2025年の崖とは【経産省のレポートで示された課題についてわかりやすく解説します】

記事更新日:2022年11月25日 初回公開日:2022年11月25日

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2025年の崖は、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」という資料で初めて使用された言葉です。DXとは、デジタルによる変革を指し、デジタル技術を使い企業がビジネスを創生することや、消費者の生活が向上することを指します。経済産業省は企業に対してデジタルトランスフォーメーションの必要性を説いているのです。ここではDXレポートの概要を踏まえながら、企業の課題や2025年に起こり得る問題を明らかにし、どのように対応すれば2025年の崖を乗り越えられるかを考えていきましょう。

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2025年の崖とは

2025年前後に日本経済にもたらされる経済損失

2025年の崖とは、2025年前後に日本経済にもたらされる経済損失のことです。その原因は、企業が使用している古い基幹システムによるシステム障害が影響します。古い基幹システムは、カスタマイズの繰り返しなどで複雑化、ブラックボックス化し、仕様や設計が把握しにくくなっています。基幹システムを新たに刷新するには費用や人的リソースがかさみ、刷新に踏み切りにくい現状があります。それに加えてIT人材不足や、多くの企業が導入しているSAP社の基幹システム保守サポートの終了が問題となっています。

経済産業省のDXレポートで提起された

2025年の崖問題は、経済産業省が2018年9月に発表したDXレポートで提起されました。このレポートによると、日本国内の企業がグローバル市場で優位になるためにはDXの推進が必要不可欠だと述べています。DXを推進しなければ業務効率、競争力の低下は避けられません。そして競争力が低下した場合には、2025年から年間で現在の約3倍、約12兆円もの経済損失が発生すると予測されているのです。また、企業は自社の将来の成長、競争力強化のためにDXの必要性を理解し、推進への試みは見られるものの、実際は多くはビジネス変革につながっていないのが現状だとDXレポートは指摘しています。

2025年の崖とDX

DXとはデジタルを活用してビジネスを変革すること

DXとはデジタルを活用してビジネスを変革することで、デジタル技術を使って企業がビジネスを作り出し、消費者の生活の向上に役立てることです。たとえば、デジタル社会への移行により紙の書類や印鑑の使用は減り、デジタル決済や生体認証などのITを使ったシステムに変わりつつあります。また、テレワークの普及で職場に行かずとも自宅で働けるようになり、現金を持たなくても電子マネーで買い物ができるようになりました。このように、働き方や生活スタイルの変化に対応するために、企業はDXを推進しているのです。

2025年の崖を乗り越えるためにDXが必要とされる

2025年の崖を乗り越えるためにDXが必要とされています。DXを推進するために重要なのは、まず社内の課題を抽出することです。そして問題解決のための計画をよく考えましょう。その上で課題解決に向けて段階的に取り組むことが求められます。経産省は企業に向け「DX推進システムガイドライン」および「DX評価指標」を策定、提供しています。企業の経営者はこれらの指標やガイドラインを活用し、自社のDX推進状況を確認し、経営戦略を立てていかなければなりません。

2025年の崖の要因

DXを推進できる人材が不足している

2025年の崖の要因に、DXを推進できる人材が不足していることが挙げられます。基幹系システムなどを担う人材の退職や高齢化などが影響し、2025年までにIT人材の不足は約43万人までに拡大すると言われています。また、DXを推進したくても、最新技術を習得している人材が不足しているのです。日本ではITエンジニアが一般企業よりもベンダー企業に所属していることが多くなっています。そのため一般企業では、ベンダー企業に依頼しなければ人材が得られないという場合が多くなっています。

レガシーシステムの割合が増加している

レガシーシステムの割合が増加していることも、2025年の崖の原因です。DXレポートは、大企業の旧来の基幹系システムの導入年数が21年以上経過した割合は約6割になると予測しています。レガシーシステムは運用、維持に莫大なコストがかかり、トラブルやセキュリティの問題によるデータ損失があるなどのリスクがあります。しかしシステムを刷新するには多大なコストがかかり、複雑化、ブラックボックス化したレガシーシステムを把握することも非常に困難です。経営を維持していくためには、レガシーシステムを使い続けざるを得ない状況があるのです。

経営戦略が確立していない

経営戦略が確立していない企業は、DX化をうまく進められない可能性があります。ITシステムの見直しには、デジタル技術を活用してビジネスの変革をどのように進めるかという経営戦略が必要となります。そして経営戦略を実行する上で、体制や企業組織内の仕組みの構築などが不可欠なのです。企業の経営者はまず、企業としてのDX推進におけるビジョンを設定しましょう。その上でビジョンを実現するためにシステムのあり方を考えるという手順で進めることが重要となります。

SAPをはじめとするアプリケーションのサポートが終了する

2025年の崖の背景に、SAPをはじめとするアプリケーションのサポートの終了があります。「SAP ERP」は長い年月にわたり世界ナンバーワンのシェアを誇った基幹システムです。世界で25業種、5万社が導入し、日本国内では約2,000社が導入しているといわれています。この「SAP ERP」の保守サポートが2025年で終了すると言われています。また、2020年にはWindows7の保守サポート終了、2024年には固定電話網PSTNの終了などがあり、古い基幹システムの使用が困難になる可能性が出てきています。

デジタルサービス事業の割合が増加する

今後はデジタルサービス事業の割合の増加が考えられます。一般のサービス市場とデジタル市場の割合が、2017年の9:1から2025年には6:4になると言われています。また、2020年以降5Gや自動運転が実用化され、AIの一般利用が進展してきています。DXレポートでは、DXが実現できれば2025~2030年に実質GDP130兆円超の押し上げが可能とされています。DXが注目されている中で成果を上げることができれば、DX推進を行う企業、業界としても注目されるのです。

2025年の崖における問題

大きな経済損失が発生する

2025年の崖の問題として、日本は大きな経済損失が発生すると予測されています。DX化が推進できなければ現在使用しているレガシーシステムを2025年以降も使い続けることになります。DXレポートはシステム障害による損失で2018年の段階でも約4兆円の経済損失と推定しています。また企業のレガシーシステムの稼働年数の調査では、2025年の段階で21年以上稼働している企業は60%としています。これらを元にレガシーシステムによるシステムリスクは3倍に上昇するとし、2025年以降の経済損失額を年間で約12兆円と推定しました。

システムのブラックボックス化が進む

2025年の崖で、多くの企業でシステムのブラックボックス化が進むことが問題となっています。現在企業は自社のシステムの内部構造が複雑化し、自分たちで修正できない状況に陥っているのです。自社のレガシーシステムがブラックボックス化していても、システムが稼働していれば大きな問題とはなりません。そのため多くの企業では、ブラックボックスの解明や新たな構築方法の検討などを、自社の経営課題として取り組まないままやり過ごしてしまっているのです。このまま2025年の崖に直面すると、システムの内部構造の解明がさらに難しくなってしまいます。

ビジネスモデルの変化に対応できなくなる

今後も古い基幹システムを使い続けて2025年の崖に直面した場合、多くの企業がビジネスモデルの変化に対応できなくなることが懸念されます。人口減少やグローバル化に伴い、どの業界も市場が大きく変化しており、古いビジネスモデルのままでは事業の継続が難しくなっています。急速に変化する時代についていくための柔軟なシステム環境を整備する必要があるでしょう。自社の現状や目指すべきゴールを踏まえて、多様化する消費者ニーズや働き方に対応できるようなシステムを検討しなければならないのです。

2025年の崖への対策

DX評価指標を活用する

2025年の崖への対策として、DX評価指標を活用しましょう。経済産業省では企業のDXの推進を後押しするために、DX推進指標を策定しました。これは経営者や社内の関係者がDXの推進に向けた現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるための気付きの機会を提供するものです。DX推進指標は、各企業が簡易な自己診断を行うことを可能とするものです。各項目について、経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門などが議論をしながら回答することを想定して作られています。

既存のITシステムを刷新する

既存のITシステムを刷新することで、2025年の崖を乗り越えることが可能になります。経済産業省では、2025年までに既存のITシステムを廃棄や塩漬けにするなどの仕分けをし、刷新を進めることにも言及しているのです。今後のDX推進を見据えて古い基幹システムから脱却し、システムの刷新を検討しましょう。新しいシステムを導入する場合には企業のビジョンを明確にして、ビジョンの実現に向けたDX化を実現する上で基盤となるシステムを選ばなければなりません。

ベンダー企業との関係を見直す

ベンダー企業との関係を見直すことも必要になってきます。ユーザー企業ではシステムの内容を把握している人材が不足している場合が多く、またユーザー企業がベンダー企業にシステム構築や運用を丸投げしている現状があります。そのためユーザー企業側にとっては、システムがブラックボックス化しています。このような状況を解消するために、ユーザー企業でデジタル化を実現できる人材の育成に取り組みましょう。またユーザー企業がシステムの構築や運用に深く関わるようにして、ベンダー企業との関係を改善することが大切です。

DX人材を十分に確保する

DX推進にはDX人材を十分に確保することが重要となります。刷新したシステムの運用業務はアウトソーシングして、人的リソースはDXなどの戦略的業務にシフトすることが求められます。これまではIT担当や運用として現場作業を中心に動いていた人材を、DX推進担当者として戦略的業務や戦略的なサポート業務へシフトさせていきましょう。それによりDXを短期間で浸透させることが可能となるのです。そして新しいデジタル化に向けた取り組みを加速することができます。

まとめ

2025年の崖に向けて既存システムの見直しを行いましょう

ここまで説明してきたように、全社一丸となって真剣にDXと向き合わなければ、2025年の崖を乗り越えDXを推進していくことはできません。ITインフラや働き方改革にDXを取り入れて、ビジネス変革を実現している企業もあります。IT人材の大量不足やITシステムの老朽化が重要な課題となっています。デジタル時代に合わせた人材の確保とシステムの刷新にいかに迅速に対応できるかが、2025年の崖問題に向けて企業が生き残るための課題となっていくでしょう。現状の課題把握に早急に取り組み、DX化がもたらす企業の変革を実現しましょう。

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