外国人雇用状況届出書とは?【働く外国人を守る】

記事更新日:2020年04月21日 初回公開日:2019年10月17日

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海外からの人材を企業に迎え入れるのに必要となってくるのが外国人雇用状況届出書。近年日本で働く外国人の数は増加しており、自企業にも外国人を採用したいと考えている方も多いはず。しかし、外国人雇用状況届出書についてよくわからないことが多くて、外国人を採用できないといった方もいると思います。この記事ではそういった方に向けて、外国人雇用状況届出書がそもそもどういったものなのかということや、提出時のポイント、注意すべき点などを紹介します。ぜひ参考にして、外国人雇用の第一歩にしてください。

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外国人雇用状況届出書とは

外国人を雇う時と外国人が退職する時に提出する書類

外国人雇用状況届出書とは、外国人の雇用時と離職時にハローワークか、インターネット上の外国人雇用状況届出システムで提出しなければならない書類のことです。この外国人雇用状況届出書は、様式第三号とも言われており、インターネットからpdf形式でダウンロードすることができます。外国人雇用状況届出書の提出は、外国人を雇用している全雇用主の義務であり、必ず提出しなければなりません。では、なぜ必ず届出を提出しなければならないのでしょうか。

働く外国人を守る書類

外国人雇用状況届出書は働く外国人を守るために提出しなければなりません。外国人労働者は日本人労働者と同様に、労働基準法が適用されていますが、以前は守らない事業所が多く、劣悪な労働環境で働いている人が多くいました。このことは問題になり、2017年にできた雇用対策法により、外国人を雇用する際は、雇用主が外国人雇用状況届出書を提出しなければならないというルールができました。届出書の義務化により、外国人労働者が違法に働かされていないか確認できるようになりました。

外国人雇用状況届出書が注目される理由

提出期限がある

 

外国人雇用状況届出書には提出期限が存在し、外国人労働者が雇用保険の被保険者かどうかで期限が異なります。被保険者の場合、雇用時は翌月10日までで、離職時は離職した翌日から起算して10日以内に提出しなければなりません。被保険者でない場合は、雇用時も離職時も翌月の末日までとなっています。被保険者の離職時の外国人雇用状況届出書の提出期限は他の場合と比べて短いので、提出を忘れてしまわないように十分注意しましょう。

提出しないとペナルティがある

外国人雇用状況届出書を期限以内に提出していないことが発覚した場合、雇用対策法40条1項2号により、雇用主には30万円以下の罰金が科せられます。また、虚偽の申請を行った場合にも同様の罰金が科せられます。しかし、雇用対策法による罰則はすべての場合に適用されるわけではありません。期限以内に提出しなかったことが故意ではないと判断された場合にのみ、適用されないことがあります。それでも提出期限はしっかり守るようにしましょう。

外国人雇用状況届出書の対象者

外国人正社員

 

外国人正社員の場合、特別永住者以外のすべての外国人社員が、外国人雇用状況届出書の対象となっています。特別永住者とは、第二次世界大戦終戦以前から日本に住んでいる韓国人と朝鮮人、台湾人およびその子孫のことを指します。この特別永住者は他の在留外国人とは違い、あらゆることで優遇されており、再入国や強制退去の条件が緩くなっています。特別永住者を正社員として雇う場合、外国人雇用状況届出書は必要ないので覚えておきましょう。

外国人派遣社員

 

外国人派遣社員の場合も正社員同様、特別永住者以外の方は外国人雇用状況届出書が必要になる対象となっています。また、届出を提出しなければならないのは派遣先ではなく、外国人労働者の雇用主である派遣元が提出することになっています。登録型派遣の場合は、外国人労働者の派遣先が変わるたびに届出を提出しなければなりません。正社員の場合と比べて届け出を提出する回数が多くなることがほとんどなので、忘れないように注意しましょう。

外国人アルバイト

外国人留学生や主婦のアルバイトも外国人雇用状況届出書の提出対象となっています。このような方たちは留学や家族滞在の在留資格を持った方たちですが、この在留資格では日本で就労することは認められていません。こういった方たちが就労するためには、資格外活動許可を得る必要があります。資格外活動許可を得ると、アルバイトなどの在留資格外の活動ができるようになりますが、この場合1週間に28時間しか働くことができないので注意しましょう。

外国人雇用状況届出書

特別永住者・外交・公用ビザを持つ人

特別永住者以外に、外交と公用のビザを持った外国人も外国人雇用状況届出書の対象外となっています。外交と公用のビザを持った方たちは日本や外国政府、国際機関と大きくかかわっている方たちなので、届出書を提出する必要はありません。また、特別永住者の方たちは法律で日本での活動を制限されていないので、対象外となっています。これまで説明してきたように、在留資格や雇用状況によって必要な手続きが変わってくるので、しっかりと確認しなければなりません。

外国人雇用状況届出書の提出方法とポイント

ハローワーク

先程も少し触れましたが、外国人雇用状況届出書の提出方法は2つあります。まず一つは、事業所のある場所の管轄のハローワーク(公共職業安定所)に提出する方法です。これは、外国人雇用状況届出書(様式第三号)の用紙に直接雇用した外国人労働者の情報を書き込んで提出します。このとき、パスポートや在留カードの写しが必要だと思われがちですが、実際は必要ありません。記入例や書式をしっかりと確認してから書き始めることをおすすめします。

外国人雇用状況届出システム

外国人雇用状況届出システムとは、外国人雇用状況届出をインターネット上で電子申請することができるシステムです。このシステムを利用すれば、外国人労働者を雇用したり、外国人労働者が離職したりするたびにハローワークに行って届出を提出する必要がありません。ただし、外国人雇用状況届出システムにはIDとパスワードが必要です。一度でも届出をハローワークに提出したことがある方は、提出したハローワークに問い合わせてIDとパスワードを発行しなければならないので注意しましょう。

外国人雇用状況届出書の届出内容

雇用対策法施行規制第十条に基づく

 

外国人雇用状況届出書に記す内容は、雇用対策法施行規則第十条に基づいています。氏名や生年月日、性別などの一般的な情報に加え、国籍や在留資格、在留期限も記入の必要があります。また、雇用時には、資格外活動許可の有無や雇用にかかわる事業所の名前と所在地が必要です。加えて、離職時には外国人労働者の住所および賃金とその他の雇用状況、離職にかかわる事業所の名前と住所が必要なので、確認しておきましょう。わからないことがあれば、記入例を確認して、間違いのないようにしましょう。

外国人雇用状況届出書の提出書類

雇用保険の被保険者かどうかで提出書類が変わる

外国人労働者が雇用保険の被保険者かそうではないかで、外国人雇用状況届出書の提出期限が異なる、ということはすでに説明しましたが、提出書類も異なります。雇用保険の被保険者の場合、雇用保険被保険者資格取得届または雇用保険被保険者資格喪失届が必要で、被保険者でない場合は、外国人雇用状況届出書が必要となります。どの書類も、書き込む内容それほど大きくは変わりませんが、それぞれに若干の違いがあります。その違いを紹介していくので、しっかりと確認してください。

雇用保険の被保険者となる場合

雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険の被保険者の場合、雇用時には雇用保険被保険者資格取得届を提出する必要があります。雇用保険被保険者資格取得届には、この後説明するほかの書類とは異なり、外国人労働者の住所を記入する必要はありません。また氏名や在留資格などの情報を記入する欄が雇用保険被保険者資格喪失届や外国人雇用状況届出書とは異なるので、注意が必要です。取得届は、ハローワークインターネットサービスの「雇用保険被保険者資格取得届」のところからダウンロードおよび印刷をすることができます。

雇用保険被保険者資格喪失届

雇用保険の被保険者の離職時には、雇用保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。雇用保険被保険者資格喪失届には、資格外活動許可の有無を記す必要はありません。また、名前や在留資格などの情報を記入する欄が、雇用保険被保険者資格取得届や外国人雇用状況届出書とは異なるところがあるので、注意が必要です。喪失届は取得届と同様、ハローワークインターネットサービスから用紙をダウンロードすることができます。取得届と喪失届で間違えないようにしましょう。

雇用保険の被保険者でない場合

外国人労働者が雇用保険の被保険者でない場合、外国人雇用状況届出書を提出する必要があります。ちなみに、雇用保険被保険者資格取得届と雇用保険被保険者資格喪失届は、外国人雇用状況届出書の役割を兼ねたものとなっています。外国人雇用状況届出書のダウンロードは厚生労働省のホームページからすることができます。ここまで必要な書類の違いについて説明してきましたが、被保険者と被保険者でない人で提出しなければならない書類が変わるので、間違えないよう確認してください。

外国人雇用状況届出書の提出で注意すること

在留カーの内容を必ず確認

 

外国人雇用状況届出書を記入する際は、在留カードの内容を必ず確認するようにしましょう。事業主は提出した内容が正確かどうかの責任を負うことになっています。もし記入した内容に間違いがあったり、虚偽の内容が記されていたりした場合、雇用対策法40条1項により30万円以下の罰金を支払わなければならないことがあります。名前や在留資格、資格外活動許可の有無など届出書に記入しなければならないことはもちろん、在留カードが有効期限内のものなのかも確認するようにしましょう。

提出を忘れてしまったら

 

「外国人雇用状況届出書が注目される理由」でも説明しましたが、外国人雇用状況届出書を期限内に提出しなかった場合、30万円以下の罰金刑に処される可能性があります。仮に期限内に提出することを忘れてしまった場合、速やかにハローワークに連絡するようにしましょう。連絡しないでそのままにしていても、いいことは一つもありません。どうすればいいのか自分で判断するのではなく、連絡したうえで、ハローワークから与えられた指示に従って手続きをするようにしてください。

外国人雇用状況届出書の提出は義務

この記事では、外国人雇用状況届出書がどういうものなのか基本的な情報に加えて、提出が必要な対象者、提出するにあたっての注意点などについて説明してきました。外国人雇用状況届出書の提出は、雇用主の義務です。期限内に提出しなかった場合や、記入内容にミスおよび虚偽の内容があると30万円以下の罰金を払わなければならない可能性があるので注意しましょう。ぜひこの記事で説明したことを手掛かりにして、間違えのないように外国人雇用状況届出書を提出してください。

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