介護の離職率はどなってるの?【現状や離職しないための対策】

記事更新日:2021年09月16日 初回公開日:2021年02月24日

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離職率が高く、新規採用が難しいと言われている介護業界。その背景には介護事業所の職場環境や、介護職員の収入の低さが関係しています。介護事業と聞くと、大変というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。しかし現在は国や事業所によって、職場環境を改善するための取り組みが進められています。本記事では、離職の原因となる環境や、離職者を減らすための取り組みについてお話ししていきます。介護業界で働く方や、離職率の高い現場を指揮する方、事業所の人手不足に悩んでいる指導者の方は是非参考にしてみてください。離職を減らすための取り組みを積極的に行い、職員の定着化を目指しましょう。

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介護業界の離職率の現状

令和元年度の介護業界の離職率は15.4%

介護労働安定センターが実施する「介護労働実態調査」によると、令和元年(2019年)の介護業界の離職率は15.4%であることが分かりました。2018年の離職率も15.4%であったことから、離職率は前年と比べて横ばいであることが分かります。2016年は16.7%、2017年は16.2%の離職率であったことを踏まえると、ここ数年の介護業界における離職率の推移は、減少傾向にあることが伺えるのではないでしょうか。しかし全産業の離職率の平均と比べると0.5%高く、現在の介護離職率は決して低いものではありません。その中でも介護職員の離職率が最も高く、職種別の統計では介護職員の離職率が16.0%となっています。

高い離職率の介護事業への影響

新規採用が難しく離職が即人手不足に

介護事業では新規採用が難しいため、離職が即人手不足を招く可能性があります。離職率が高い介護業界では、現在多くの事業所が採用難の悪化に悩まされているのをご存知でしょうか。厚生労働省の調査によると、2019年5月時点の介護職の有効求人倍率は3.40倍。この数字は全職種の平均のおよそ3倍となっており、介護事業は新規採用が難しいことを表しています。介護事業への応募者が少ない大きな理由として、介護職に対するマイナスイメージが挙げられます。誰かの役に立てるというプラスのイメージよりも、「きつい、汚い、給料が安い」と言ったマイナスイメージが先行する人も少なくありません。そのため介護事業への応募者が少なく、離職者が出ると即人手不足に陥る可能性があります。

介護サービス水準と労働環境の悪化

介護事業の高い離職率は、介護サービス水準の低下や従業員の労働環境悪化へと繋がります。一例を挙げると、訪問介護職では新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年の離職率が大幅に上昇。その結果事業所ではショートステイの受け入れ中止や、利用時間変更を余儀なくするケースが出ています。また、離職者の増加により人手不足が深刻化した事業所においては、従業員1人あたりの業務負担が増えるケースも少なくありません。以前より多くの業務を任されることや、業務時間が延長することで負担を感じる職員もいるでしょう。つまり離職率の高さは、介護サービス水準の低下と労働環境の悪化を招いてしまいます。

利用者の流出と離職者の増加

離職率が上がることで利用者が満足するサービスを提供できなくなり、利用者が他の事業所へ流出してしまう場合があります。利用者がサービスの良い事業所を利用したいと考えるのは、当然ですね。現在は特色のある介護事業所が人気を集めており、利用者にとっての心地良さが重視されています。例えばリハビリやレクリエーションに力を入れたり、温泉のような入浴施設を提供している人気事業所も存在します。しかし利用者に寄り添うサービスの提供には、介護職員の協力が欠かせません。利用者が流出したために、従業員への手当て削減や経営方針の変更を余儀なくし、結果として離職者を増加させてしまうケースもあります。

人員配置基準を満たせなくなる恐れも

介護事業所で離職者が増加することにより、人員配置基準を満たせなくなる恐れがあります。適切な介護を行うための基準として、国により設けられている人員配置基準。事業所の種類によって基準は異なりますが、例えば介護付有料老人ホームでは、要支援2以上の入居者に対する最低人員基準が「入居者:介護職員=3:1」と義務付けられています。ギリギリの人数で運営している事業所の場合は、1人の離職によって人員配置基準を下回ることも考えられるのではないでしょうか。もしも人員配置基準を満たせなくなった場合、介護給付費の減額や指定の取り消しが行われる可能性があります。最悪の場合、事業所の運営を停止することになりかねません。人員配置基準という観点から見ても、介護職員の離職率が介護事業の運営に大きな影響を及ぼしていることが分かります。

介護事業所で離職者の発生する原因

職場での人間関係の悪化

介護事業所で離職者が発生する原因の1つに、職場での人間関係の悪化が挙げられます。マーケティングリサーチ企業のマクロミルが2019年に行ったアンケートによると、約8割の介護職員が職場での人間関係に悩みを抱えていることが分かりました。介護施設では介護士や看護師、理学療法士などの異なる資格を持つ人たちが連携を取っています。その際に立場上の違いから高圧的な態度を取られる場合や、価値観の違いが歪みを生むケースも少なくありません。また、利用者や利用者の家族に不満を感じる場合もあるでしょう。多くの人と関わる介護事業ならではの悩みが、結果的に離職の原因となってしまいます。

出産や育児などのライフイベントの発生

出産や育児などのライブイベントをきっかけに、介護事業からの離職を決断する人も少なくありません。介護業務は基本的に力仕事となるため、妊娠後は業務が制限されてしまいます。そのため、周囲へ迷惑がかからないか心配したり、自身の身体への不安を考えて離職を決断する職員が多く存在します。厚生労働省の調査によると、出産を機に離職を決断した女性の割合は約7割。介護事業でない場合においても、出産や育児などのライブイベントを機に離職する女性が多いことが分かります。これに加えて夜勤業務があることや、忙しい職種であることが離職の発生する原因に繋がっているのではないでしょうか。

将来の人生設計の見通しが立たない

介護事業では、人生設計の見通しが立たないために、離職に至る職員もいます。介護事業は大きく分けて「介護のプロを目指す専門職」か「運営に携わるマネジメント職」があります。専門職の場合は介護福祉士、マネジメント職の場合は管理者を目指すことになりますが、具体的なキャリアプランが分かりにくいという現状も。例えば介護施設などでは、事業所における職位の人数が限られているため、現在の職場で昇進するのが困難というケースもあるでしょう。キャリアプランが描けない職場で働くことは、大きな不安へと繋がります。明確な人生設計を立てて、日々の生活を充実させたいという思いが、離職を考える原因になるのではないでしょうか

収入が少ない

収入が少ないことが原因で、離職に至る職員もいます。業種別労働組合のNCCUの調査によると、2019年の介護職員の平均年収は約359万円でした。この金額は同年の国民の平均年収と比べて、約80万円低いという結果になっています。同じくNUUCが収入についての満足度を調査した結果、不満を感じている人が6割程いることが分かりました。介護職における平均収入は、この10年間で上昇傾向にあります。しかし務める事業所によっては、待遇面に不満を感じることもあるでしょう。業務内容や責任の重さに対して収入が見合ってないと感じた場合に、離職を考えるケースが多いのではないでしょうか。

介護事業所で離職者を出さないためには

作業をマニュアル化し新人の早期戦力を図る

介護事業所で離職者を出さないためには、作業をマニュアル化して、新人の早期戦力を図る方法が効果的です。応用力が求められる介護事業では、実務を中心とした現場での新人指導がメインになるのではないでしょうか。実務を中心とした指導では、教え方にばらつきが出る場合や、指示が行き届かないケースがあります。厚生労働省の調査によると、介護施設において「業務の指示が不明確である」という悩みを持つ職員は、全体の20%を超えていることが分かりました。そこで役立つのが、作業のマニュアル化です。作業方法を統一することで不明確な指示が減り、作業効率の向上を図ることができます。その結果、新人を早期戦力化させることへと繋がります。

現場を支える優秀な職員を厚く処遇する

介護事業所における離職者を防ぐためには、現場を支える優秀な職員を厚く処遇しましょう。2019年の10月から「特定処遇改善加算」が開始され、経験や技能のある介護職員の給与水準を上げることが可能になりました。この制度ではキャリアのある介護福祉士の年収を440万円以上にするか、現在よりも月8万円アップさせることができます。現状では、職場内での賃金格差が生まれる懸念や、加算が難しい小規模事業所があるのも事実です。しかし優秀な職員を厚く処遇することは、職場への満足度を高めることに繋がるでしょう。リーダー級職員の給与の引き上げで、優秀な職員の離職を防ぐことができるのではないでしょうか。

労働法違反を組織として許容しない

数多くある介護事業所の中には、労働環境が非常に劣悪な職場もあります。「介護業界は忙しいから仕方がない」と諦めてしまう職員の姿を見受けることもありますが、労働基準法違反は許されるものではありません。例えば給料がタイムカード通りに支給されていなかったり、8時間以上の労働に対して1時間の休憩を取らせていない職場は、労働基準法に違反しています。長く勤務していると、劣悪な職場に慣れてしまう場合もあるでしょう。上司や先輩が当たり前にやっているからという理由で、新人が労働基準法違反に気付かない場合もあるのではないでしょうか。介護事業所から離職者を出さないためには、組織として労働法違反を許容しない体制を取ることが必要です。

ライフステージに応じた休職制度を整備する

介護職員の離職を防ぐためには、ライフステージに応じた休暇制度を整備しましょう。人手不足が深刻化している介護事業は、休暇を申請しにくいイメージがあります。会社の規定に有給休暇の取得が挙げられていても、実際には申請しにくい事業所も存在することでしょう。2018年に「働き方改革関連法」が成立し、有給休暇を年5日以上取得することが義務化されました。しかし育休や産休に対する対応は、事業所によってばらつきがあります。現在は、ライフステージに合わせたサポート休暇を取得できる企業が増えています。介護事業所でも妊娠や出産、配偶者の出産など、ライフステージに合わせた休暇制度を整備することで、離職者を防ぐことができるのではないでしょうか。

外国人職員の活用を検討する

介護事業の深刻な人手不足を解消する方法として、外国人職員の活用が注目されています。厚生労働省の調査によると、外国人職員の介護福祉候補者の受け入れは、年々増加傾向にあります。2021年の1月現在では、約804カ所の施設において3,587人の外国人の雇用が実現。また最近では介護福祉士の資格を取るために、日本の介護福祉士養成校に留学する外国人も増えてきています。外国人職員の起用に関して不安を抱く方もいると思いますが、厚生労働省の調査によると約65%の利用者と家族が満足と回答しています。外国人職員の積極的な受け入れで人手不足を解消することは、介護職員の負担を減らすことに繋がるでしょう。その結果、介護事業所の離職者を減らすことに結びつくのではないでしょうか。

まとめ

地道な試行錯誤で介護職員の定着化を目指そう

離職率が高く、新規採用が難しい介護事業では、離職が即人手不足に繋がることも珍しくありません。最近では厚生労働省が提供する「介護サービス公表システム」を使い、簡単な調べ方で事業所の離職率を調べることができます。よって離職率の高い事業所ほど、新規採用が困難になるケースが見受けられます。介護事業を円滑に運営するためには、離職者を減らして新人の早期戦力化を図ると良いでしょう。例えば明確なキャリアアップを提示したり、優秀な職員を厚く処遇するなど、職員にとって働きやすい環境を作ることが大切です。増え続ける要介護者を支えるためにも、事業所に合った試行錯誤を繰り返し、介護職員の定着化を目指していきましょう。

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