ビッグファイブ理論とは【ビッグファイブ理論の5つの性格や分析アプローチ法などを解説します】

記事更新日:2025年10月27日 初回公開日:2025年10月27日

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採用した人材が期待通りに活躍しない、チーム内の連携がうまくいかず生産性が上がらないといった課題に直面していませんか?。多くの組織が抱える根深い問題で、人の特性を経験や勘といった主観だけで判断することの限界を示しています。状況を打開する鍵は科学的根拠に基づいた性格分析「ビッグファイブ理論」です。本記事を読めば、個人の特性を客観的に理解して適材適所の人材配置を実現する方法が分かります。感覚的なマネジメントから脱却し、データに基づいた組織作りを進めるために本記事を読み、第一歩を踏み出しましょう。

ビッグファイブ理論とは

人間の性格を5つの因子で説明する性格理論のこと

ビッグファイブ理論とは、人間の性格を5つの因子で説明する性格理論のことです。心理学の分野で数多くの研究者によって検証され、現在では最も信頼性の高い性格分析モデルの一つとして国際的に認知されています。ビッグファイブ理論の強みは特定の文化に限定されず、世界中の多くの社会で再現性が確認されている汎用性の高さにあります。「採用に客観的な指標が欲しい」と考える人事担当者にとって、ビッグファイブ理論は心強い味方となるでしょう。

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ビッグファイブ理論の5つの性格

Openness(開放性)

ビッグファイブ理論の5つの性格の一つに、Openness(開放性)があります。新しい経験やアイデアに対する好奇心の強さ、知的な探求心、想像力の豊かさを示す因子です。創造性が求められる場面で能力を発揮する傾向にあり、たとえば、美術館の静寂な空間設計から自社サイトの快適なUIを構想したりもするでしょう。一方で、この因子が低い場合は、既存のルールや手順に沿って着実に業務を遂行することを得意とします。開放性のスコアは、個人のポテンシャルを最大限に引き出すための適性を考えるうえで重要な指標となります。

Conscientiouness(誠実性)

ビッグファイブ理論の5つの性格の一つに、Conscientiousness(誠実性)があります。自己を律する力、責任感の強さ、目標達成に向けた粘り強さに関連する因子です。納期から逆算してタスクを細分化したり、潜在的なリスクを事前に洗い出して対策を立てたりする行動を取ります。プロジェクト管理や経理、法務といった緻密さと計画性が求められる仕事で重要な因子といえるでしょう。誠実性は個人のパフォーマンスだけでなく、組織全体の生産性にも影響を与える重要な要素です。

Extraversion(外向性)

ビッグファイブ理論の5つの性格の一つに、Extraversion(外向性)があります。一般的に外向性が高い人材は営業職や接客業、チームをまとめるリーダーといった役割で活躍することが期待されます。しかし、外向性が低いからといって対人業務に不向きなわけではありません。むしろ、聞き上手であったり深い思考を得意としたりする傾向があり、コンサルタントやカウンセラーなど1対1の深い関係構築が求められる仕事で強みを発揮します。

Agreeableness(協調性)

ビッグファイブ理論の5つの性格の一つに、Agreeableness(協調性)があります。協調性の高い性格因子は周囲へのサポートを惜しまず、円滑な人間関係の構築や顧客対応などの場面でも力を発揮するでしょう。ただし、採用やチームビルディングの際には注意が必要で、協調性が高すぎるあまり意見の対立を恐れて必要な主張ができない可能性もあります。チームの意見が間違っていると感じた時に、言うべきことを言えるバランス感覚があるかの確認も大切です。

Neuroticism(神経症的傾向)

ビッグファイブ理論の5つの性格の一つに、Neuroticism(神経症的傾向)があります。名称から誤解されがちですが、精神的な強弱そのものではなく、あくまで「感情の安定性」を示す指標となります。神経症的傾向のスコアが高い人材はリスクに対して敏感であり、物事を慎重に進める危機管理能力に長けている側面も持ち合わせています。一方、プレッシャーのかかる状況ではパフォーマンスが不安定になる可能性も考慮すべきでしょう。個人のストレス耐性を理解し、適切なサポートを行うことは、離職率の低下にもつながります。

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ビッグファイブ理論の分析アプローチ

性格特性論

性格を構成する特性因子を数値化しその度合いを分析する

性格特性論は、性格を構成する特性因子を数値化しその度合いを分析するアプローチです。人間の複雑なパーソナリティを単純なカテゴリに押し込めることなく、光の量をツマミで調整するように、各特性の「度合い」を測るのが特徴といえるでしょう。たとえば「協調性」が高すぎて逆に意見が言えない危険なレベルなのか、丁度良いバランスなのかといった違いがわかります。個人が持つポテンシャルの微妙な違いを把握できるため、採用の初期スクリーニングにおいて有効な判断材料を提供してくれます。

性格類型論

近いカテゴリに当てはめて特性を把握する

性格類型論は、近いカテゴリに当てはめて特性を把握する分析アプローチです。広く知られているMBTIは、16種類のタイプの中から「あなたはこのタイプです」と結果を示すため、性格類型論に分類されます。直感的で分かりやすいこと利点で、自分や他者がどのタイプに属するかを知ることで、チームビルディングの際に相互理解を促すための共通言語として機能するでしょう。ただし、採用選考の場面で用いるには注意が必要で、類型論は個人の細かな特性の強弱を捉えにくいため、ビッグファイブ理論(性格特性論)と目的別に使い分けが重要です。

ビッグファイブを分析するメリット

コミュニケーションの円滑化

ビッグファイブを分析するメリットとして、コミュニケーションの円滑化があります。私たちは無意識のうちに、自分の価値観を基準に相手の行動を判断してしまいがちです。たとえば外向性が高く、即断即決を好む上司が、神経症的傾向がありリスクを検討したい部下に対して不満を感じるケースは少なくありません。ビッグファイブは、こうしたすれ違いが個人の能力ではなく「性格特性の違い」から生じていることを客観的に示してくれます。

適材適所の人材配置が可能になる

ビッグファイブを分析するメリットとして、適材適所の人材配置が可能になることがあります。活躍するハイパフォーマーのビッグファイブを分析し、傾向を把握することで採用すべき人材のモデルを把握できます。たとえば、「当社の優秀なエンジニアは例外なく誠実性が高く、開放性も高い傾向がある」といったデータがあれば、採用基準が明確になります。面接官の主観に頼りがちだった選考プロセスに、客観的な判断基準を設けることができるでしょう。

ビッグファイブの活用場面

採用・人材配置

ビッグファイブの活用場面として、採用・人材配置があげられます。ビッグファイブ理論は、診断スコアで採用の合否を決めるものではありません。面接で候補者をより深く理解するための「質問の質」を高めるために活用しましょう。協調性のスコアが極端に高い候補者に対しては、「チームの和を優先するあまり、言うべきことを言えなかった経験はありませんか?」といった深掘り質問が有効です。候補者が持つ特性のポジティブな側面と、潜在的なリスクの両面を把握できるでしょう。診断結果を「仮説」として捉え、個人の資質を見抜く質問を用意することが大切です。

組織開発

ビッグファイブの活用場面として、組織開発があげられます。性格特性データを分析することで、チームが持つ強みや潜在的な課題を客観的に可視化できます。たとえば、「このチームは誠実性が高いメンバーが多く計画の実行は得意だが、開放性が低いため新しいアイデアが出にくいかもしれない」といった組織診断が可能になります。分析結果はチームビルディングのワークショップで活用したり、補完的な特性を持つ新しいメンバーを配置したりするなど、具体的なアクションプランを可能にするでしょう。

リーダーシップ形成

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ビッグファイブの活用場面として、リーダーシップ形成の場面があげられます。多くの人が「理想のリーダー像」を思い浮かべますが、実際には組織の状況によって求められるリーダーシップのスタイルは異なります。たとえば、事業の変革期には、新しい挑戦を恐れない「開放性」の高いリーダーが求められるでしょう。一方、安定した組織運営が求められる場面では、着実に物事を進める「誠実性」の高いリーダーが適任かもしれません。ビッグファイブを用いてリーダー候補の特性を分析することで、画一的ではない組織のフェーズに合ったリーダーの登用が可能になるでしょう。

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キャリア形成

ビッグファイブの活用場面として、キャリア形成の場面があげられます。多くの社員は、自身の強みや弱みを客観的に把握したいと考えています。ビッグファイブの診断結果を本人にフィードバックし、対話の機会を設けることで、社員は自己理解を深められるでしょう。「自分のこの特性を活かせる部署はどこか」「今後どんなスキルを伸ばすべきか」といったキャリアプランを、上司と部下が共通言語で話し合えるようになります。客観的なツールを用いてキャリア相談に乗る姿勢は社員のエンゲージメントを高め、自律的なキャリア開発を促します。

ビッグファイブを活用する時のポイント

能力ではなく傾向であることを理解する

ビッグファイブを活用する時のポイントは、診断結果が能力ではなく傾向であることを理解することです。たとえば、外向性のスコアが低いことは、コミュニケーション能力が低いことを意味しません。エネルギーの源泉が内側にあるというだけで、1対1の深い対話を得意とする可能性も十分にあります。「スコアが低いから不採用」といった短絡的な判断を下すのは、貴重な人材を逃す典型的な失敗例です。診断結果はあくまで個性を理解するための一つの材料と捉え、育成や環境設定によってパフォーマンスは変化するという点を忘れないようにしましょう。

固定観念や偏見につながる考え方を避ける

ビッグファイブを活用する時のポイントは、固定観念や偏見につながる考え方を避けなければなりません。「神経症的傾向が高いから、ストレスに弱いだろう」「協調性が低いから、チームでうまくやれないだろう」といったラベリングは危険です。ステレオタイプな見方は、個人の可能性の芽を摘んでしまうだけでなく、組織の多様性を損なう原因ともなります。神経症的傾向の高さは「危機察知能力」、協調性の低さは「独立した思考力」といったポジティブな側面もあります。多様な個性が集まることで、変化に強い組織が実現可能になります。

プライバシーに配慮する

ビッグファイブを活用する時のポイントとして、プライバシーに配慮することがあげられます。ビッグファイブの診断結果を最大限の配慮をもって取り扱うことは、人事担当者が遵守すべき法的、倫理的な義務です。診断を実施する前に必ず本人から同意を得る必要があり、診断データの利用目的を説明して目的外で利用しないことを約束しなくてはなりません。人談結果は個人情報保護法の対象となるため、アクセス権限を厳格に管理することも不可欠です。診断結果の不適切な取り扱いは、社員の信頼を大きく損なうリスクがあります。

まとめ

ビッグファイブ理論を活用して組織体制を見直そう

ビッグファイブ理論を活用して組織体制を見直しましょう。ビッグファイブ理論は採用のミスマッチ防止はもちろん、社員の育成や組織全体の生産性向上といった、人事が抱える幅広い課題の解決に貢献します。大切なのは理論を学ぶだけで終わらせず、明日から使える実践的なノウハウに落とし込み、リスク管理を徹底することです。まずは、貴社で活躍するハイパフォーマー数名に協力してもらい、彼らの特性を分析することから始めてみましょう。貴社独自の「成功モデル」のデータを用いることで、社員一人ひとりの長所が活かされる、組織作りが可能になります。

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