試用期間に解雇はできるの?【注意点や手順についてお伝えします】

記事更新日:2023年02月10日 初回公開日:2023年02月10日

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採用した人材が自社に適しているかどうかを判断するために、試用期間が設けられています。しかし試用期間は3~6ヶ月で設定されていることが多い為、従業員の全てを判断するには少し足りないと考えている方もいるのではないでしょうか。自社に合う人材だと思って採用しても、実際に仕事をして貰うと想像していた程能力を発揮できない場合や、勤務態度が目に余るといった人も少なからず存在します。そういった人材を採用してしまった際に、試用期間中に解雇することは可能かどうかについて解説していきます。人事課の方は是非参考にしてみてください。

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試用期間とは

人材採用の際の仮採用期間のこと

試用期間とは、人材採用の際に設ける仮採用期間の事を指します。会社が従業員を雇用する時には、能力や適性などをもとに自社の従業員として相応しいかどうかを判断するため本採用前に試用期間を設けている場合が多いです。試用期間の設定は企業側に有意なように見えますが、裁判でも合理性があると認められているため、問題ありません。試用期間は大体3ヶ月~6ヶ月で設定されていることが多く、あまりにも長い試用期間は違反として無効になる場合もあります。

試用期間に解雇はできるのか

正当な理由がなければ解雇できない

試用期間に解雇を行いたい場合には、正当な理由がなければ解雇は出来ません。試用期間中の労働契約は、殆どの企業で「解約権留保付労働契約」となっている場合が多い為、自社に適合していないとみなした場合には解約権を行使することが可能です。解約権の行使をすることで、本採用を行わない事に相当します。企業側は解約権を行使する権利を持っていますが、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当」と認められない場合には、不当解雇になることもある為十分注意が必要です。

試用期間に解雇できるケース

十分指導をしたが能力不足と見られる場合

試用期間中に解雇できるのは、十分な指導を行ったが能力不足とみられた場合です。試用期間は、従業員の能力を判断するために設定されています。しかしいくら能力を判断するための期間とはいえ、求めていた能力に見合わないからと一方的に解雇をすることは出来ません。3ヶ月や半年で業務を完璧に覚えて即戦力の一員となるのは簡単なことではありません。能力不足で解雇が可能な場合は、従業員の能力不足が甚だしく企業側もしっかりとした指導や教育を行っていたかどうかが重要です。能力改善の機会を十分に与えていなかったとみなされた場合には、不当解雇に該当します。

求めるスキルが明確な採用で能力不足と見られる場合

試用期間中は、求めるスキルが明確な採用で能力不足とみられた場合にも解雇が可能です。この条件に該当することが多いのは、管理職等の企業において重要な役職について貰うための採用を行った場合です。「採用活動10年以上や、15名以上のマネジメント経験者」など具体的な経験を持っている人の採用を行い、実際に採用した人の能力が見合ってない場合などは能力不足で解雇を行うことが出来ます。反対に、客観的に見てもそれほど好待遇でない条件の採用を行っている場合は、スキル不足で解雇を行うことは不当とみなされます。

病気やケガで休職後の就業も難しい場合

病気やケガで休職後の就業が難しい場合にも、試用期間中に解雇をすることが出来ます。病気やケガのせいで就業が困難になった場合には、一時的に休職する人が殆どです。業務中にケガや事故などで休職を余儀なくされた場合には、休職後は療養期間とその後30日間は従業員の解雇を行うことは出来ません。しかし療養開始して、3年経っても傷病などが治らない場合には打ち切り保証を支払うことによって、解雇制限が解除され解雇することが可能となります。傷病となった場合においても、企業側はサポートをせず一方的な解雇は出来ないので注意しましょう。

勤怠不良の場合

勤怠不良の場合には、試用期間中であっても解雇を行うことが可能です。試用期間中の解雇で最も理由として多いのが、勤務態度の悪さです。1〜2回程度の遅刻や欠席であれば、解雇されることはありません。しかし正当な理由が無いにも関わらず、遅刻や欠勤を繰り返すと企業からの信用を失います。遅刻や欠席が常態化してしまうと、解雇事由として扱うことが可能です。遅刻や欠席が続く場合は、いきなり解雇するのではなく注意や指導を行い、改善が見られない場合にのみ解雇が認められます。

経歴詐称が発覚した場合

試用期間中に経歴詐称が発覚した場合には、解雇を行っても問題ありません。企業の応募の際に提出した職務経歴書等の書類に、保有資格などを偽って記載していた場合は経歴詐称となります。職務経歴書のデータなどをもとにスキル等を判断している場合が多く、重大な経歴詐称があると企業が求めているスキルを満たしていない事があり業務にも影響します。また経歴詐称は本人が故意で行っている場合が多く、悪質性が高いため解雇相当としてみなされます。

協調性がない場合

従業員に協調性がない場合にも、試用期間中の解雇を行うことができます。企業で就業していく上で、協調性は欠かせません。職場で上司や先輩の指示に従わず、反抗的な態度を常に取っている場合なども解雇相当とみなされます。しかし解雇相当とみなされる為には、事前に企業がしっかりとした指導や教育を行う必要があります。指導や教育を繰り返していたにも関わらず、本人に改善の余地が見られない場合に解雇を行うことが可能です。

試用期間に解雇する際の注意点

未経験者や初心者を能力不足を理由に解雇しない

試用期間に解雇する際に注意することは、未経験者や初心者を能力不足を理由として解雇しないようにすることです。業界や職種未経験で採用した中途社員や、社会人の経験がない新卒社員等がすぐに業務を覚えることは簡単ではありません。未経験や初心者と分かっていて採用したにも関わらず、しっかりとした指導や教育を行わずに「能力不足の為解雇します。」というのは解雇事由には該当しません。そのまま解雇してしまうと不当解雇に当たり、訴えられる可能性もあります。

仕事の成果だけに着目しない

試用期間に解雇を考えている場合は、仕事の成果だけに着目しないようにしましょう。業界や職種の経験者を採用する中途採用の場合、即戦力を確保しているということもあって試用期間中も期待してしまうことがあります。試用期間中に期待している分、本採用を行う時の判断基準が厳しくなってしまい業務の結果だけを重視しすぎないようにしましょう。経験者には期待してしまいがちですが、企業からの指導通りに業務を行っているにもかかわらず、結果だけが目標に到達していないからといって解雇することは出来ません。しっかりと業務の過程等も見ておくことが大切です。

指導を怠らない

試用期間は従業員の指導をしっかりと行う必要があります。指導や教育を十分に行っていたと証明できなければ解雇事由となりえません。従業員のスキル不足という面だけでなく、遅刻や欠席が多い場合にもきちんと指導や教育を行っていたという事実を証明できない限り、解雇は正当な理由があったとは言えません。企業側は従業員に対し、勤務態度や業務を遂行するための指導を過不足なくしっかりと行う必要があります。企業がきちんと教育や指導を行っていたのに、従業員の態度に変化が見られない場合などは解雇相当として解雇することが可能です。

解雇事由を予め明確にしておく

解雇事由を予め明確にしておくことが、試用期間に解雇をする際には重要です。本採用前の試用期間中であっても、企業は理由なしに従業員を解雇することは出来ません。試用期間中に解雇を行う場合でも、就業規則を元に判断し客観的に解雇されても仕方がないという証明をする必要があります。事前に解雇事由を明確にしていない場合、解雇された理由が曖昧になってしまいます。しっかりとした説明や証明が出来ない状態では、解雇不当として訴えられることもある為、解雇事由を明確にしておくことは大切です。

試用期間の解雇の手順

明示した内容と解雇事由が合っているか確認する

試用期間に解雇を行うには、明示した内容と解雇事由があっているかを確認しましょう。試用期間中かどうかに関わらず、従業員を解雇する場合には就業規則に解雇事由が記載されていなければなりません。就業規則に解雇事由の記載がない場合は、企業として従業員の解雇を行う基準が設定されていない為、解雇を行うことが難しくなります。しっかりと解雇事由を事前に決めておき、試用期間中に解雇を行う場合にも修行規則の解雇事由と内容が合っているのかの確認を行うことが大切です。

必要に応じて解雇予告をする

試用期間の解雇であっても、必要に応じて解雇予告をする必要があります。試用期間から14日以内であれば、正当な理由がある場合には解雇予告や解雇予告手当等の支払いを行う必要はありません。しかし、試用期間が始まって14日以上経っている場合には通常の解雇と同様に解雇予告などを行わなければなりません。その為試用期間中の解雇であっても、解雇を行う30日前までに解雇予告が必要です。解雇予告を行わない場合は、解雇日までの日数分の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があるので注意しましょう。

解雇通知書を作成する

必要に応じて解雇予告をした後には、解雇通知書の作成を行いましょう。解雇通知書は企業によって異なりますが、書面もしくはメール文章等での通知が一般的です。解雇通知書には、解雇の原因となった理由を記載する必要があります。記載されている解雇理由が不明瞭な場合や抽象的である場合などには、従業員から訴訟を起こされる可能性もある為、明確に記載しておきましょう。解雇通知書には、解雇日をしっかり記載しておきましょう。「本日付で」等という記載は不明瞭である為、しっかりと日付を記載しておくことが大切です。

試用期間で解雇以外にできる方策

試用期間を延長する

試用期間で解雇意外に出来る方策は、試用期間の延長です。試用期間を延長するためには、就業規則に試用期間を延長することがある旨が記載されている必要があります。記載がない場合も延長を行うことは出来ますが、トラブルを避けるためには記載を行っていることが重要です。延長する際には、延長を行うための合理的な理由が無ければ延長は出来ません。また、従業員本人に延長する旨を事前に告知していない場合も、勝手に期間を延長することは出来ません。しっかりと納得を得た上で、延長を行いましょう。

ポジションを変更する

ポジションを変更することも、試用期間で解雇以外に行える方策です。元々本採用を予定していた職種では、従業員が能力を十分に発揮することが難しい場合に配置転換を行い従業員の適性に合わせることも一つの方法です。ポジションを変更する際にも、事前に従業員にはしっかりと説明して了承を得ておきましょう。従業員の意思に沿わないポジション変更や、説明なしに職種を変えてしまうことはトラブルの原因となります。トラブルを防ぎ、従業員に力を発揮して貰うためにもポジションを変更する際にはしっかりとお互いに納得した状態で行いましょう。

まとめ

試用期間の解雇は慎重に行おう

試用期間中の人材を解雇に出来るケースや、解雇をする際の注意点等について解説しました。本採用後に比べ、試用期間中に解雇を行うことはハードルが低いと感じている人もいるはずです。しかし企業が求めていた人物と違っていたからと安易に解雇をしてしまうと、訴訟などに発展してしまう場合もあります。そういったトラブルを避けるためにも、企業側は解雇する前までにしっかりと教育・指導を怠らないようにすることが大切です。しっかりと対策を行い、実際に試用期間中に解雇を行う際は慎重に進めるようにしましょう。

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