記事更新日:2023年09月27日 | 初回公開日:2023年09月26日
人事・労務お役立ち情報 グローバル経済 用語集 グローバル用語解説自己肯定感とはありのままの自分を肯定し好意的に受け止める感覚のことです。言い方を変えると自分が何の能力を持っていないとしても、自分自身を「これでいい」と根拠無く思える力を指します。自己肯定感は個人の幸福度を底上げするためには非常に重要な感覚です。自己肯定感が低いと自分を必要以上に過小評価してしまいます。そのため、自分に自信が持てない、失敗が怖くて挑戦できないなど、仕事やプライベートを問わず様々な弊害が発生してしまいます。
日本人は自己肯定感が低い傾向にあります。2018年内閣府が行った調査では調査対象に対して「自分に満足しているか」と質問したところ、満足していると答えた日本人は全体の45%ほどでした。これに対してアメリカや韓国など諸外国の人々は70~80%の人が満足していると答えています。この結果を踏まえると日本人は他国の人よりも自己肯定感が低く、自分に満足していない人が多いと言えるでしょう。また、日本人特有の謙遜する文化も、見方を変えると卑屈に見えやすく自己肯定感が低い人の特徴と考えることもできます。
自己肯定感が低い人の特徴として挙げられるのが、起きていることを素直に受け止められないということです。自己肯定感が低い人は懐疑的な性格の場合が多く、他人から褒められるなど好意的な評価を受けても素直に喜べません。さらに、たとえ自分に価値が無くても存在していて良いという考え方ができないため、トラブルが起きた際にも自分を守るために他人に責任転嫁してしまうこともあります。そのため、明らかに自分に責任があることでも謝らず言い訳をする人がいる場合、その人は自己肯定感が低い可能性があります。
自己否定が身に付いてしまっていることが原因で物事を否定的に取られてしまうのも、自己肯定感が低い人の特徴です。自己肯定感が低い人は「どうせ自分なんか」という考え方が身に付いているため、良いことも悪いことも否定的に考えます。例えば、仕事が成功した時にも「こんなこと誰でもできる」と考えたがり、失敗すると「自分はダメな人間なんだ」と必要以上に思い込みます。事態がどちらに転んでも結局悪い方向に捉えてしまうのも、自己肯定感が低い人の幸福度の低さに関係していると言えるでしょう。
自分を信じられていないので精神状態が不安定ということも自己肯定感が低い人の特徴といえます。自己肯定感が低い人は自分の感じ方や考えにも信頼が置けていません。自分の芯が保てていないと他人の評価に依存しやすくなり言動に流されるだけでなく、人や環境によって態度が変わってしまう人も少なくはありません。人によって態度が変わると周囲からは精神状態が不安定と思われやすく、不信感を抱かせる原因になります。また、本人も常に他人の顔色で一喜一憂することになるので、情緒不安定になりやすくなります。
自己肯定感が低い人の特徴としてさらに考えられるのは、自分の行動が消極的になっていることです。人は誰でも失敗して自分が傷つくことを怖がりますが、自己肯定感が低い人は強くこの傾向が見られる場合が多数です。本来、行動の成否とその人本人の価値はまた別問題として捉えなければいけませんが、自己肯定感が低い人は身の存在意義を物事の成功と結び付けて考えてしまいます。そのため、「失敗した自分には価値がない」と考え、何事に対しても、上手くいかなかった場合を考えてしまい挑戦を避けます。
自己肯定感が低い人の特徴には自分に厳しいだけでなく、他人を見る目も厳しい傾向があるという部分も挙げられます。自己肯定感が低い人は自分に対するこだわりや理想が高く、自分に条件を課し付加価値をつけることで存在意義を保っている人が多く見られます。この思考の癖を他人にも向けてしまうので、周囲の人の何気ない言動を許せないと感じてしまうのも特徴の一つです。また、自分がクリアできた条件を他人がクリアできないと相手を無意識にも軽んじてしまう傾向もあります。
自己肯定感が低い人は自分を信頼できず、物事の判断や評価を他人に依存する傾向にあるため他者の視線が気になり目の前のことに集中しづらいという特徴があります。さらに、過去の失敗に囚われがちであり、将来に不安を抱きすぎるというのも特徴の一つです。端的に述べると、自己肯定感が低い人は物事を深く複雑に考えすぎる傾向にあるとも言えるでしょう。漠然とした不安に囚われると目の前の問題に集中できず、大事な場面で実力を発揮できません。また、考えすぎると大きなストレスも抱えてしまいやすくなります。
自己肯定感が低い人の特徴が表れる原因として特に多いのは親に否定される幼少期を過ごしたことです。具体的な内容は多岐に渡りますが、代表的な例では小さな頃から容姿を貶されたこと、人前で子供を貶す発言をされたことなどが該当します。親の存在は子供にとって特別なもので、親にとっては些細な言動であっても否定されてしまうと子供は「自分はダメな人間なんだ」と思い込んでしまいます。そして日常的に否定され続けると、大人になっても否定された経験から自分を過小評価してしまう結果となります。
過去の大きな失敗やトラブルに巻き込まれた経験があると、そのトラウマによって臆病になっている可能性も考えられます。自分の行いが原因で他人が大けがをした場合や人間関係が上手くいかずいじめにあった場合もこれに該当します。ショッキングな出来事は年齢が低いほど、影響が残りやすくそのことが原因で自分を信じられなくなることは珍しくありません。このようにトラウマを抱えている場合は自分だけで解決するのは難しいため、必要に応じて受診するなど医療につながるための対応が必要になることもあります。
自己肯定感が低くなる原因には周囲の人間との調和を重んじる学校教育が影響している可能性も否定できません。狭い社会の中では他人との衝突が起きやすく、社会に出てから人間関係を円滑に進めるためにも周囲との調和を求める姿勢は大切なものです。しかし、人によっては教育の影響を強く受けてしまうこともあります。周囲との調和も大切ですが、自分の感情も重要です。この考えが根付いていないと他人に悪感情を抱いた時に「こんな風に思う自分は間違っている」という思い込みを助長させてしまう恐れがあります。
日本の習慣は謙虚さや他人を尊重することを重んじています。この習慣を重く捉えていると自己肯定感が低くなる原因になることがあります。日本では謙遜を美徳とする文化があるため自分が成功を納め、他人に褒められても素直に喜んではいけない空気があります。そのため、自分よりも他人を優先してしまう人が多く存在します。しかし、これを続けていると自己肯定感を育てることができず自分を卑下してしまう結果になりかねないので、嬉しいことや喜ばしいことは素直に受け止めるのも大切です。
自己肯定感の低い人にならないためには完璧主義にならないことが重要です。自己肯定感が低い人は理想や目標が高すぎて、自分の設定した基準を満たせない自分を強く責める傾向があります。しかし、表面上はどんなに完璧に見えても、人は誰もが欠けている部分を抱えて生きています。そのため、欠点があるのは自分だけではないと思い直し、自己肯定感を高めるためにも、自分には良い部分も悪い部分もあることを受け止めましょう。また、短所だけではなく自分の長所に目を向けてみることも大切です。
自己肯定感が低い人の特徴であるネガティブ思考を改善するには、自分の思い込みに気付く必要があります。例えば、トラブルに見舞われた場合には自分に原因があると決めつけるのではなく、客観的に物事を見つめ直せば違った原因が見えてくる可能性もあります。また、ネガティブな思い込みから物事に対して消極的になってしまうのは、自分が傷つくことを必要以上に恐れているからでもあります。挑戦を避ければ傷つくことはありませんが、事態が好転することもありません。時には傷つく勇気も必要です。
自己肯定感を高めるには、自分が現在抱えている不安や悩みを紙やPCに書き出す方法がおすすめです。自分の不安や悩みを書き出して可視化することで、自己肯定感が低い人にありがちなぼんやりとした不安が明確になります。不安の原因を整理してみると解決策が導き出せるだけでなく、自分がダメだと思い込んでいるだけでそれほど大した問題ではない事柄に気付くことも可能です。そして、自分自身を見つめ直すことで自分が今まで頑張った点についても目を向けることができるので、自分を認めるきっかけにもなります。
自分で自分の自己肯定感の低さを解決できない時は周囲の信頼できる人と一緒に自分の長所や改善すべき点について考えるのも有効な手段です。ネガティブ思考が癖になっていると、自分だけで考えても答えが出せず悪い方向に考えてしまいがちになります。そこで、客観的な視点を持つ第三者から意見をもらうことで、自分では気づかなかった長所を提示してもらえます。自分から見ると短所だと感じている一面も、他人から見ると逆に長所と捉えられている可能性もあります。また、他人に褒めてもらう経験は、自分に自信をつけられる良い機会と言えるでしょう。
自己肯定感の低さを改善するには、自分の考えをポジティブに変換する癖をつけることも大切です。例えば、自分の失敗経験は「失敗したから自分はダメ人間だ」と思うのではなく、「苦手な分野だけど頑張った」と考えましょう。できなかった結果ではなく、努力した過程を認めることが自己肯定感を高める第一歩となります。また、他人を尊重する姿勢は思いやりがあり美徳と言えますが、自分の気持ちも大切にしましょう。自分が厭だと思うことに対して罪悪感を持つ必要はありません。
今回は自己肯定感が低い人の特徴をご紹介しました。自己肯定感が低い人はその特徴ゆえに本人が生きづらさを感じやすい人が大半です。さらに、謙虚な姿勢は他人に好意的に受け止められやすい反面、悲観的な言動が行き過ぎると却って周囲の人は反応に困ってしまいます。どんなに致命的な欠点も見方を変えれば、他人には無い強みと捉えることも可能です。そのため、自己肯定感が低いと感じている場合は自分を認める努力をしてみましょう。考え方と見える視点を変えれば、自分の置かれた現実もそれほど悪いものではないと感じることができるでしょう。
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