ホテル業界の人手不足なにが原因?【宿泊業の人手不足が起きる理由や対策方法について解説します】

記事更新日:2024年01月25日 初回公開日:2024年01月25日

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コロナの終息に伴い、ホテル業界での人員不足が日本の各地で叫ばれています。しかしホテル業界と一口に言っても、都心のシティーホテルと地方のリゾートホテルでは、抱える問題内容や解決策も異なるものです。とくに観光型のリゾートホテルでは、繁閑の差が激しいこともあり、以前から大きな問題とされておりコロナ禍を経て大きく取り上げられるようになりました。ここでは、ホテル業界の現状やホテル業界が抱える人材不足の原因から、人材不足を解消するキーポイントまで詳しくご紹介いたします。ホテル業界で人員不足に悩まれる、人事の方々の一助となれば幸いです。

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ホテル業界の現状

非正規正規共に人手不足の傾向にある

帝国データバンクによる「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)」によれば、正社員が不足であると感じている企業は、5割を超える51.4%に達しています。中でも「ホテル・旅館業」に限っていえば、人手不足と感じている企業は75.5%と最も多く8割を超える勢いです。非正規雇用の従業員についても同調査では、「飲食店」の85.2%に続いて「ホテル・旅館」の人手不足は78.0%となっています。飲食店を施設に含むホテル業界としては深刻な人手不足の状態が継続しており、非正規・正規共に人手不足の傾向が顕著に見て取れる状況です。

約54%が非正規雇用者

環境省の2022年の調査によれば、ホテルで働く従業員の約54%が非正規雇用者となっており、その約66%が女性となっています。コロナ禍以前と比較すると、正規雇用者数が6%減少したのに対し、非正規雇用者は約14%も減少しました。コロナ蔓延によって外出や外食に規制がかかり、ホテル業を含む多数の企業が大きな打撃を受けたのはご存じの通りです。そのしわ寄せが弱者である非正規雇用者に重くのしかかり、多くの非正規雇用者が給与減や離職の被害を受けることになりました。

8割の企業が人手不足と感じている

ホテル業の人材不足は、コロナ以前より問題となっていたことです。24時間営業が普通で定休日が無いホテル業では通期で人材を確保する必要があります。都心のホテルなどでは年間を通してコンスタントな集客が見込めるかもしれません。しかし、地方に乱立する多くのリゾートホテルでは、季節により繁忙と閑散の差が大きいのがネックとなっています。ホテル業界にある8割近くの企業が、人手不足を感じているとの回答を得ています。しかし、その根本にはホテル業界が抱える大きな問題が隠れているのです。

ホテル業界の人手不足の原因

アフターコロナ

ホテル業界の人手不足に、アフターコロナが拍車をかけたことも事実です。コロナによって海外からの渡航も制限される中で、国内での外出および外泊規制などがかかり、外食にも制限がかかったことでホテル客は激減しました。ホテル業界では支出を減らすために、従業員の労働時間を削るとともに、従業員の削減へ踏み切ったのは仕方ないとの見方もできます。しかし、数年間続いたコロナがおさまったあとに戻ってくれる人材は限られたものであり、人材不足はより深刻なものになっている状況です。

労働時間が長い

ホテル業界では、労働時間が長いことも人手不足の原因となっています。24時間営業で年中無休が当たり前のホテル業としては、いくら暇であっても早朝から夜中まで、最低限の人材を用意しなければいけません。短時間のパートを継ぎ接ぎしてシフトを組むことも考えられますが、地方では都合の良い人材を探すことが難しいため、長時間労働になることも多くなります。限られた人員で長時間労働を強いることは、本人が病気になったときなどのイレギュラー対応が難しく、融通が利かないとして敬遠される大きな要因です。

離職率が高い

ホテル業界の人手不足の原因として、離職率が高いことも挙げられます。一般的な職種と比較して女性が占める割合が多いことは前述の通りですが、結婚して退職する人材が多いこともホテル業界の特長です。ちなみに、令和3年度の雇用動向調査結果の概要によれば、ホテル業界の入職率は23.5%で離職率は全業界で最も高い25.6%でした。令和4年度に至っては、入職率は34.6%と激増したものの、離職率は26.8%と高止まりしています。ホテル業界は出入りが激しい職種であり、理想と現実のギャップが大きいことを示していると言えるでしょう。

賃金が低い

ホテル業界では、正規雇用・非正規雇用とも賃金が低いことも、人手不足となる要因になっています。国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、民間企業の平均給与が458万円であるのに対し、ホテル業界の給与は268.2万円と言う調査結果です。前年に比べてやや上昇傾向にはあるものの、民間企業とは190万円もの開きがあり、これはコロナ禍以前から続いています。正社員の賃金が低いことは、非正規雇用のパートやアルバイトにも影響することから、ホテル業界の低賃金問題は永遠の課題と言ってよいでしょう。

有給取得率が低い

一般企業と比較してホテル業の有給休暇の取得率が大きく下回っていることも、業界の人手不足の要因になっていると考えられます。厚生労働省が令和4年に発表した「就労条件総合調査の概況」によれば、全労働者の年間有給休暇付与日数は17.6日/人で、実際に取得した日数は10.3日/人です。これに対しホテル業界では、年間有給休暇付与日数は労働者一人当たり14.8日で、実際の取得日数は一人当たり6.6日と大幅に下回っています。なお、有給休暇付与日数に対する消化日数を表す有給取得率は、全業界平均の58.3%に対し、ホテル業界では44.3%と低く、休みにくい業種であることを示すものです。

外国人宿泊客が増加している

コロナ禍以前までは順調に外国人客が増加していて、ホテル業も潤っているように見えました。その後のコロナ蔓延によって外国人客は一時的に減少に向かいましたが、コロナが落ち着いた現在では再び外国人宿泊客が増加しています。コロナ前から外国人客増加に対応する語学習得などが問題とされていましたが、能力に対し支払う賃金が低いことから有能な人材獲得は難しいのが現状です。ビジネススキルを習得するために一度は就職しても、さらに良い賃金を支払う企業や、魅力ある別業種に流出する人材が後を絶ちません。

外資系ホテルが増加している

日本の風土や自然環境は海外諸国と比較すると恵まれており、外資系のホテルの参入が多く見られるようになりました。円安の影響もあり、外資系企業は今がチャンスと格安価格で高級リゾートホテルを買い取り、ビジネスチャンスに備えている状況です。外資系企業は有能な人材には、相応の待遇を惜しみなく提供することから、有能な働き手からは大きな魅力ある職場です。そのような背景もあり、国内のホテル業界は、さらに人材不足が深刻になっています。

ホテル業界の人手不足への対策

働き方改革を進める

人手不足という大きな問題を抱えるホテル業界では、その対策を早急に打ち出すことが求められています。その方法の一つが「働き方改革」です。ただし、ホテル業における働き方改革は簡単なことではありません。ホテルは予約に合わせて人材を配置することが多く、予約物件および予約数によって必要な人員数は大きく異なります。では予約を分散できるかと言えば難しい問題であり、同じ日にちや時間帯に予約が集中するのがホテル業です。働き方改革は、宿泊施設や予約を受けるシステムなどに導入することは可能ですが、多くの従業員を抱える宴会場や飲食店舗は予約を分散するシステムを同時に考えることが必要です。

賃金を改善する

ホテル業界の人手不足への対策として、賃金を改善することは大きな効果が期待できるものと言えます。ただし、この方法も簡単なことではありません。ホテル業界全体を見ても、ホテル業のみを運営する企業は多くありません。多くのホテルが、鉄道や航空会社の子会社となっており、ホテル名の前に鉄道および航空会社の名を冠するホテルが大半です。つまり、親会社から大口の予約を受けることで経営が成り立っていると言っても過言ではありません。賃金を改善するためには、親会社の理解と親会社自身が大きな値益を生む健全な企業であることが前提となるでしょう。

出戻り採用を活用する

「アルムナイ採用」と呼ばれる、出戻り採用を活用することも、ホテル業界の人手不足への対策として有効だと言えるでしょう。ホテル業界では接客が基本となるため、従業員への教育は時間がかかります。また、教育時間も就労と見なされるため、安い賃金であっても支払う義務が発生し企業の負担になるのです。出戻り採用では、即戦力になるとともに新人の教育にも有効です。そうした事例を多く作るとともに、採用者には相応の報酬を与えることが求められます。出戻り採用では採用にかかる費用も抑えられますので、人事担当者とも良く話し合うことが大事です。

教育制度を充実させる

ホテルの求人が多いことから、ホテル業は誰でもできるという先入観を持っている人も多いでしょう。しかし実際には、外国人などの言葉の通じないお客様や、苦情を訴えるお客様が多いのが現実です。まずは、苦情がおきないような教育を施し、次に苦情への対応などを教育するのが一般的な接客業の教育になります。語学習得や接客サービスの基本を身に着けるには相応の時間と費用がかかるでしょう。都心部では、語学専門学校などと提携してアルバイト募集を行うことも有効です。本物の外国語を話せる場所として有効な教育現場であることを強調し、教育制度も充実させましょう。

福利厚生を充実させる

福利厚生を充実させることも、ホテル業界の人手不足への対策となる要因の一つです。福利厚生とひとくちに言っても多岐にわたります。社員食堂から家賃補助・健康づくりのためのフィットネスクラブなど様々です。その中でも特筆したいのは食事の提供で、仕事をしながら食事の用意をするのは面倒であり、仕事中に食事が提供されることは求職者の満足度アップに繋がります。以前はホテル業と言えば食事付きが当然といった時もありましたが、現在では働く企業の評価に直結する事項です。他にも従業員が求める福利厚生を充実させることで、従業員を集め定着させてください。

DX化を推進する

昨今では飲食店を含むホテル業でもDX化が進んでいます。客室管理で言えば、自動チェックインや観光案内などがあり、飲食店舗では注文をタブレット端末などで聞くことが主流となっています。これらは人員の削減には非常に効果的と言えますが、問題解決をさらに難しくしてしまうという事象も実際に起きているのです。DX化が進むにつれて、従業員同士の会話ややりとりは希薄になります。それによって生じた齟齬は問題を大きくし、お客様に迷惑をかけるだけでなく、従業員が離職する原因になることさえあるのです。デジタルツールの導入が、何のために必要かを良く考える必要があるでしょう。

採用活動を見直す

ホテル業界の人手不足を解消するには、採用活動を見直すことも大事です。魅力あるホテル業界に、長く貢献し続ける人材を探し、育てることが人材不足の解消に役立つでしょう。ホテル業および接客業の何たるかを教育し、どんな場面においても動じないでお互いが嫌な思いをせずに解決する姿勢が大切です。採用活動においては、柔軟な発想を持ち、人の話を良く聞ける人材がホテルマンに適していると考えられます。マニュアルに忠実であるだけでなく、自分で考える能力がある人材を採用し、真っすぐに育ててください。

まとめ

ホテル業界の現状や人手不足の原因を把握し対策を立てよう

ホテル業界での人手不足は、コロナ禍を経て大きな問題として取り上げられるようになりましたが、それ以前から抱えている課題です。日本のホテル業界は、サービス業に区分されますがデジタル化による人員削減や簡素化を含めた変化を求めて、人手不足解消を考えています。しかし、ホスピタリティーを謳うようなサービスは、有能な人材なしでは語れません。ホテル業界としての本質と現状を踏まえ、人手不足の原因を把握するとともに、最適かつ有効な対策を考えていきましょう。

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