記事更新日:2023年10月19日 | 初回公開日:2023年10月19日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報目標管理制度とは、社員が自主的に業務へ取り組むよう促す仕組みです。目標管理制度とは、1954年に経営学者のピーター・ドラッカーによって提唱された人材マネジメント手法で、Management by Objectivesの略称です。目標管理制度では、会社や上司に決められた目標を進めていくのではなく個人またはチームで目標設定を行い、進捗管理を行いながら生産性を高めていく手法です。個人が目標を達成することで企業全体の成果に繋がります。
目標管理制度の目的は、モチベーション向上とスキルの可視化を行う事です。社員が業務でパフォーマンスを発揮していても、企業から評価を満足に受けることが出来なければモチベーション低下に繋がります。目標管理制度が機能していれば、しっかりと評価されていると感じ生産性やモチベーションの向上が見込めます。更に社員のスキルアップや能力を可視化することによって、自分にどんなスキルが足りないのかが分かり必要なスキルを学ぶことに繋がります。
目標管理制度を導入することによって、会社全体のパフォーマンス向上が期待できるメリットがあります。目標管理制度は社員が自分で組織目標に基づいた個人の目標を立てるため、会社・チームとしての目標と合わせ統一できます。自分で立てた目標を達成するために業務を行っていくため、社員は「やらされ感」を感じる事が少なくなります。業務へのモチベーションも高まることで、目標達成のために足りないスキルの勉強をするなど意欲的になります。結果として会社全体のパフォーマンスも上がります。
目標管理制度のデメリットは、制度が形骸化する可能性があることです。目標を達成する事ばかりに意識が行ってしまうと、本当に必要な行動を見失うということが考えられます。また目標達成することを意識してしまい低い目標を設定しまう事もあります。目標管理制度を活用することで、達成すべき目標は明確になりますが目指す方向が本当に合っているのか疑問に感じ、迷いが生じる事も考えられます。その結果として、目標管理制度が形骸化してしまうケースも少なくありません。
目標管理制度導入の背景には、成果や業績に応じた評価が注目されることが挙げられます。日本で目標管理制度が導入された背景には、バブル崩壊後の成果主義が影響しています。成果に見合った評価や人材育成・企業としての業績などが求められるようになり、目標管理制度が活用されるようになりました。成果主義以前は、終身雇用制が当たり前とされており年功序列で賃金が上がって行く制度でしたが、能力の高い社員にとってはモチベーション低下にも繋がります。そういった事態を防ぐために導入された制度です。
目標管理制度が時代遅れといわれている理由は、価値観の多様化によって個人に寄り添う必要性が出てきた為です。時代の流れとともに働き方も多様化が進んでおり、仕事に対しての考え方も変わってきています。ワークライフバランスを重視する人なども増え、企業の中でも様々な考えを持っている社員が沢山います。価値観の多様性が進んでいることで、組織の目標と個人の目標を統一することが難しくなってきています。そのため個々に合わせた目標設定が求められています。
目標管理制度は、企業の目標を押し付ける形になっていることから時代遅れといわれています。終身雇用制を前提とした採用で転勤や異動を含め、社員が企業の発展に最大限努力していた時代であれば目標管理制度が最適な手法です。最近では終身雇用制は崩壊し働き方も多様化している中で、企業の目標を一方的に押し付けてしまうと社員が定着し辛くなってしまう可能性もあります。企業の目標を尊重する一方で、社員が考えている人生のビジョンも大切にしなければなりません。
目標管理制度が成功しないのは、管理職の業務量が大幅に増えるためです。目標管理制度は、管理職の人が社員一人一人に目標に対してのフィードバックを行います。そのため、目標管理制度を企業で導入しようとすると管理職の業務が増え、その分負担も増えてしまいます。目標管理制度の導入を考えている場合には、特定の人に業務負担が偏りすぎないように工夫が必要です。評価者の負担を考えずに運用しようとすると制度の効果も下がってしまいます。
目標管理制度は、公正な評価が行われていないと成功しません。評価内容が適正でないと感じてしまうと、社員のモチベーションや業務への意欲が低下してしまう可能性があります。人によって評価に差が出る場合やルールがきちんと適用されてない制度は上手く活用できていません。実際に多忙な管理職が現場の状況を把握できておらず、評価が実情から異なってしまう事があると社員の不満が蓄積します。そういった場合は上手く制度が運用出来ていない為、成功しません。
目標管理制度が成功していない理由は、組織の目標と制度で立てた目標が乖離しているからです。目標管理制度では個人が必ず達成しなければならない目標と、各自で達成したいと考えている目標との関連付けを企業が支援することが大切です。2つの目標のすり合わせを積極的に行う事で、社員は納得した上で目標達成に向けて取り組むことが出来ます。2つのすり合わせをしっかり行えていないと、失敗を招きやすくなります。そのため、すり合わせを行う担当者の技量も求められます。
振り返りが十分にできていない場合も、目標管理制度は成功しません。目標設定を行うだけで満足してしまい、定期的にどこまで達成できているかの確認や振り返りを行っていない場合にも、目標管理制度は失敗しやすくなってしまいます。目標管理制度を実施する目的は、社員を公正に評価しそれぞれの課題を抽出した上で新しい業務への改善を行っていくことです。しっかりと自分がどこまで達成できているのかを認識することで、より目標に向けて進むことが出来ます。その為に振り返りは必要です。
目標管理制度が向いている企業は、社員の主体性が確立されている企業です。社員が業務に自律的に取り組んでいる場合は、目標管理制度を導入することで社員の動きを体系的に管理できるようになります。社員の目指している方向と、企業の目指している方向をしっかりとすり合わせを行う事で目標管理制度にありがちな形骸化を防ぐことも出来ます。そのため、経営陣や管理職の意見のみで会社の方針を決定する企業よりもボトムアップ型企業の方が、目標管理制度を導入する企業には向いています。
目標管理制度が向いていない企業は、経営方針や戦略が頻繁に変わる企業です。組織の体制や経営方針が短期的に変更される企業では、その度に個人の目標も変えなければいけません。頻繁に個人の目標を変えないといけない状況になると、本来の目的がおざなりになってしまい目標管理制度が形骸化してしまう恐れもあります。また管理職に負担が集中してしまっている場合も目標管理制度で大切なフィードバックの実施などが難しくなり、制度運用がうまくいかなくなってしまいます。
目標管理制度を成功させるためには、明確且つ具体的な目標を考えましょう。設定する目標はなるべくわかりやすく具体的に立てる事が大切です。曖昧な目標を立ててしまうと、現実味がないため社員のモチベーションが低下してしまう可能性もあります。目標が明確になっていると、掲げた目標を達成するために具体的な行動を取りやすくなります。明確で具体的な目標と言われてもあまりピンとこない人もいるかもしれません。その場合には、数値で定量化することの出来る目標を立てるようにしましょう。
目標管理制度を成功させるポイントは、少し頑張りが必要なレベルの目標にすることです。難易度が高すぎる目標を立ててしまうと、本人への負担になります。達成が難しい目標を立て続けると、「達成できなかった」という経験がモチベーション低下にもつながる可能性があります。しかしあまり簡単な目標ばかりを立ててしまうと、達成することは出来ても達成感が低く成長も出来ません。そのためには、視覚的に確認できて少しの努力で達成できる目標を立てる事が最適といえます。
目標管理制度は、目標には期限を設けることで成功させることが出来ます。目標を立てる時には、短期・中期・長期に分けてそれぞれに期限を設けておきましょう。期限を設定して目標を立てる事で、達成するためにはどうするべきなのか明確に計画を立てる事が出来るようになります。例えば、営業売り上げを半年以内に1.3倍にするという目標を掲げた場合に、短期・中期・長期にもそれぞれ期限を設ける事で、限られた時間の中で行わなければならない行動が明確になっていきます。
行動の具体的な内容を洗い出すことも、目標管理制度を成功させるポイントです。目標を立て期限を切ったら次は行動に移しますが、行動の具体的な内容を理解していなければ本末転倒な事態に陥ります。そうならない為にも、アクションプランを設定しておきましょう。アクションプランは、6W2Hを意識して具体化しておき優先順位の順番に処理を行います。目標を数値で測定可能なものに置き換え、出来ない改善策は書かないようにしましょう。自力でどうすることも出来ない問題が起きた場合は、臨機応変に対応することも大切です。
目標管理制度(MBO)が成功しない理由や、成功させるためのポイントについて解説しました。目標管理制度が時代遅れだという意見もありますが、自社に向いている方法を選び成功させるポイントに気を付ける事によって効果を得る事が出来ます。目標管理制度は、社員が自分の目標を設定し上司からフォローしてもらう事でモチベーションアップや個人のスキルアップにも繋がり、結果として企業全体の生産性向上も見込めます。目標管理制度が時代遅れと言われている理由を理解した上で、自社に合った方法で運用していきましょう。
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