準委任契約とは【委任契約との違いやメリットデメリットについても解説します】

記事更新日:2024年08月21日 初回公開日:2024年08月21日

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外部の法人や個人に仕事を依頼する際には、準委任契約を締結することがあります。準委任契約とは、業務委託契約の1つです。業務委託契約には準委任契約、委任契約、請負契約があります。また、業務委託契約以外にも様々な契約があります。準委任契約を理解するには他の契約との違いを知っておく必要があります。本記事では、準委任契約について他の契約との違いなどに触れた上で、準委任契約のメリットデメリット、注意点についても詳しく解説します。準委任契約について知る際の参考としてご活用いただけると幸いです。

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準委任契約とは

特定の業務を行うことを定めた契約のこと

準委任契約とは、業務委託契約の一種で、特定の業務を行うことを定めた契約のことです。準委任契約の目的は特定の業務の遂行であり、業務を行った結果や成果物完成の義務に責を負うものではありません。業務についての結果が期待したものと異なる場合であっても、受任者に対してやり直しや損害賠償の要求をすることはできないものとなっています。準委任契約の特徴として、委任者は受任者に対して指揮命令権がないため、受任者の業務遂行に対して指示が出せないことに注意が必要となります。

準委任契約と委任契約の違い

委任契約は法律行為を依頼する際に締結

準委任契約と委任契約との違いは、法律行為を依頼するかどうかです。委任契約は、法律行為を依頼する際に締結するものであり、準委任契約では法律行為以外の業務を依頼します。法律行為とは、その行為が法令に基づく一定の効果を生む行為のことで、弁護士に裁判所への訴訟代理を依頼するケースや税理士に確定申告の手続き代行を依頼するケースなどが該当し、委任契約を締結します。また、委任契約は本来無償契約であり、報酬が発生する場合には別途定める必要があります。

準委任契約と請負契約の違い

請負契約は仕事の結果を出すことを約束

請負契約は仕事の結果を出すことを約束する契約です。請負契約を締結した場合には、結果を出した場合初めて報酬を得ることができます。例えば、工事依頼や運送会社への運送依頼、デザイン依頼などの際に結ぶ契約が該当します。これらは仕事を完了させることで、報酬を支払います。請負契約は仕事の完成を目的としているため、業務の遂行自体が目的となる委任契約や準委任契約とは異なります。業務委託などは、内容により請負契約にあたる場合もあります。

準委任契約と派遣契約の違い

派遣契約は派遣元と派遣先で締結

準委任契約は仕事をしたい人と仕事を請ける人とが契約して、仕事を請ける人自身が仕事を行うという契約です。派遣契約は、派遣元となる派遣会社と派遣先となる仕事を依頼したい会社が派遣契約を締結することで、派遣会社が派遣先に労働者を派遣することができます。派遣契約の場合、派遣される労働者は派遣先の指揮命令下に入り、派遣先の就業規則や職場のルール、指示に従う必要があります。一方で、準委任契約では指揮命令関係が発生しません。

準委任契約とSES契約の違い

SES契約はシステムやソフトウェア開発を依頼する際に締結

SES契約はシステムエンジニアリング契約のことであり、システムやソフトウェアなどの開発や運用をシステム会社や開発会社、エンジニアやプログラマー個人に依頼する際に締結します。SES契約は準委任契約の1つであり、業務の遂行が目的となる契約です。IT業界においては、準委任契約であるSES採用が一般的に採用されています。準委任契約の1つであるため、特定の業務を委任または受託する契約の内容に準じているため、SES契約で働くシステムエンジニアに対して指示命令をすることはできません。

善管注意義務とは

要求される注意義務を果たす義務のこと

準委任契約の受任者は委任者に対して善管注意義務を負います。善管注意義務とは、要求される注意義務を果たす義務のことであり、民法で定められています。業務の過程で、明らかに許容できない怠慢な態度で仕事をしていて委任者に損害を与えた場合、受任者はその損害を賠償しなければなりません。先ほど違いを述べた契約の中では、義務が発生しない場合もありますが、準委任契約においては受任者に義務が発生し損害賠償が課されます。

準委任契約の種類

成果完成型

準委任契約の種類には2種類あり、1つは履行割合型です。履行割合型は業務を遂行する上での労務に対して報酬を支払う形式のため、業務を遂行していれば報酬が発生し、業務の完成は問われません。報酬は業務にかかる時間や工数に応じてなど、契約内容によって決まります。仕事を受けた受任者は責任の有無に関わらず業務が遂行できなくなった場合や、契約が途中で解除された場合であっても、履行した割合に応じて報酬の請求が可能であるため、受任者に責任があるからと報酬を支払わないということはできません。

履行割合型

もう1つは成果完成型です。成果完成型は、成果が完成してから報酬が発生する形式で、業務遂行の途中では報酬が発生しません。成果完成型は請負契約と類似していますが、準委任契約の成果完成型の場合、成果物の納品を持って報酬を支払う約束が契約内容となります。そのため、請負契約のように、業務を完成させる義務が生じません。委託する業務内容によっては、仕事の仕様変更などに対して比較的柔軟な対応を取りやすい成果完成型の方が委託者としてはリスクの低い契約であると言えます。

準委任契約のメリット

契約期間の制限がない

準委任契約のメリットとして、契約期間の制限がないことが挙げられます。準委任契約は成果物の納品ではなく、業務の遂行が目的であるため、委任者と受任者の双方の合意があれば、契約期間中の業務内容の変更や契約期間の延長や短縮ができます。派遣契約などにおいては、契約期間は原則31日以上も設ける必要があり、最大3年までとなります。準委任契約では、契約期間の制限がないため自由に設定ができるところが準委任契約のメリットです。

専門業務をプロに委託できる

専門業務をプロに委託できる点も準委任契約のメリットです。例えば、IT業界では、特定の知識や技術を生かして業務を遂行することがあります。準委任契約では、業務遂行そのものを任せられるため、予算的に正社員としての採用コストをかけることが難しい場合でも、採用コストをかけずに専門知識に長けている人が業務に携わることができます。専門知識が必要な業務をカバーしてもらうことで、業務を効率的に進めることが可能です。

要した時間や工数に応じて支払いができる

要した時間や工数に応じて支払いができることも準委任契約のメリットです。履行割合型の場合、成果物ではなく業務を行うことを目的としているため、業務を行なった工数や作業時間に応じて報酬を支払います。そのため、業務が契約期間よりも早く終了した場合、その時間に対して報酬を支払うことができます。業務を行うのに必要な時間に対しての支払いであるため、適したコストを利用することがメリットです。広告の運用代行やサポートデスクなどのような、成果をはかりにくい業務や納期などのない業務には、請負契約などの契約よりも準委任契約が適しています。

準委任契約のデメリット

仕事についての指揮命令権がない

準委任契約のデメリットとして、指示命令権が挙げられます。委任者に指示命令権がなく業務に関することは受任者に任せることとなるため、時間拘束や稼働場所などの指示は基本的に行うことができません。進捗が遅い場合には、指示を行うことはできませんが進捗が遅い理由を問うことは可能となります。委任者が受任者に指揮命令をしてしまうと偽装請負となり、損害賠償の請求や行政処分などを受けてしまう可能性があります。具体的な指示を行いたい業務の場合には、準委任契約以外の契約方法を利用する方が良いでしょう。

求める成果が得られない可能性がある

求めるような成果が得られない可能性がある点も準委任契約のデメリットです。準委任契約は業務を行うことが目的の契約となるため、委任者が思っていた結果と異なる結果になる可能性があります。このような場合であっても報酬を支払わなくてはなりません。ただし、修正依頼は行うことができます。この場合には、その分契約期間が伸びてしまい、業務スケジュールが遅延したり、コストが余分にかかったりすることが考えられます。受任者との進捗の確認や業務に関する認識のずれが生じていないかなどのコミュニケーションを図ることが重要となります。

望まない契約解除がある

望まないのに契約が解除されることがある点も準委任契約のデメリットとなります。準委任契約では、受任者と委任者の双方がいつでも契約を解除することが可能であることが原則であるため、委任者が望んでいないのにも関わらず契約を解除される可能性があります。業務が順調に進んでいる場合でも、契約が解除され業務が途中で止まってしまう可能性があることに注意が必要となります。このリスクを避けるためにも、契約の解除に関わる項目についても詳細を決め、双方で話し合う必要があります。

準委任契約の注意点

偽装請負になっていないか

準委任契約の注意点として、偽装請負になっていないか確認する必要があります。偽装請負とは、形式上は業務委託契約であるにも関わらず、実態は労働者派遣契約と同様の状態であることを指します。準委任契約では、委任者と受任者は対等な立場で業務を行うことが前提であり、指揮命令関係は発生しません。しかし、業務や勤務時間、勤務場所などの業務に関する命令を委任者が受任者に対して指示を足してしまうと偽装請負にあたる可能性があります。偽装請負とならないようにするためには、委任者と受任者の双方が契約形態を明確に理解し、依頼する業務内容や条件に合った契約形態を選択することが重要となります。

内容が明確になっているか

準委任契約を行う際には、内容を明記した準委任契約書を作成しましょう。準委任契約の場合、履行割合型と成果完成型のどちらかにあたるかも明記し、支払い時期がいつになるかを明確に示しておくことが重要です。また、併せて準委任契約書には業務内容と業務範囲、報告義務の内容、受任者が負担する費用、知的財産権の所在、損害賠償の有無、契約解除の方法などについて明記しましょう。業務を行う際に多額の費用がかかることがあり、誰が費用を負担するかをめぐってトラブルになる可能性もあります。トラブルを避けるためにも締結段階で定義しておくことが重要です。

印紙が必要な場合がある

準委任契約では、印紙が必要となる場合があることに注意が必要です。基本的には印紙税が課税されないため、印紙が不要です。しかし、金銭の支払いが発生する場合や物件の譲渡がある場合など、例外的に課税対象となる場合があります。準委任契約の課税対象となりうる文書は準委任契約と請負契約の性質を併せ持つ契約です。主に、不動産・権利・消費賃貸・運送などの無形財産権に関わる契約書である1号文書、請負に関する契約である2号文書、継続取引の基本となる契約書である7号文書が挙げられます。印紙が必要となる場合には、代金を委任者と受任者のどちらかが負担するのかを契約書に明記しましょう。

まとめ

準委任契約を理解し適切な契約をしよう

準委任契約とは、業務委託契約の1種で法律行為以外の業務を目的とした契約です。準委任契約について理解するためには、委任契約、請負契約、派遣契約などの様々な契約との違いを明確に認識することが大切です。また、準委任契約書を締結しても不備があればトラブルにつながる恐れもあるため、注意点などについても理解し、トラブルや法律違反を防ぐことも大切です。準委任契約とほかの契約との違いをしっかりと把握し、依頼する業務内容に適した契約方法を選択しましょう。

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