記事更新日:2026年08月20日 | 初回公開日:2026年08月20日
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パートタイム・有期雇用労働法は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間にある不合理な待遇差をなくし、公正な待遇を確保するための法律です。貴社では、パートやアルバイトという呼称だけで対象者を判断していないでしょうか。短時間労働者に該当するかは、同じ事業主に雇用される通常の労働者より、1週間の所定労働時間が短いかで決まります。また、契約期間が定められた有期雇用労働者も対象です。そのため、雇用契約書や労働条件通知書を確認し、所定労働時間と契約期間の両方を整理しましょう。

パートタイム・有期雇用労働法は、2021年4月1日から中小企業にも適用されています。貴社では、中小企業であることを理由に、正社員との待遇差の確認を後回しにしていないでしょうか。法令に対応するには、まず対象となる労働者を把握する必要があります。対象者を把握した後は、賃金や福利厚生などについて、通常の労働者との違いを項目ごとに確認しましょう。待遇差が仕事内容や責任の違いに見合わない場合は、制度や関連する社内規程の見直しが求められます。

短時間労働者は、パートタイム・有期雇用労働法の対象です。短時間労働者に該当するかどうかは、同じ事業主に雇用される通常の労働者より、1週間の所定労働時間が短いかで判断します。たとえば、正社員が週40時間、パート従業員が週30時間勤務する場合、パート従業員は短時間労働者といえるでしょう。ただし、あくまで判断基準は「パート」「アルバイト」といった呼称ではなく、雇用契約で定められた所定労働時間です。また、雇用後に勤務日数や勤務時間が変われば、法律上の区分も変わる点に注意しましょう。契約更新や勤務条件の変更に応じて対象区分を見直せる運用を整えておきましょう。

パートタイム・有期雇用労働法の対象者には、契約期間を定めて働く有期雇用労働者も含まれます。有期雇用労働者に該当するかは、契約社員やパートなどの呼称ではなく、雇用契約に期間の定めがあるかで判断します。そのため、正社員と同じ時間働くフルタイム勤務者でも、有期契約であれば本法の対象です。また、契約更新を繰り返して長期間勤務している場合も、現在の契約に期間が定められていれば有期雇用労働者として扱われる点に注意しましょう。

同一労働同一賃金では、正社員と短時間・有期雇用労働者との間に、不合理な待遇差を設けることが禁止されています。貴社では、雇用形態による待遇差の理由を説明できるでしょうか。待遇に差を設ける場合は、職務内容や責任、配置変更の範囲などをもとに、その理由を整理する必要があります。ただし、仕事内容が似ているだけで、基本給や賞与、手当をすべて同額にする制度ではありません。待遇ごとの目的を確認し、差を設ける理由を説明できる状態にしておきましょう。
法改正により、有期雇用労働者も均等待遇の対象となり、均衡待遇と均等待遇の考え方が明確になりました。均衡待遇とは、正社員と短時間・有期雇用労働者で仕事内容や責任などが異なる場合に、その違いに応じて待遇を決める考え方です。ただし、違いに見合わない待遇差を設けることは認められません。一方、仕事内容や責任などが正社員と同じ場合は、雇用形態を理由に待遇差を設けない均等待遇が求められます。つまり、働き方に違いがあればその程度に応じて待遇を決め、違いがなければ同じ待遇にする必要があります。

パートタイム・有期雇用労働法における改正ポイントとして、労働者の待遇差についての説明義務の強化があります。雇い入れ時には、賃金の決め方や教育訓練、福利厚生施設の利用、正社員への転換制度などを分かりやすく説明しましょう。本人から求められた場合は、正社員との待遇差の内容や理由、待遇を決める際に考慮した事項を伝えます。また、説明を求めたことを理由とする不利益な取扱いは禁止されています。2026年10月1日からは、待遇差の内容や理由について会社に説明を求められることを、雇い入れ時に書面で知らせる必要があります。施行に備え、労働条件通知書などへ記載する内容をあらかじめ整理しておきましょう。

パートタイム・有期雇用労働法改正により、短時間労働者向けの裁判外紛争解決手続を、有期雇用労働者も利用できるようになりました。均衡待遇や待遇差の説明をめぐるトラブルも対象に含まれます。社内での話し合いが難しい場合は、都道府県労働局に解決の支援を求めることが可能です。労働局長による援助では双方の主張を整理し、調停では専門家が解決案を示します。企業は申出に備え、待遇差を設けた理由や労働者への説明内容を記録しておきましょう。

パートタイム・有期雇用労働法のメリットとして、非正規雇用者のモチベーション向上があります。貴社の従業員は、自分の働きや成果をどのように評価されているか理解できているでしょうか。評価の基準が曖昧な職場では、努力しても正しく評価されないという不満が生じやすくなります。仕事内容や能力、成果に応じた基準を設け、面談で評価の根拠を伝えることが大切です。さらに、正社員への転換要件や評価基準を示すことで、従業員は昇給や登用に向けて何をすべきか把握しやすくなります。

待遇や教育体制を整えることは、社内全体の生産性向上につながります。短時間・有期雇用労働者が必要な知識や技術を身につければ、作業の精度が高まり、ミスや手戻りを減らせるでしょう。また、待遇の基準を明確にし、能力に応じた教育を行うことで、短時間・有期雇用労働者が担当できる業務の範囲を広げられます。役割分担や業務の引き継ぎもしやすくなり、特定の従業員に業務が集中するのを防げるでしょう。ただし、待遇を見直すだけで成果が出るとは限りません。教育内容や業務の進め方も見直し、身につけた能力を実務に活かせる環境を整えることが重要です。

不合理な待遇差を解消し、評価や賃金の決定基準を分かりやすく示すことは、人材の確保にも役立ちます。貴社では、求人時に説明した待遇と、実際の労働条件が一致しているでしょうか。求職者は賃金額だけでなく、福利厚生や教育制度、正社員への転換機会なども確認しています。求人情報と実際の制度に違いがあると、入社後の不信感につながります。そのため、求人票や労働条件通知書、就業規則の内容をそろえ、評価や待遇の決まり方を説明できる状態にしておきましょう。安心して働ける環境を示すことで、長期的な定着も期待できます。

パートタイム・有期雇用労働法へ対応として、自社の雇用形態の確認があります。貴社では、パートや契約社員といった社内の呼称だけで対象者を分けていないでしょうか。対象者を正確に把握するには、呼称ではなく、実際の所定労働時間と契約期間を確認する必要があります。通常の労働者より1週間の所定労働時間が短い人は短時間労働者、期間の定めのある契約を結んでいる人は有期雇用労働者です。特に、正社員と同じ時間働く有期契約のフルタイム労働者は見落としやすいため、注意しなければなりません。そのため、雇用契約書や労働条件通知書、就業規則を照合し、対象者を一覧にまとめておきましょう。

対象者を把握した後は、待遇の現状を確認します。まず、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の待遇を項目ごとに比較します。賃金だけでなく、休暇や福利厚生、教育訓練など、働くうえで受けられる待遇を幅広く確認しましょう。たとえば、賃金の総額が近くても、個別の手当や制度の利用条件に不合理な差が残っている場合があります。そのため、合計額だけを見て待遇差がないと判断してはいけません。雇用契約書や賃金台帳、就業規則などをもとに、待遇ごとの対象者や支給条件を一覧表へ整理しましょう。

待遇差がある場合は、正社員と短時間・有期雇用労働者の待遇を一つずつ比べ、差を設ける理由を確認します。貴社では、雇用形態だけを理由に待遇を分けていないでしょうか。待遇差の妥当性は、賃金や休暇などをまとめて見るのではなく、項目ごとに判断する必要があります。その際は、仕事の内容や責任の重さ、異動の可能性など、待遇を決める根拠となる事情を照らし合わせます。確認した内容を記録しておけば、労働者から説明を求められた際にも、差を設けた理由を具体的に伝えられます。

確認の結果、不合理な待遇差が見つかった場合は、早期に改善する必要があります。改善する際は、短時間・有期雇用労働者の待遇を一律に引き上げるだけでなく、待遇差が生じている原因を確認しましょう。たとえば、手当の対象を正社員に限っている場合は、手当の目的を踏まえて対象者や支給条件を見直します。また、仕事内容や責任に応じて、基本給や賞与の決定基準を改める方法もあります。ただし、正社員の待遇を一方的に引き下げると、労働条件の不利益変更が問題になる可能性があります。就業規則や賃金規程を変更する際は、必要な手続を確認し、変更内容を労働者へ説明しましょう。

待遇制度を一度に見直すことが難しい場合は、改善計画を立てて順番に取り組みましょう。まず、見つかった待遇差を一覧にし、法律に反するおそれや労働者への影響をもとに優先順位を決めます。次に、それぞれの待遇差について、改善方法や担当者、対応期限を決めます。就業規則や賃金規程を変える必要がある場合は、手続の進め方や労働者に説明する時期も決めておきましょう。その後は、担当者が対応状況を記録し、関係部署で進み具合を共有します。制度を変えた後も定期的に確認し、新たな待遇差が生じていないか見直すことが大切です。

派遣社員の待遇は、主にパートタイム・有期雇用労働法ではなく、労働者派遣法に基づいて決めます。貴社では、派遣社員の待遇もパートタイム・有期雇用労働法に沿って確認していないでしょうか。派遣社員にも待遇差に関する規制はありますが、直接雇用する短時間・有期雇用労働者とは適用される法律が異なります。労働者派遣法では、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を図る方式と、一定の要件を満たす労使協定方式のいずれかで待遇を決めます。そのため、派遣元が採用している方式を確認し、必要な情報を共有しながら対応しましょう。

パートタイム・有期雇用労働法の対象者や、企業に求められる対応を整理できたでしょうか。対象者は社内での呼称ではなく、通常の労働者との所定労働時間の違いと契約期間の有無をもとに判断します。対象者を把握した後は、待遇を一つずつ比べ、差が生じている理由が仕事内容や責任の違いに照らして妥当か確認することが大切です。不合理な差が見つかった場合は、制度の内容だけでなく、就業規則や賃金規程も見直す必要があります。本記事で紹介した内容を、自社の雇用管理の改善に役立ててください。
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