記事更新日:2026年05月12日 | 初回公開日:2026年05月11日
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60歳以上の再雇用としては、基本は65歳までの継続雇用が義務とされています。高齢者雇用安定法では、企業は再雇用を希望する社員を65歳まで継続して雇用する措置を取ることが義務とされています。そのため、60歳以上で定年後に再雇用が行われた場合、原則としては65歳までは契約更新をしながら働き続けることができるようになっています。再雇用は1年ごとの有期雇用が多く、勤務状況や体調、業務上の必要性をもとに契約が更新されます。

65歳以降の雇用継続については、法的な義務はなく企業の自主判断に委ねられています。政府は70歳までの就業機会確保を努力義務として求めていますが、実際には体力や職務内容、経営状況などにより対応はさまざまです。ただし、この雇用については法律上の義務ではなく努力義務にあたるため、再延長を実施しているかについては、企業ごとに異なります。働く意欲と健康状態に応じて柔軟に働き方を選べる環境づくりが、今後の課題といえるでしょう。

再雇用制度では、雇用契約の更新期間や上限年齢、評価基準などは企業が独自に設定し、定めることができます。多くの企業では1年単位で契約を更新し、その都度、勤務態度・健康状態・業務遂行能力などを総合的に判断して継続の可否を決定します。この仕組みにより、企業は経営状況や人員バランスに合わせた柔軟な雇用管理が可能になりますが、一方で従業員にとっては雇用の安定性が乏しいという課題もあります。そのため、評価の透明性や公正性を確保し、再雇用者が安心して働ける仕組みづくりが重要です。
60歳以上の再雇用制度に向けた制度の1つに定年の廃止があります。定年の廃止とは、一定の年齢で自動的に退職させる制度を設けず、希望する限り働き続けられるようにする仕組みです。年齢に関係なく、個人の能力や意欲に応じて雇用を継続できる点が最大の特徴です。少子高齢化が進む中で、経験豊富な人材を長く活かせることは企業にとっても大きな利点です。一方で、組織の若返りや昇進機会の確保といった課題もあり、年齢にとらわれない評価制度や柔軟な人事運用が求められます。

定年の引き上げも再雇用制度に向けた制度の1つです。定年の引き上げは、現行の定年年齢を延長し、より長く勤務できるようにする制度です。例えば60歳定年を65歳に引き上げることで、雇用と年金支給開始年齢の間の空白期間を解消できます。企業にとっては、熟練した人材を確保し続けられるメリットがある反面、人件費の増加や若手登用の停滞といった懸念もあります。そのため、職務内容の見直しや賃金体系の調整など、年齢構成のバランスを考えた運用が重要になります。

継続雇用制度とは、定年を迎えた社員を再雇用または勤務延長という形で引き続き雇う制度です。労働施策総合推進法により、希望する社員を65歳まで継続雇用することが企業に義務づけられています。再雇用の場合は、契約社員や嘱託社員として新たな条件で契約を結ぶケースが一般的です。この制度により、企業は人材活用を柔軟に行える一方、社員にとっても収入の確保や社会参加の継続が可能になります。公正な評価基準と働きやすい環境整備が、制度の実効性を高める鍵となります。
原則として、企業は60歳以降も働くことを希望する従業員を65歳まで継続雇用する義務があります。しかし、一定の条件を満たす場合には再雇用を拒否できるケースも存在します。たとえば、従業員に重大な規律違反や職務怠慢があった場合、勤務態度が著しく不良な場合、または健康上の理由で業務遂行が困難と判断される場合などです。これらは「客観的に合理的な理由」として認められるものであり、単なる年齢や経営上の都合だけで再雇用を拒否することは許されません。拒否の際には、その理由を明確にし、公平な手続きを踏むことが求められます。
一方で、従業員が希望し、勤務に支障がないにもかかわらず、企業が一方的に再雇用を拒否することはできません。労働施策総合推進法では、企業は希望者全員を65歳まで継続雇用する仕組みを整える義務があり、個別の事情で恣意的に排除することは違法とされています。経営上の理由や人件費の削減などを理由に再雇用を断ることも認められません。再雇用制度の目的は、高齢者の就業機会を確保し、社会全体で活躍の場を広げることにあります。企業には法令遵守とともに、働く意欲を尊重する姿勢が求められます。
企業だけではなく、社員自身も本人の意思によって再雇用を希望しないことが可能です。社員が再雇用を拒否する理由としては、勤務条件が希望と合わないことや、健康や家庭の事情によって勤続が難しいこと、自営や転職などの別の働き方を選択したい、などさまざまです。企業は再雇用の希望を確認する義務がありますが、本人が辞退することに問題はありません。再雇用の可否は企業側の対応が法的根拠と整合しているかが重要となります。
60歳の定年を迎えるにあたり、まず企業は社員本人に対して再雇用の希望有無を確認する必要があります。これは高年齢者雇用安定法に基づき、希望者全員に65歳までの雇用機会を提供しなければならないという法的枠組みに沿った手続きです。通常は定年前の数か月前に人事担当者が面談や書面で意思確認を行い、その結果を社内で共有します。早めに確認することで、会社は人員計画や配置転換を調整でき、本人もライフプランを考えやすくなります。

本人が再雇用を希望した場合、企業は具体的な条件を提示します。提示される内容には、勤務日数や労働時間、給与水準、契約期間、担当業務の範囲などが含まれます。定年前と同じ条件で働くケースは少なく、多くの場合は賃金が下がり、フルタイムから短時間勤務に変更されることもあります。そのため、面談を通じて本人の希望と企業のニーズをすり合わせることが不可欠です。また、労使双方が納得できるよう、就業規則や労働条件通知書を参照しながら説明することが望まれます。
条件面で合意が取れたら、次は再雇用契約の正式な締結を行います。この段階では、雇用契約書や労働条件通知書を作成し、双方が署名・押印して契約を確定させます。契約内容には、契約期間、就業時間、賃金体系、休日・休暇の取り扱い、福利厚生の適用範囲などを明示する必要があります。また、退職金制度や昇給の有無、賞与の扱いといった細かい点についても記載しておくと安心です。契約書を曖昧にすると後々のトラブルにつながるため、必ず文書化し、社員本人に十分に説明したうえで合意を得ることが求められます。
定年を迎えた時点で、形式的には一度「退職」となります。その後、改めて再雇用契約に基づいて新たな雇用関係が始まります。したがって、退職金の支給や社会保険・雇用保険の資格喪失・取得の手続きを行う必要があります。特に厚生年金や雇用保険については、年齢による給付との関係もあるため、人事担当者が正確に処理しなければなりません。業務内容や役割の変化に対応できるよう、本人へのサポート体制や受け入れ部署の理解を行っておくことで、円滑に再雇用が進むでしょう。
再雇用制度を円滑に運用するためには、職場全体の受け入れ環境を整備することが欠かせません。60歳を超える従業員は豊富な経験と知識を持つ一方で、体力や業務スピード、ITスキルなどにおいて若手社員と差が出る場合もあります。そのため、職務内容の見直しや業務分担の再調整を行い、無理のない範囲で能力を発揮できる体制をつくることが重要です。また、世代間の意識の違いを理解し合うための研修や対話の場を設けるなど、組織内のコミュニケーション強化も大切です。
再雇用社員が職場で不当な扱いを受けないよう、ハラスメント防止と公正な運用への配慮が求められます。特に、「再雇用だから」「もう第一線ではない」といった偏見や差別的な言動は、パワーハラスメントやモラルハラスメントに該当する可能性があります。また、同じ職場で働くにもかかわらず、再雇用者だけが明確な理由もなく待遇面で大きく差をつけられると、不公平感が生まれ、職場全体の士気低下を招きます。企業は再雇用者の業務内容や責任範囲に応じた合理的な処遇を行い、その基準を明示しておくことが大切です。
再雇用契約は、1年ごとなどの有期契約として更新されるケースが一般的です。そのため、契約更新時の評価基準や判断プロセスを明確にしておくことが極めて重要です。評価には、勤務態度や健康状態、職務遂行能力、貢献度などを定量的・定性的に組み合わせ、透明性を確保する必要があります。基準が曖昧なまま更新を拒否したり、担当者の主観で判断したりすると、トラブルや労働紛争につながるおそれがあります。企業は評価の内容を本人に丁寧に説明し、改善点や今後の期待を共有することで、再雇用社員のモチベーション維持にもつなげられます。
再雇用後の給与水準は、多くの企業で定年前に比べて下がる傾向にあります。これは、雇用形態の変更や職務責任の軽減などを踏まえた合理的な措置として認められていますが、減額の内容が過度である場合や、業務内容がほとんど変わらないにもかかわらず大幅に賃金を引き下げる場合は「不当な扱い」と判断される可能性があります。企業は給与設定の根拠を明確にし、再雇用者に十分な説明を行うことが大切です。また、成果や貢献に応じた柔軟な報酬制度を導入することで、モチベーションを保ちやすくなります。
少子高齢化が進む中で、60歳以上の社員が持つ経験や知識を活かすことは、企業の持続的な成長に欠かせない要素となっています。再雇用制度は、そのための重要な仕組みであり、適切に運用することで企業と従業員の双方にメリットをもたらします。まずは、職場全体でシニア人材を受け入れる体制を整え、公正な評価と処遇を行うことが求められます。また、ハラスメント防止や労働条件の透明化、合理的な賃金設定などを徹底し、信頼関係を築くことが重要です。適切な制度運用を通じて、60歳以上の社員が安心して活躍できる職場を実現することが、企業の未来を支える大きな力となるでしょう。
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