記事更新日:2024年08月27日 | 初回公開日:2024年08月27日
用語集 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報オフィス回帰とは、テレワークからオフィス出社回数を増やすことを意味します。アメリカでは2023年になってからオフィス回帰をする企業が増加しています。この傾向は日本も同様です。東京都が2023年4月にテレワーク実施率を調査したデータによると、2020年以降初めてテレワーク率が5割を切る結果となりました。新型コロナウイルスが5類へ移行し、組織内ではもう一度オフィスへ出社するか否かの判断が迫られています。
オフィス回帰をする理由として、コロナが落ち着いてきたことが挙げられます。2020年頃からテレワークを開始した組織のほとんどが新型コロナの対策としてテレワークを導入しました。準備が不十分なまま急遽テレワークを導入したことで、制度や設備、マネジメントやコミュニケーション等の方法が伴わない状態でテレワークをしていた企業はやりづらさを感じていたでしょう。ウィズコロナ・アフターコロナ時代に入り、感染対策をすればオフィスで仕事をしても問題ないことが分かってきました。その結果、そうした企業のオフィス回帰が増えています。
オフィス回帰をする理由として、クライアントとの対面の接触が重要であることが挙げられます。テレワークが中心であった際は、クライアントとの打合せもリモート会議がメインでした。しかし、業種や職種によっては、クライアントと対面する機会がないことで、密なコミュニケーションが取りにく効率が悪いと感じる人もいるでしょう。クライアントとの対面接触に重要性を感じる企業ではオフィス回帰を積極的に行うでしょう。
オフィス回帰をする理由として、業務の進捗を分かりやすくすることが挙げられます。テレワークによる弊害として業務の進捗やプロジェクト管理をしにくい点があります。他の人が業務をどれだけ進めているかテレワークの場合分かりにくい傾向にあります。プロジェクトの管理法を模索してうまくいかなかった、または直接オフィスで進捗を伝え合った方がスムーズと感じる企業はオフィス回帰が進んでいるようです。
オフィス回帰をするメリットとして、仕事とプライベートのメリハリがつくことが挙げられます。オフィスへ出社すると、自然と意識が仕事に集中します。なぜなら、仕事とプライベートを場所で区切ることで無意識にオフィスへ向かうことで仕事モードへと切り替わるからです。逆に、テレワークが中心の環境では仕事もプライベートも全て自宅のことがほとんどであり、上手く切り替えができないでy層。また、人によっては、仕事に意識が集中することで生産性向上を見込める可能性があるでしょう。
オフィス回帰をするメリットとして、コミュニケーションが活発化することが挙げられます。オフィス勤務においては、同じフロアにチームメンバーが在席しているため、コミュニケーションが取りやすいと言えます。同じメンバーが同じ場所にいることで、チームの一体感がより身近に感じられます。テレワークの場合ズームなどのビデオ通話は使えるものの時差などによる障壁がありコミュニケーションが難しいでしょう。さらに、業務の進捗や管理などのマネジメントもしやすいというメリットがあります。
オフィス回帰をするメリットとして、従業員のモチベーション向上につながるという点が挙げられます。テレワークは自宅でおこなうケースが多いですが、自宅は生活空間でもあるため、切り替えが難しく、モチベーションの低下が懸念されます。業務に適した環境が整っているオフィスワークなら、オンとオフを切り替えやすく従業員のモチベーションが上がりやすいでしょう。また、上司が部下の仕事の様子を直接確認できるため、より実情に沿った人事評価が可能になります。人事評価に対する安心感もモチベーションの向上につながるでしょう。
オフィス回帰をするメリットとして、チームの一体感を作りやすくなる点が挙げられます。同じ場所で業務をすると実際に肌で雰囲気を感じ取れるため、チームの一体感や信頼関係を構築しやすいです。テレワークでは相手の仕事の様子が見えないため、疑問や不安があっても話しかけるタイミングが難しい場合があります。一方でオフィスワークはメンバーの様子をリアルタイムで確認できるため、適切なタイミングでコミュニケーションを図ることができ信頼に繋がるでしょう。
オフィス回帰をするデメリットとして、通勤にコストがかかる点が挙げられます。テレワークの環境では、自宅で勤務をすることがほとんどであり通勤時間や通勤費用が必要ありません。また、空き時間をプライベートに就こうことや、子育てや介護にあてるなど、フレキシブルな働き方ができます。都市部の満員電車での通勤にはストレスを感じる方もいることでしょう。つまり、通勤で余計な時間やストレスやコストが発生することは、大きなデメリットと言えます。
オフィス回帰をするデメリットとして、生産性が下がる点が挙げられます。テレワーク環境での仕事に慣れた後で改めて出社をしてみると、職場の雑音で集中できない人も中にはいるでしょう。テレワークでは自分の部屋で集中して作業ができることが多いでしょう。他方、キーボードの打音や雑談など、オフィスでは様々な雑音であふれています。こうした雑音が理由で業務の効率性が下がり。生産性が低下する可能性があると言えます。
オフィス回帰をするデメリットとして、在宅勤務に合う人の満足度が下がる点が挙げられます。家庭環境や個人の嗜好によっては在宅勤務を望む人も一定数います。中には、オフィス回帰の傾向在宅が禁止なら転職を検討するという意見もあるようです。在宅を希望する方が出社を余儀なくされれば、エンゲージメントやモチベーションの低下を招きかねません。したがって、オフィス回帰を増やす際には従業員の意向も踏まえて個別に施策を検討するとよいでしょう。
オフィス回帰をするデメリットとして、会議室が不足する点が挙げられます。テレワークを推進してきた企業の中には、コロナ禍の間にオフィスを縮小した組織も少なくありません。使わない会議室を削減しているため、全員が出社すると会議室や席が不足することが懸念されます。そこで、出社しても社内ミーティングはオンラインで実施やフリーアドレスを検討したりなどの対策を取るとよいでしょう。
オフィス回帰をするデメリットとして、テレワーク中にない業務が増える点が挙げられます。オフィスへ出社することで、オフィスへの来客対応や、電話対応など、テレワーク中にはなかった業務が増えてしまいます。それによってコア業務にかける時間が減り、分断され、生産性が低下する可能性があります。その対策としては、電話や受付対応をデジタル化するツールやサービスの利用することが考えられます。
オフィス回帰をする上でのポイントは、オフィスのレイアウトを変えることです。従業員が快適な環境で仕事に取り組めるように、オフィスレイアウトの変更を検討すると良いでしょう。具体的には、情報共有を行うスペース・雑談スペース・ミーティングスペースなどを設け、目的に合わせて働ける環境を用意することが考えられます。また、カフェスペースや個室ブースなど従業員が利用しやすいスペースを作ることも重要です。これらが従業員の生産性向上にもつながります。
オフィス回帰をする上でのポイントは、ハイブリッドワークを認めることです。ハイブリッドワークはテレワークとオフィスワークを組み合わせ、従業員の業務内容に応じ、働く場所を柔軟に変えられるというワークスタイルです。テレワークとオフィスワークを柔軟に切り替えることで、ワークライフバランスを調整しながら働くことができます。そのため、従業員のモチベーション向上やオフィスの柔軟性向上といった効果が期待できます。
テレワークを継続する上での注意点として、従業員のメンタルケアや健康管理に留意する点が挙げられます。テレワークの環境では、精神的又は身体的にストレスを感じやすいことも多いです。また、ストレスを抱えた際に相談できる方法が限定されています。したがって、メンタルケアの制度をしっかりと整え従業員のサポートを行なっていくことが重要です。例えば、常に相談できる相談先を設け、オンラインで相談ができる環境があると良いでしょう。
テレワークを継続する上での注意点として、ITリテラシーの差を考慮することが挙げられます。テレワークを続けていく以上、デジタル化が進み様々なデジタルツールを用いて業務が進んでいくことが予想されます。したがって、これを全員ができるように丁寧に指導していくことが重要です。特に年代の上の従業員はIT関連の操作に戸惑いを感じることが多いので、それも考慮して従業員全員が働きやすい環境をつくることが期待されます。
このように、オフィス回帰はコロナ禍を明けて注目されるようになった言葉でありその有用性については議論の余地があるでしょう。なぜなら、オフィスワークにもテレワークにもそれぞれデメリットとメリットが存在するからです。重要なのは、どちらが会社の従業員全体の満足度や生産性を高めることができるかどうかを考えることです。また、場合によってはハイブリッドワークとしてこれらを使い分けていくことも有用でしょう。話し合いが密に必要な場合はオフィス出社を増やし、単独の仕事が多い場合にはテレワークを実施するなどの柔軟性が重要です。最後までお読みいただきありがとうございます。
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