外国人も年末調整が必要?【対象となる外国人や外国人が年末調整する際に必要な書類について解説します】

記事更新日:2025年02月10日 初回公開日:2025年02月10日

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年末調整の基本的な流れはわかるけど、日本人と外国人では年末調整の違いがあるのか気になる方は多いと思います。ポイントを押さえればあまり日本人従業員の処理と変わらないのですが、国外の親族の扶養控除に必要な書類の提出や、外国人従業員に説明するなど手間や時間がかかります。年末調整は長丁場で11月頃から1月末までと比較的長い作業なので、全体のスケジュールの把握を早めにして、準備しておきたいものです。この記事では外国人従業員に対する年末調整で押さえるべきポイントをまとめました。どの書類を提出すべきか、どのような控除が適用されるかを知りたいという方には参考になるでしょう。

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年末調整とは

年末までに源泉徴収した税額との過不足額を徴収または還付する手続き

年末調整とは年末までに源泉徴収した税額との過不足額を徴収または還付する手続きです。月々の給与から天引きされる所得税額はあくまで概算なので、年末に確定した所得税額と過不足が発生します。申告書を11月初旬頃に配布して11月末頃までに回収し、チェックして税額の計算を行いましょう。過不足は控除の対象となる住宅ローンや扶養親族の内容などで発生するので、所得税額が確定する年末調整時に反映させます。年末調整により、所得税の過不足が精算された人は確定申告手続きをする必要がなくなります。

年末調整の対象となる人

給与所得者の扶養控除等申告書を提出した人

年末調整の対象となるのは、給与所得者の扶養控除等申告書を提出した人となります。1年を通じて働いている人や、年の途中で入社し年末まで働いている人に扶養控除申告書を、提出してもらいましょう。給与総額が2,000万円以上の人や災害減免法の災害減免法による、軽減措置を受けている人など一部例外もあります。源泉徴収されている人はほぼ全員が年末調整の対象と言っていいでしょう。外国人従業員の場合も同じですが一部例外もあります

年末調整の対象となる外国人

居住者と非永住者

年末調整の対象となる外国人には区分が存在し居住者と非永住者がそれにあたります。居住者は日本国内に住所がある人、または現在まで1年以上居住している人(本拠地ではないが居住している人)が該当します。非永住者は日本国籍を持っておらず、最近10年間において居住している期間が5年以下の人を指します。居住者は海外で生じた所得も所得税の課税対象ですが、非永住者は海外で生じた所得のうち、日本で支払われたものと日本に送金されたものが課税対象なので注意しましょう。

年末調整の日本人と外国人の違い

社会保険料控除

日本人と外国人の社会保険料控除で気をつける点は、母国の社会保険制度や海外企業に支払っている保険料は控除の対象とならない点です。また、部屋を借りる際に火災保険の加入が条件になっていて地震保険が付帯されていることがあります。この場合の地震保険は控除対象となるので、外国人従業員が加入している保険を確認しましょう。外国人従業員の中には会社に加入している保険を知らせることに疑念を持つことがあるので丁寧な説明をしましょう。

国外扶養親族

国外にいる扶養家族の扶養控除を受けるためには関係書類が必要になります。親族関係書類や外国送金依頼書の控えまたは、クレジットカードの利用明細などの書類を提出しなければなりません。また、2023年より国外にいる扶養親族の条件が厳格化されました。30歳以上70歳未満の親族は基本控除の対象にはなりません。ただし、障害者や留学生または日本の納税者から38万円以上の仕送りを受けている者は、扶養親族して認めらます。また配偶者はこれまで通り国外にいても控除の対象です。

租税条約による特例の適用

租税条約による特例の適用も日本人と外国人の年末調整の違いです。外国従業員に給与を支払う場合源泉徴収が必要ですが、2重課税の排除の観点から租税条約が国同士で結ばれている場合があり、所得税が免除されるケースがあります。免除を受ける場合、源泉徴収義務者(企業)が必要な所得税免除に関する届出書と添付書類を税務署に届け出なければなりません。添付書類は免除をうける居住者と企業の実在性を確認するものです。国により結ばれている租税条約の内容が違うので注意が必要です。

外国人の年末調整に必要な書類

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、給与の支払いを受けている人が必ず提出する書類といっていいでしょう。申告書の提出が年末調整の要件なので、提出しないと年末調整が受けられません。外国人従業員に扶養控除の要件をわかりやすく説明して理解してもらいましょう。また国外にいる扶養親族との関係を証明する親族関係書類や、国外の親族へ送金した際の明細などの送金関係書類が必要になるので早めの準備をおすすめします。

給与所得者の保険料控除申告書

給与所得者の保険料控除申告書は、その年に支払った地震保険料や生命保険料の一定額の控除を申請する書類です。外国人従業員に出身国の社会保険や外国企業の保険への支払いは、控除の対象にならないことを説明しましょう。外国人従業員が家を借りる際の条件として家財保険に入っていて地震保険が付帯されている場合控除の対象になるので、保険の加入状況を確認する必要があります。企業と関係無い保険料の支払いを記載することに疑問を感じる外国人従業員もいるので丁寧な説明が必要です。

配偶者控除等申告書

配偶者控除等申告書は配偶者控除に必要な書類です。日本国内に配偶者が居住の場合は日本人と同じですが国外にいる場合は注意が必要です。生計を一にしていることが条件のため、後述する親族関係書類と送金関係書類が必要になります。配偶者控除に所得制限があることなど理解が難しく記入ミスも多いので気をつけましょう。2023年より扶養親族の控除に関しては、年齢制限や送金額など条件が厳格化されましたが配偶者控除に関してはこれまで通りです。

所得金額調整控除申告書

所得金額調整控除申告書は収入が850万円超の人で、23歳未満の扶養親族がいたり、本人が特別障害者か配偶者と扶養親族に特別障害者がいる場合に提出します。扶養控除とは異なり世帯単位ではなく、各人単位です。例えば共働きで要件を満たす場合は夫と妻、両方が控除を受けられます。また扶養控除とは違い特別障害者や扶養家族の人数は控除額に影響しません、ただし上限は15万円です。所得が高い人でも子供や特別障害者が、扶養する親族にいる場合控除を受けられる制度といえます。

親族関係書類

親族関係書類は、本人と国外に住んでいる家族が親族であることを証明する書類です。親族の扶養控除の申請に必要な書類で、親族のパスポートの写しや出生証明書など、外国政府や外国の地方公共団体が発効したものです。必要な情報が足りない場合は、追加の書類が必要になるので注意しましょう。外国語であれば翻訳文が必要になり、提出は給与所得書の扶養控除等(異動)申告書と同じタイミングです。外国人従業員の場合、国外から書類を取り寄せなければならないので注意しましょう。

送金関係書類

送金関係書類は国外にいる親族に送金した証明書類です。外国送金依頼書の控えとクレジットカードの利用明細があたります。複数人の扶養親族がいるのなら、まとめて家族に送るのではなく個別に送らないと控除は認められません。扶養親族の申告を間違えたり、虚偽の申告は、延滞税などの追徴課税が課されることもあるので注意しましょう。送金関係書類も外国語の場合翻訳文が必要になり、手間や時間がかかるため早めに準備をして外国人従業員に提出してもらうのが大事です。

外国人の年末調整の手続きの注意点

居住者と非居住者の区分に注意する

居住者と非居住者の区分に注意しましょう。所得税の課税範囲が各々違うからです。居住者は国内外問わず全ての所得に課税され非居住者は国内で発生した所得のみに課税され、国外で発生した所得には課税されません。また、源泉徴収率も区分によって違います。居住者の場合は日本人と税率は変わりませんが、非居住者の場合は一律20.4%の源泉徴収率になります。ただ租税条約を締結している国の外国人従業員の場合、所得税が免税されるケースがありますがその場合税務署に届け出が必要です。

国外扶養親族の適用をする際に外国人に制度の説明をしっかりする

国外扶養親族の適用をする際に、外国人に制度の説明をしっかりすることも重要です。扶養家族の分だけ所得控除をうけることを説明しましょう。国外にいる扶養親族の証明のための親族関係書類が必要になることや、国外にいる親族に稼いだ給与を送金した証明が必要になることなどです。複数の親族にまとめて送金している場合は人数分の控除を受けられないことを説明します。外国人従業員の場合追加で公的な書類の提出や、制度に理解を求める手間もあるのでその点を踏まえて早めの準備が必要です。

給与を正しく計算する

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外国人の給与を正しく計算するには前述したとおり区分により課税範囲が異なるので注意が必要です。外国人の場合は居住者、非居住者で源泉徴収率が違う点も注意が必要です。また、給与以外の経済的利益にも課税されることに注意しましょう。水道光熱費や医療費など会社負担の場合は、給与所得として課税されます。役員個人の税金を会社が負担している場合は、支払った税額分給与所得として課税されるので注意です。申告漏れがあった場合、追加で税金が発生するので給与は正しく計算しましょう。

外国人に書類を早めに出してもらう

外国人従業員に書類は早めに出してもらいましょう。外国人の場合、国外から必要な書類を揃えるのに時間がかかるうえ、年末調整の説明の時間も取らなければなりません。日本語が得意でない外国人従業員に対する説明や、相談のための仕組みとして外国語による説明文や相談窓口を設けるなど対策が必要です。また、外国人駐在員なでの給与以外に会社が負担している水道光熱費なども課税対象になるので申告漏れが無いようにしましょう。前述のとおり租税条約による特例で所得税が免除される場合もあるので注意しましょう。

日本語の理解度に配慮する

外国人従業員の日本語の理解度に配慮するのも重要な点です。そもそも年末調整が行われていない国が多く、年末調整とは何かが共有されていないのです。厚生労働省のサイトに、外国人労働者と働く職場の労務管理に使える例文集が、公開されているので参考にするのもいいでしょう。国税庁のサイトでは各国の言語で申告書が、ダウンロードできるようになっています。日本人従業員には必要書類と締め切りを伝えるだけでわかることが、外国人従業員には伝わらないこともあるので、母国語による説明文を用意しておくのもいいでしょう。

まとめ

年末調整に際し外国人の対応を的確に進めよう

外国人従業員の年末調整の対応を的確に進めるために区分や提出してもらう書類や注意すべきポイントをまとめました。日本人と外国人の年末調整の対応には、あまり大きな違いはありません。注意すべきポイントは海外の扶養親族の申告や給与課税の部分で、間違えたりすると企業側が罰則を受けることになるので注意です。冒頭にも書きましたが、年末調整は11月頃から1月末までの長丁場になります。外国人従業員に年末調整や扶養親族のことなど、正しく理解してもらうためにも外国語での対応などをすすめて、早めに準備をすることが大切です。

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