裁量労働制とは【フレックスタイム制との違いなど】

記事更新日:2020年10月30日 初回公開日:2020年10月19日

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日本の企業は「労働者不足」や、「生産性の低下」などの多くの問題を抱えています。それらを解消するため、多くの企業は働き方改革に力を入れていますね。例えば「フレックスタイム制」の導入で働く時間の改善。「育休制度」の見直しにより女性でも働きやすい環境作り。といった様々な政策が行われています。働き方改革の中でも注目されている「裁量労働制」をご存知でしょうか?今回の記事では「裁量労働制」について詳しく解説していきます。

裁量労働制とは?簡単に

労働時間に関わらず業務内容や成果で賃金が支払われる

「裁量労働制」とは簡単に説明すると、労働時間に関わらず業務内容や成果賃金が支払われる働き方の事を指します。一般的に定められた時間(9時から17時等)勤務する事によって、給料が支払われる企業が多いのではないでしょうか?裁量労働制はこの働きとは異なり、与えられた仕事をこなすことで給料が発生します。そのため「出勤時間」「退勤時間」「就業時間」などすべての労働時間を個人で定めることが可能。裁量労働制の理解を深めるために「みなし労働時間」について解説します。

あらかじめ「みなし労働時間」を定める

みなし時間とは、実際の労働時間に関係なく事前に定めた労働時間分労働したとみなす時間のことを指します。例えば、みなし時間を8時間に定めたとします。1日の仕事が5時間で終わってしまったとしとも、8時間労働したことになります。逆に10時間労働しても、8時間労働したことにしかなりません。仕事量とみなし時間のバランスが大切になるので、労働時間の算出は労使の合意が絶対条件。また、対象労働者の同意義務や労働基準監督署への届出なども必要になります。

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裁量労働制のメリット

多様な働き方に対応出来るため労働生産性が高まる

メリットは大きく分けて2つあります。裁量労働制のメリットの1つ目は「多様な生き方に対応出来るため労働生産性が高まる」ということです。裁量労働制ではみなし時間を定めています。その時間の範囲内で仕事を終わらせればよいので、自分の生活に合わせた働き方が可能に。また裁量労働制では、様々な生活スタイルに対応できます。そのため働き手が増加し、生産労働制が向上。例えば、今まで勤務時間の都合と子供の送迎の時間が合わなかった主婦の方でも、労働が可能になるのです。

人件費が想定しやすい

2つ目は「人件費の想定がしやすい」ことです。一般的な企業の場合、人件費には「固定費」と「変動費」が存在します。基本給の部分は固定費で、残業代やボーナスは「変動費」です。人件費を削減するためには「変動費」である残業代を減らしていくのが効率的です。変動費を抑える事で、固定費計算のみになるので売り上げが想定しやすくなります。企業の方針を定めるには売り上げの計算は必要です。裁量労働制は基本的に残業という概念がない事から、人件費が想定しやすいです。

裁量労働制のデメリット

勤務時間がバラバラなため組織づくりが難しい

続いては裁量労働制のデメリットを見ていきましょう。1つ目は「組織作りの難しさ」です。企業は組織で動いていますね。組織作りは非常に大切と言えるでしょう。しかしながら、先ほども上げたように裁量労働制では、働く時間帯がバラバラです。勤務時間が異なると、社員同士のコミュニケーションが激減。組織作りに影響を与えます。裁量労働制を導入する際は、社員同士のコミュニケーションを取る場を設けたり、組織作りのマニュアルを準備したりと対策を考えておくと良いでしょう。

成果を求め長時間労働になってしまうこともある

2つ目のデメリットは「成果を求め長時間労働になってしまう」という事です。何かに夢中になって時間を忘れていた経験はないでしょうか?結果を気にして、納得いくまで取り組む事は良い事です。しかし時間を延長しすぎると労働基準法に反してしまう事があります。そうなっては企業の経営が出来なくなったり、社員の体調が崩れたりすることも。そうなっては大変です。社員は自分に労働時間の裁量が与えられています。多くのメリットがある反面、社員が自己管理をしなければならないという責任が生じます。

厚生労働省が定めた職種

専門業務型裁量労働制(19種類)

裁量労働制を適用するには、条件があります。①厚生労働省が定めた19業務に該当する事。②実際にその業務に就くこと。この2点です。この2つの条件を満たしていなければ、裁量労働制で働くことが出来ません。以下がその19業務です。(1) 新商品、新技術の研究開発。又は人文科学自然科学に関する研究の業務(2) 情報処理システムの分析又は設計の業務(3) 新聞、出版の事業における記事の取材、編集の業務、放送法の制作のための取材、編集の業務(4) デザインの考案の業務(5) 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー、ディレクターの業務(6) コピーライターの業務(7) システムコンサルタントの業務(8) インテリアコーディネーターの業務(9) ゲーム用ソフトウェアの創作の業務(10) 証券アナリストの業務(11) 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務(12) 学校教育法に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)(13) 公認会計士の業務(14) 弁護士の業務(15) 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務(16) 不動産鑑定士の業務(17) 弁理士の業務(18) 税理士の業務(19) 中小企業診断士の業務

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制とは、「企画等の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務の追行方法に関し使用者が具体的に指示をしない事」とされています。具体的に企画業務型裁量労働制が導入できる事業場は「①本社・本店の事業場②該当事業場の属する企画等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場③本社・本店である事業場の、具体的な指示を受けることなく独立に、該当事業場に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支店・支店等である事業場」となっています。

裁量労働制の残業について

残業代が発生する場合がある

裁量労働制では原則として、残業代は支払われません。みなし時間の中で、業務をこなすことになっているので、残業と言う概念がないのです。しかし例外として支払われるケースが3つあります。「①1日のみなし労働時間が8時間を超えるように設定した場合(1週間で40時間を超える場合)」「②深夜時間に労働した場合「③休日に労働した場合」これらに該当する場合は残業代を支払う必要があります。これらに該当しているのにも関わらず、残業代を支払わない場合は罰則になるので注意が必要です。

裁量労働制の遅刻について

遅刻や早退という概念はない

通常の労働態勢では、例えば9時から18時までが勤務時間と定められており、勤務時間や退勤時間が少しでもずれると、遅刻や早退扱いされることが一般的ですよね。裁量労働制ではみなし労働時間の中で業務を行えば良いので、裁量労働制に遅刻や早退の概念はありません。例えば、1日のみなし労働時間が8時間と定められているとしましょう。もし仕事を丸一日休んだとしても、次の日に16時間業務をすればいいという事です。今の例は極端ですが、みなし労働時間の中で労働すればいいので、そもそも遅刻や早退と言う概念はありません。

出勤時間の管理は裁量労働制の主旨に反する

先ほど裁量労働制では遅刻や早退の概念がないとの話をしました。出勤時間の管理をしてしまうと、裁量労働制とは言い難いです。みなし労働時間も設定されて、出勤時間も設定されては、一般的な働き方と変わりませんよね。注意点は裁量労働制の場合、出勤時間は管理する必要はないですが、勤怠時間はきちんと管理する必要があります。みなし時間と比較して現状どのくらいの時間、勤務しているのかを把握していないと長時間労働になりかねません。

裁量労働制の注意点

労働時間が大幅に伸びてしまうことがある

裁量労働制の注意点は「労働時間が大幅に伸びてしまう可能性がある」ことです。みなし労働時間を設定して、与えられた仕事に対して成果を出すという裁量労働制。みなし労働時間と求める成果の設定を間違えると、労働時間が足りないという問題が発生してしまいます。通常みなし労働時間は1ヵ月で40時間とされています。企業は社員の能力を見極めて40時間内で成果を出せる仕事内容を設定しましょう。このバランスの難しさが裁量労働制の懸念点と言えます。

企業は勤怠管理を徹底する事が求められている

企業は勤怠管理を徹底する必要があります。裁量労働制の場合、企業が最も力を入れるべきポイント。この管理を怠ると、長時間労働の原因となってしまいます。長時間労働をさせてしまうと、企業は「人件費、光熱費、保険料」の出費。社員がストレスや体調不良を原因とした、生産性の低下に繋がります。社員はメンタルヘルスへの悪影響や、家族との時間が失われます。企業にとっても、社員にとってもいい事はありません。勤怠管理は徹底して行うようにしましょう。

裁量労働制でも36協定を結ぶ必要はあるのか?

裁量労働制でも36協定は結ぶ必要がある

裁量労働制を導入する際には、企業と社員で労働協定を結ぶ必要があります。ここでみなし労働時間の規定などの具体的な内容を定めます。定めた後は労働基準監督署に提出。提出後の許可が出る事で、裁量労働制での雇用を開始する事が可能に。具体的な内容を定める際に出てくるのが36協定です。36協定とは1日8時間の労働を超える場合に締結する必要になります。この36協定をそもそも結ばなかったり、違反をしてしまうと、「6ヶ月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」が科されます。

残業時間は年間で360時間と定められている

36協定は労働時間の上限が定められています。労働時間を月間45時間まで。年間360時間までとなっています。実際に計算してみます。1ヶ月の平均出勤日数が20日間だとしましょう。みなし労働時間を10時間と定めた場合、月間の労働時間は40時間となります。労働時間の上限は超えていないので違反にはなりません。しかし、年間で計算すると480時間となってしまうので違反になります。ですから、1日10時間のみなし労働時間は違反になるのです。

裁量労働制とフレックスタイム制度の違い

フレックスタイム制度は始業と終業の時間を自由に選択できる

裁量労働制と似ている制度が「フレックスタイム制度」です。フレックスタイムとは定められた労働時間において、出勤時間と退勤時間を定められる制度。絶対に出勤していないといけない時間をコアタイム、出退勤を自由に定められる時間帯をフレキシブルタイムと言います。フレックスタイム制度のメリットは「人件費削減」「仕事の多様性」などが挙げられます。制度の内容やメリットが似ている事から、裁量労働制とフレックスタイム制度は混合しやすいです。大きなポイントは「みなし労働時間」の有無です。詳しく見てみましょう。

違いは「みなし労働時間」の設定の有無

フレックスタイム制度と、裁量労働制の大きな違いは「みなし労働時間」の有無です。フレックスタイム制度にはみなし労働時間は存在しません。裁量労働制の場合、みなし時間さえ厳守すれば勤怠時間は「自由」と言う表現が出来ます。フレックスタイム制度は出勤と退勤の時間は「自由」なものの、コアタイム(絶対に出社していなければいけない時間帯)があります。この点が大きな違いと言えるでしょう。企業のスタイルに合っている働き方を選択しましょう。

裁量労働制は特殊な労働形態です

労働時間とみなし時間の適切な設定をしましょう

裁量労働制について理解できたでしょうか?裁量労働制は通常の働き方と大きく異なります。裁量労働制は就活生や世間一般から見ると「自由度が高い」と思われ、注目を集めている働き方。しかし、「導入可能な業種が定められている」「導入要件が厳しい」といった理由から事例が少なく、導入のハードルが高いです。「みなし労働時間」と「求める成果」のバランスを考える事が裁量労働制を導入する上で非常に大切な事と言えるでしょう。

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