映は翌年分の給与になるため、すぐに昇給を受けることが出来ない点が年俸制のデメリットの一つです。

柔軟に経営計画を変更できない

柔軟に経営計画を変更できない点も、年俸制のデメリットです。コスト管理をしやすいという点では年俸制は企業にとってメリットですが、当該年度の人件費を削減できない点については状況によっては大きなデメリットになり得ます。年俸制を活用し、人件費について計画を立てていた時点では企業運営が順調であっても、予期せぬトラブルに見舞われる可能性もあります。コロナウイルス流行などがその例です。契約締結した時点と異なる状況に陥ってしまうと、柔軟に対応できない点はデメリットといえます。

年俸制を採用する際の注意点

就業規則を変える

年俸制を採用する際の注意点は、就業規則を変える事です。元々日給制や月給制を導入していた企業が、年俸制に変更する場合には就業規則に記載が必要です。「賃金」に関しての事項については、絶対的必要記載事項として就業規則に記載しておかなければなりません。更に制度の内容を記載しておく必要もあります。年俸制を採用する目的や、適用対象者・年俸制をいつからいつ迄にするのかの期間も必要です。もし就業規則に記載しておらず、年俸制を採用した場合には適用外とみなされることもあり注意が必要です。

労使間での合意を必ず得る

年俸制を採用する際は、労使間での合意を必ず得ておきましょう。年俸制を採用していなかった企業が採用する場合には、従来の就業規則には記載されていないため内容の決定から個別に詳細を詰めるなど様々な手間がかかります。残業代や賞与について特に注意が必要です。残業代が発生する場合や賞与について労使との認識をしっかりと合わせられていない場合、トラブルに発展しやすくなるため事前に合意を得ておかなければなりません。双方にとって不利益を被らないよう、細心の注意が必要です。

残業代の支払いを忘れずに行う

年俸制は、残業代の支払いを忘れずに行う事をしっかりと覚えておきましょう。年俸制であっても所定の労働時間を超えて残業を行った場合、残業時間に応じた残業代を支払う必要があります。しかし企業の経営陣や人事担当者の中には、毎月の給与額を決めているのだから残業代を支払う必要がないと思っている人も少なくありません。先述したように、所定の労働時間を超えて残業を行ったにも関わらず残業代を支払わない行為は年俸制・月給制に関わらず違法です。違法にならないよう、事前にしっかりと決めておきましょう。

年俸を年の途中で変更しない

年俸を年の途中で変更しない事も、年俸制を採用する際の注意点です。年俸制を採用した場合、原則として途中で月に支払う金額の変更を行う事は出来ません。仮に、会社の業績が悪化した場合や従業員の勤務態度が悪いことによって減給を行ったとしても無効になる可能性が高いといえます。しかし企業が一方的に減額することは違法になりますが、双方が合意している場合は減額を行う事も可能です。同意している場合は、本人の自由意志の元で行っている物のみとされており脅迫や強要は違法です。

大幅に減額しない

年俸制を導入する場合、大幅に減額しないように注意しましょう。年俸制は年の途中で昇格や減給を行うことは出来ませんが、成果が出ていないからと言って一方的に企業側が減額し支払う額を決められるわけではありません。年俸制で減額を行う際は、就業規則や賃金規定の範囲内の減額に留めるべきです。更改時に金額に納得のいかない従業員は、企業側と交渉する事も可能なため減額する場合には双方が納得していなければなりません。あまりにも大幅な減額は、人事権の濫用として無効になる場合があります。

まとめ

年俸制の特徴を理解して企業に採用すべきか検討しよう

年俸制を導入する場合のメリット・デメリットや、採用する場合の注意点について解説しました。日本ではあまり聞き馴染みのない言葉ですが、海外では年俸制を導入している企業も多く、グローバル化が進んでいる中で導入する企業も増えてきています。月給制を導入していた企業が年俸制に変更する場合は、就業規則への追記や労使間との調整など事前準備をしておくことが大切です。従業員から不満が出てこないよう事前にルールや運用方法を理解してもらえるようしっかりと周知する事が重要です。年俸制の特徴を理解し、企業に採用すべきか検討していきましょう。

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