職務分掌とは【業務分掌とのとの違いや作成方法などを解説します】

記事更新日:2023年01月25日 初回公開日:2023年01月25日

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仕事を進めていく上で担当者が曖昧なまま始めてしまい、仕事が滞った経験はありませんか。担当者が明確になっていないと、ミスやトラブルがあっても責任を取るべき人が誰なのか分からなくなってしまいます。そこで役立つのが職務分掌です。この記事では職務分掌が必要とされる理由や作成方法、作成時のポイントを説明します。また、職務分掌のメリットやデメリットも紹介します。効率的な組織運営をしたいと考えている人事担当者の方にぜひ読んでいただきたい内容です。

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職務分掌とは

組織における役割を明確にして責任を適切に配分すること

職務分掌とは、組織における役割を明確にして責任を適切に配分することです。大手の企業をはじめとして、多くの企業や組織が職務分掌に関する規定を文書化しています。「職務分掌規程」「職務分掌表」といった呼び名で社内共有されるこの文書には、仕事内容だけでなく職務における権限や責任の範囲が示してあるのです。ところが、人材不足などの理由により仕事内容が常に変わっていく組織では、職務分掌規程にないことが発生することもあります。

職務分掌と業務分掌の違い

業務分掌は各部署が行う仕事を明確にする

職務分掌と業務分掌の違いとして、業務分掌は各部署が行う仕事を明確にすることが挙げられます。職務は「担当している仕事」を指し、業務は「部署単位で行われる仕事」を指すからです。この2つは対象が違うと言えます。職務分掌の目的は個人の役割を明確にし、責任と権限の所在を確認することです。それに対して業務分掌の目的は、各部署が行う具体的な仕事内容を明確にすることです。業務分掌も職務分掌と同じように「業務分掌規程」を作成して共有する企業もあります。

職務分掌が必要とされる理由

内部統制を取る

職務分掌が必要とされる理由として、内部統制を取ることが考えられます。内部統制とは、トップの人が事業内容や業務の遂行方法、事業の安定性を確認して管理することです。内部統制が取れていることで、迅速にリスクに対応することが可能となります。また、事業内容を一元管理できることで、利害関係者に情報を公開しやすくなることもメリットです。内部統制の取れた企業にするためには、職務分掌の内容について文書として残しておくことが重要です。

人材を育成する

職務分掌が必要とされる理由として、人材の育成に繋がることも挙げられます。職務分掌を行うことで自分が何をすべきか明らかになります。それによって自分の習得すべきスキルが分かり、目標を立てやすくなるのです。他にも、特定の業務において優れた人材を育成したいという場合にも、職務分掌は役立つでしょう。決められた業務に集中できる仕組みが整えられている状況になるため、より高いクオリティに仕上げることができるのです。

ジョブ型雇用を実施する

職務分掌が必要とされる理由には、ジョブ型雇用に役立つことも含まれます。ジョブ型雇用とは、その業務に適している人材を雇うことです。職務分掌の実施によって、誰がどの業務を行い責任を取るかが明らかになっていれば、新たにどのような人材が必要か分かります。つまり、ジョブ型雇用の体制を作りやすくなるのです。ジョブ型雇用が実現すれば、即戦力として働いてもらうことができます。より効率がよくなって生産性も高まることに繋がるのです。

職務分掌の作成方法

組織図を作成して全体を把握する

職務分掌を作成する方法として、まず初めに組織図を作成して全体を把握します。これは、職務分掌を行う時には職務1つ1つと組織全体を連携させて設計することが大切なためです。本社や支社、各地の営業所などについて把握した後、各部門や部署、チームなどで詳細を記載しておきます。部署単位で理解しておくことで、職務の役割や権限の範囲の繋がりが分かりやすくなるでしょう。また、職務分掌を取り入れる目的を経営層と確認し、ビジョンの共有を行うことが必要です。

部署や職務単位で業務内容を明確にする

次に、部署や職務単位で業務内容を明確にしましょう。これは各部門や部署、チーム単位でどのような業務や権限の範囲があるか細分化して確認する作業です。現状の職務の役割をはっきりさせることで、組織の業務を俯瞰的に見ることができます。これによって重複している業務や非効率になってしまっている仕事を見つけることに繋がるでしょう。社内アンケートで今行っている業務を洗い出すことで、人事の主観ではなく客観的に仕事内容を確認することが可能になります。

権限を振り分ける

業務内容を明確にした後は、権限の振り分けを行いましょう。権限の振り分けを行う際には、組織と部署を横断的に見て、関連部署同士を繋ぐことが重要になってきます。また、権限の振り分けは曖昧に行わないようにしましょう。権限の範囲が曖昧になってしまうと、イレギュラーな事態が発生した場合に責任の押し付け合いが起こるリスクがあるからです。最初に作成した組織図を参考にしながら、関連性が高い部署と繋げて整理するようにしましょう。

職務分掌表を作る

最後にこれまでこれまで作成してきた組織図と職務の権限をもとにして、職務分掌表を作ります。作成する際には、経営者や各部署の担当者の声を反映させるようにしましょう。しっかりと意見を聞いておくことによって、職務分掌表で決定した事項と実際の業務とのギャップができることを防止できます。経営者には、中長期的なビジョンや経営方針を確認してください。各部署の担当者には役割と権限に不備がないか聞きましょう。そして作成後には、定期的に見直すことも大切です。

職務分掌を行う際のポイント

方向性を明確にする

職務分掌を行う際のポイントとして、方向性を明確にしておくことをおすすめします。内部統制を取るために、各担当者の権限をはっきりさせた上で組織が正常に機能し、チェックされることが必要です。しかし、これは全て同じケースであることはなく、組織の抱えるそれぞれの状況に合わせて適応させなければなりません。職務分掌表を作る際には、組織の抱える課題や目指している方向性を明確にしましょう。これにより従業員の協力を得ることに繋がります。

広く従業員の意見を集める

職務分掌を行う際のポイントとして、広く従業員の意見を集めるということがあります。意見を集める時には、社内インタビューを行うことがおすすめです。職務分掌規程を作成する際には、社内の現状を正確に把握したものである必要性があるためです。企業で抱えている課題を把握しないまま規定を定めても、現状を反映したものではないため、今後に活かすことが難しいと言えます。経営層から一般の従業員まで幅広くインタビューを行うことで、業務状況を正確に理解しましょう。

定期的にアップデートする

職務分掌を行う際のポイントとして、定期的にアップデートすることも大切です。特に、職務分掌を行う最初のステップである組織図の作成は、定期的に行いましょう。組織は時間が経過することに伴って変化していきます。職務分掌を行う際の初めに正確な組織図を作成できても、組織の変化によって内容が一致していない可能性があるのです。組織図は企業を運営していく上での土台ともなるため、不正確な情報からミスに繋がらないよう、定期的な見直しが必要です。

職務分掌のメリット

優先すべき仕事が分かる

職務分掌のメリットとして、優先すべき仕事が分かることが挙げられます。組織は運営の規模が大きくなるにつれて、どの従業員が何をすべきかということが曖昧になっていきます。職務や権限が上手く割り振られていなければ、混乱が起こる可能性があるのです。職務分掌規程があることで、経営者がマネジメントを行う際にも役立つでしょう。職務を明文化することで従業員にも意識してもらうことができ、組織運営が円滑に進むことにも繋がります。

優秀な人材育成に繋がる

職務分掌のメリットには、優秀な人材育成に繋がるということもあります。職務分掌によって一人一人が行う業務がはっきりすると、担当者は業務を効率的に進めやすくなります。スムーズに仕事に取り組む従業員を見た上司は、適切な評価を行うことができ、新たな目標も立てやすくなるでしょう。これから育てていかなければならない人材にとって、目標設定はとても重要です。職務分掌を行って従業員の目標を明確にすることで、主体性を育みましょう。

責任の所在がはっきりして責任感が高まる

職務分掌のメリットとして、責任の所在がはっきりして責任感が高まることも考えられます。業務における責任の所在が明確であることで、管理体制が強化されてミスやトラブルを事前に防ぐことが可能です。もしトラブルが発生してしまった場合でも、対応する部署がすぐに分かって迅速な対応ができるでしょう。また責任の所在がはっきりすることは、自分の業務がどこで役に立っているのか分かり、担当業務の意義を理解することに繋がります。それによって責任感も高まります。

職務分掌のデメリット

イレギュラーな事態に対応しづらい

職務分掌のデメリットとして、イレギュラーな事態に対応しづらいということが挙げられます。職務分掌は業務内容や責任の所在が明確になるというメリットがありますが、裏を返すと従業員に「決まった業務以外する必要がない」と捉えられる可能性があるのです。それによって職務分掌で割り振られていない新しい仕事は、押し付け合いになってしまうことも考えられます。いつイレギュラーな事態が発生しても対応できるように、進め方を事前に決めておきましょう。

従業員が指示待ちになる可能性がある

職務分掌のデメリットとして、従業員が指示待ちになる可能性があることも考えられます。職務分掌によって仕事内容がはっきりしていると、マネジメントの担当や責任を負うべき管理職の存在も見えてくるでしょう。しかしその分「この業務に取り組むためには上司の許可が必要」「上司から言われるまではこの仕事を進めなくても良い」と考える従業員も出てくることに注意です。これは、従業員の主体性が損なわれることにも繋がります。生産性低下の恐れもあるので、気をつけましょう。

中小企業向きではない

職務分掌のデメリットとして注意しなければならないのは、中小企業向きではないことです。職務分掌は業務の効率化に繋がりますが、従業員数の限られている中小企業では、担当にこだわりすぎないように気をつけましょう。責任の押し付け合いや、仕事が進まなくなる可能性があるからです。「自分の役割を果たせているか」という視点だけでなく「組織全体を意識できているか」という視点でも従業員を評価しましょう。それが、職務分掌によるデメリットを補うことに繋がります。

まとめ

職務分掌を作成して円滑な組織運営に役立てよう

職務分掌を取り入れることで、優先すべき仕事が明確になり優秀な人材育成に繋がります。加えて責任の所在がはっきりすることによって、責任感が高まることもメリットです。しかし、担当の仕事が分けられることによって、イレギュラーな事態が発生しても対応が難しくなることも考えられます。指示待ちの従業員が生まれる可能性もあるのです。そのようなデメリットも考慮した上で、職務分掌を行うようにしましょう。そして、円滑な組織運営にぜひ役立ててみてください。

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