グループダイナミクスとは【意味や役割について具体例とともに解説します】

記事更新日:2023年02月13日 初回公開日:2023年02月13日

企業や施設および教育では個人一人の力ではどうしようもなく、少人数から大規模のグループをつくり組織化して行動します。グループダイナミクスは、そうしたグループと個人の相互作用により、双方のモチベーションが上がり生産性も上がるという特性を裏付ける理論です。グループダイナミクスの全容はいまも解明されておらず、その効用と危険性について研究が続けられています。ここではグループダイナミクスの解明された特性を詳しく解説いたします。企業や施設などにグループダイナミクスの導入を検討されている方々は、ぜひ参考にしてください。

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グループダイナミクスとは

人の思考は集団から影響を受け集団に対して影響を与えるという特性

グループダイナミクスとは、個人が集団に属することにより個人の思考に集団の意志が影響を与えるとともに、その個人の意志も集団に影響を与えるという相互作用の特性です。この作用を上手く利用することでモチベーションアップがはかられ、個人では発揮できない能力を発揮することや効率の良い作業ができることが知られています。企業や教育の現場では仕事の能率アップや学習力向上のために積極的に取り入れられており、グループダイナミクスという学問としても研究が続けられています。

心理学者のクルト・レヴィンによって研究された集団力学のこと

グループダイナミクスはアメリカで発表された理論ですが、研究して理論としたのはドイツの心理学者であるクルト・レヴィン氏です。ドイツ出身の彼は自国で哲学を学んでいましたが、ヒトラーのナチス政権下でユダヤ系の血をひくレヴィン氏は居場所をなくしてアメリカに亡命し研究を続けます。ダイナミクスとは動力学という意味の英語で、グループダイナミクスは集団力学と直訳され、いまでは経済学や心理学および教育用語やビジネス用語として世界中で広く知られる言葉となっています。

介護や福祉の分野でも利用されている

グループダイナミクスは前述のように経済学や心理学および教育の現場において有名となっていますが、介護や福祉の分野でも利用されています。介護や福祉のように少人数で多数の人を相手にする仕事では、グループダイナミクスの効果が大きく反映されます。定期的なディスカッションを行い、個人同士の障壁を取り払って話し合いをすることで情報の共有ができるとともにお互いを良く理解し合え、施設内で抱える問題も解決できる有効策です。

集団による圧力が大きい場合にグループダイナミクスの傾向が強くなる

グループダイナミクスは集団の圧力が大きいほど、相互に与える影響力が強くなる傾向が見られます。圧力とは団結力の強さとも言い換えることができ、グループが同じ目標に向かい1つの強いまとまりになるほど効果も大きいといえます。ただし、グループを作ればすぐに効果が現れるというものではなく、時間をかけて育んでいくものです。グループに属する個々の類似性が高いとか、リーダーの影響力が大きいことで集団の圧力が大きくなることが多くあります。

集団凝集性の向上により集団圧力が大きくなる

集団の団結力を凝集性とも呼びますが、凝集性が高くなれば団結力は強くなり、個人では難しい持続性や大きな効果も期待できます。しかし一方では、大きな集団の力に個々の意見が通りづらくなることや、集団の意見に押されてしまい正論であっても自分で抑制してしまうことがあるので危険です。グループダイナミクスは強力なリーダーにより牽引されると凝集性の向上によって集団圧力が増大し団結する力も強くなりますが、間違った思想に偏る危険性もはらんでいます。

グループダイナミクスの具体例

集団内で優秀なリーダーとメンバーの関係

グループダイナミクスでは、リーダーがグループやメンバーに大きな影響を与えることも事実です。強引で行動力のあるリーダーならば、グループ内の結束も強くなり士気も上がりますが、一つ間違えると独裁のような状況にもなりかねません。逆に穏やかで温厚な人であれば、多くの意見を採り上げてくれますが決断まで多くの時間を要します。優秀なリーダーとは大勢の意見を十分に聞くとともに、客観的に見て判断をくだせる冷静な人が適任と言えるでしょう。

集団における適切な目標設定

グループダイナミクスでは適正な目標を設定することが重要です。企業などでグループダイナミクスを導入したとしても、現実とはかけ離れた高すぎる目標を掲げることは良くありません。明らかに達成が難しいと思う目標は、個々のモチベーションを下げるとともにグループ全体の士気も低下します。絵に描いた餅は、どんなに優秀な人材をグループに集めたところで目標達成はおろか、平均以下の結果に終わることさえあります。目標は、努力すれば達成できる過去のデータに基づいた目標を設定することが大事です。

グループダイナミクスのメリット

個人や集団のパフォーマンス向上

グループダイナミクスの大きなメリットは、個人の持つパフォーマンスを集団に提供できることです。逆も然りで、集団のパフォーマンスの方が個人よりも上回っているならば、個人は集団より高いパフォーマンスを提供してもらえます。これらはスポーツなどにも良く使われる手法で、より高いレベルのグループに属することで高いパフォーマンスを手に入れることができます。また、グループリーダーにレベルの高い人材を起用することで、全く違うレベルの高いチームに変貌することがあるのもグループダイナミクスの特徴です。

チームワークの障壁を減らし、よりよいコミュニケーションを生む

グループダイナミクスではグループ全員が他の個人を評価するため、自分が気付かない側面の評価を聞くことができます。そこで会社での人事評価や人材育成にグループダイナミクスを採用して役立てる企業が増えているのが現状です。グループの中で複数の人が個々について同じ見解をしたならば、やはり自分の意見とは異なっても参考にするべきです。また、自分ではそんなに気にしていない個々の特性を他の多数が気にかけていることもディスカッションなどで明らかになることもあるので、個人の評価に大いに役立ちます。

グループダイナミクスの有効な使い方

会社の評価方法や人材育成手法に活かす

グループダイナミクスでは共通の目標や指針を持っている人が集まることで、より団結力が強くなります。団結力は互いを援助する方向に力が向くため、失敗しても損失は少なく成功すれば大きな効果が期待できる手法です。繰り返しになりますが、共通の指針と目標を持つことを確認するには相応の時間がかかります。何度も忌憚のない意見をぶつけあい、お互いを尊重できる状態までにする必要があります。綿密な計画を立てて、新人なども早くグループに馴染める構造をつくりましょう。

良いグループダイナミクスの傾向とは

共通の指針に基づく団結力がある

良いグループダイナミクスには個々の失敗をカバーするなど、連帯感を持つ集団凝集性が多く見られます。仕事ではミスを人のせいにしがちですが、同じ目標を持ち相手のことを良く知ることで相手を補佐してあげようという気持ちが芽生えます。とくに思考や趣味などが似ている場合には、より親近感や連帯感を強くすることに一役買い大きな効果が期待できます。連帯感を持つ集団凝集性を高めるためには、何度も議論を重ねることが大事であり、単なる会議ではなく本音で話すことが重要です。

連帯感を持った集団凝集性がある

グループダイナミクスでは個々やグループに良いことばかりではなく、集団に行うことで悪影響を及ぼす注意点があります。その1つが「グループシンク(集団浅慮)」による意思決定です。グループでの決め事であっても全てが正解の方に進んでいくとは限りません。自分がグループに属していても、何か変だと気付くこともあるでしょう。しかしグループの圧力が強いため、引き下がってしまいグループは道を外れてしまいます。グループシンクに陥らないためには、少数の意見にも耳を傾けることが大事で、個々も遠慮せず一人であっても意見しなければいけません。

陥りやすいグループダイナミクスの注意点

グループシンクによる意思決定

グループダイナミクスの陥りやすい注意点として、「グループシフト(集団傾向)」が挙げられます。過激なリーダーによって起きる事が多いグループシフトですが、穏やかな性格のリーダーであってもグループシフトは起きてしまうので注意が必要です。グループシフトとはグループの一員であるという意識だけが働き、個人での責任を放棄してしまいます。間違ったことであっても「自分一人くらい」とか「誰かに任せておこう」という責任逃れから、集団で間違った行為をするという非常に危険な行動です。集団に属していても個人の責任は別であると肝に銘じておきましょう。

グループシフトによる極端な方向性

グループダイナミクスを活用する際の最も重要なポイントはコミュニケーションの手段を整えておくことです。本来は親睦を深めるためにもグループが同じ場所に集まって顔を合わせて話すのが最も良いと考えられます。しかし現在ではグループ全員が同じ時間に集まることは難しくなっており、テレビ会議やスマホを使ってグループダイナミクスが行われるようになりました。顔を見ながらでは言いづらいことでもスマホなら言えるということもあり、どれが良いとはいえません。スマホやテレビ会議などでは環境を事前に整えておくようにしておきましょう。

グループダイナミクスを活用する際のポイント

コミュニケーションの手段を整える

グループダイナミクスではリーダーだけが話すという傾向が多く見られ、グループ全体が話している雰囲気が感じられないことがあります。必ず出席する全員に意見を言ってもらうとか、個々の意見は絶対に否定しないなど、みんなが話しやすいルールと雰囲気を作りましょう。決めたことについてはペナルティを課すことも一つの方法で、グループ全体の規律が守られます。できれば規則や決定事項は明文化して配布し、誰でもいつでも見られるようにするのがおすすめで、進行状況なども把握できます。

グループ内での問題を見極めて解消する

グループダイナミクスではディスカッションごとに議題を決めておき、そのときに決められなかったことや問題になったことは次回のディスカッションに持ち越しましょう。事前に議題が分かっていれば話し合いはスムーズに進行するため、事前に資料を配布するのも良いことです。また、日常の業務などで問題となっていることは常に議題に挙げるようにメモなどに残しておき、新人が気付いた些細な部分にも耳を傾けることで、見逃していた問題が解決できることを忘れないようにしましょう。

グループ内での行動規範を設ける

グループダイナミクスではリーダーだけが話すという傾向が多く見られ、グループ全体が話している雰囲気が感じられないことがあります。必ず出席する全員に意見を言ってもらうとか、個々の意見は絶対に否定しないなど、みんなが話しやすいルールと雰囲気を作りましょう。決めたことについてはペナルティを課すことも一つの方法で、グループ全体の規律が守られます。できれば規則や決定事項は明文化して配布し、誰でもいつでも見られるようにするのがおすすめで、進行状況なども把握できます。

まとめ

グループダイナミクスを構築し生産性の向上に繋げよう

グループダイナミクスの導入が成功すれば大きな成果が得られることは間違いありません。企業であれば生産性はあがり、社員同士のコミュニケーションがとれて結束力が強くなるため、離職者や問題をおこすことも少なくなるでしょう。ただし、グループダイナミクスは間違えると集団で大きな間違いをおかすこともあります。グループダイナミクスを正しい方向で運営していくため、その基盤を盤石に構築するように担当の方々は事前に十分な準備をして生産性の向上に繋げましょう。

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