記事更新日:2024年09月12日 | 初回公開日:2024年09月10日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報スモハラ(スモーク・ハラスメント)とは望まない喫煙や職場内の受動喫煙によって、非喫煙者に健康被害や健康不安を与えることです。自分の意志に反して喫煙者から喫煙を強制される場合や、意図していなくてもタバコの煙を吸わせたなどもハラスメントに該当します。またタバコの匂いが嫌いな人にとっては、匂いをかがされるということもスモハラに当てはまります。喫煙の強要だけでなく受動喫煙も健康被害に繋がるため、意図しない喫煙や受動喫煙はスモハラです。
スモハラは、上司から喫煙を強要される例があります。パワハラを行っている上司がいる場合、上司から喫煙を強要されることは少なくありません。飲み会の場でお酒を強要するといったのと同じく、昔からの流れをそのままに自分がされたように喫煙を強要してくる上司もいます。企業では分煙化や社屋禁煙など、様々な対応を実施しているところも増えていますが未だに強要する人がいるのも事実です。こういったことが起きないようにするためには、企業として対策が必要です。
打ち合わせや飲み会の場で上司や同僚が喫煙している煙を吸わされるのも、スモハラです。会社の飲み会では、喫煙者と禁煙者が分けられていることは少ないため、受動喫煙の被害に合う可能性が高まります。会社での飲み会は居酒屋で行われる場合が多く、上司が喫煙者の場合は店内で喫煙できるお店が選ばれることが多くなります。分煙されているお店であれば受動喫煙の被害を避けられますが机に灰皿が置かれている場合は受動喫煙が避けられません。
喫煙者が休憩から戻ってきた後の匂いが気になるのも、スモハラになります。タバコを吸い終わっても、喫煙者からはタバコの匂いや有害物質が消えていません。タバコを吸っている人であれば気にならない匂いも、全くタバコを吸わない非喫煙者にとってはタバコの匂いを嗅ぐだけで不快に感じてしまう人も少なくありません。喫煙者は匂いくらいと思うかもしれませんが、非喫煙者からすると十分なスモハラに該当するため、対策を行う必要があります。
スモハラはタバコの煙を吹きかけられる事例もあります。タバコの煙を吹きかけられるという言葉を聞くと、令和の時代では一発アウトになるようなパワハラです。しかし長時間労働が正義とされ、上司の言うことは絶対だった昭和の時代では飲酒やタバコの強要が当たり前に行われていました。今は少なくなっていますが、飲み会の場などで気持ちが大きくなったことによって煙草の煙を吹きかけるといった嫌がらせをしている上司もいます。
スモハラが職場にもたらす影響は健康被害です。企業で分煙化していたとしても、タバコを吸い終わってすぐは匂いが消えません。また分煙化がしっかりされていない場合、受動喫煙を毎日受けなければなりません。副流煙は主流煙よりも有害な物質が含まれており、副流煙を長期間吸ってしまうと肺がんや心疾患などの病気のリスクが高まります。受動喫煙はマスクをしても防ぐことが出来ないため、タバコを吸っていない従業員の健康面に影響を及ぼします。
スモハラはモラルの低下を職場にもたらす可能性があります。先述したように、喫煙者であれば他の人の煙草の匂いはそこまで気になりません。しかしタバコを吸わない人にとってはタバコの匂いは深いです。スモハラが行われ、会社としてもなんの対策も実施してくれない場合は職場でのモチベーションが低下する恐れもあります。またタバコの匂いを常時かがなければ行けない状態では、集中力の低下も引き起こしてしまう可能性があります。
生産性が低下してしまうのも、スモハラの影響です。日常生活でタバコを吸わない人にとって、毎日職場で受動喫煙やタバコの匂いがするという状況はとても苦痛です。受動喫煙を受けることで健康被害やストレスが蓄積されます。職場環境が改善されないままでは、病気による休業や退職者が出てしまう可能性もあります。こういった状況が続くと生産性の低下や人材不足に陥ってしまいます。スモハラによって組織全体の生産性低下だけでなく、人材不足を引き起こす問題になりかねません。
職場でのスモハラ対策は、喫煙室・喫煙場所を設置することです。社内完全禁煙を実施している企業も増えてきていますが、喫煙者にとっては完全禁煙にしてしまうと業務へのモチベーション維持が難しくなることもあります。そういった場合に最適な方法が、喫煙場所を限定することです。屋内を完全禁煙にする場合は屋外に喫煙場所を設置します。屋内で一部を喫煙場所に設定するという方法もありますが、喫煙場所を設ける場合は空調など注意が必要です。
職場では、厚生労働省の規定に基づいた喫煙室の空気環境維持を行う必要があります。職場の空気環境について、厚生労働省によって一定の基準が設けられています。屋外に喫煙場所を設ける場合は、粉塵が流れ込むことがないかなどをしっかりと確認しなければなりません。空間分煙を行う場合には、喫煙場所に向かう気流の流れや一酸化炭素濃度など様々な条件を満たす必要があります。新しく設置する場合などは基準を満たせているか確認しましょう。
従業員への受動喫煙対策の教育を行うことも、職場でのスモハラ対策です。スモハラに関しての知識を持っていないと、受動喫煙やタバコの匂いを嫌がる人の気持ちを理解することは出来ません。そのため会社として、受動喫煙からくる健康被害や受動喫煙を防止するために会社として実施している内容などを伝えることが大切です。妊娠中の従業員や呼吸器疾患などを持っている従業員に対しての配慮なども教育の中に入れておくようにしましょう。会社で受動喫煙に付いて学ぶ場を設けることによって、スモハラを減らすことに繋がります。
スモハラ対策を怠った場合には、勧告や命令・過料の対象となります。2020年4月に施行された改正増進健康法によって、望まない受動喫煙を無くすために一定の条件を満たしている場を除いて屋内喫煙が禁止になりました。そのため、受動喫煙に対する対策などを実施していない会社やお店には罰則場も受けられています。喫煙禁止場所での設備の撤廃や基準を満たしていない喫煙室の設置などの義務違反は法令により指導や命令が行われることがあります。また是正されない場合や違反の度合いが重たい場合などには50万以下の過料対象となります。
スモハラ対策を行わないことによって、従業員から訴訟を起こされる可能性もあります。実際に受動喫煙の対策を行っていなかった企業が、従業員から健康被害などを理由に訴えを起こされている事案があります。スモハラ対策を実施しないと、従業員が健康被害を受ける可能性が高まるだけでなく、訴訟によって社会からの印象も悪くなり企業のイメージダウンに繋がりかねません。罰則や従業員から訴訟を起こされないようにするためにも、しっかりとスモハラ対策を行う必要があります。
スモハラが起きた場合は、まず被害者から話を聞きましょう。被害者から話を聞く時はいくつかの確認事項を聞いておく必要があります。まずスモハラをしてきた加害者が誰なのか、発生している場所や発生している回数などを明確にしておくことが大切です。その際には喫煙を強要されたことがあるかどうかも重要な確認ポイントになります。受動喫煙をきっかけとして実際に健康被害が出てしまっている場合には症状を聞くだけではなく、診断書などがあれば提出してもらうようにしましょう。
スモハラが起きた場合、加害者から事情を聞くことも大切です。スモハラを行っている加害者を特定できている場合は、加害者からも話を聞きます。スモハラの加害者になっている人は意図していない場合もあるため被害者のみで話を終わらせないことが大切です。加害者が意図せずにスモハラになっていた場合には、注意のみで問題ありません。しかし故意でスモハラを行っていた場合はきちんと対処する必要があります。加害者の特定ができない場合や、従業員以外の場合は職場環境の調査が必要です。
スモハラは加害者への指導や職場環境の見直しを行うことも必要です。加害者が特定されている場合は、スモハラになっている行為を辞めるように注意を行います。注意しても改善が見られない場合は、異動や懲戒処分を行う事になりますが、懲戒処分に関しては事前に就業規則に明記されていることが条件です。職場環境に問題がある場合には、喫煙場所の周知徹底や分煙するための機器の導入など非喫煙者が受動喫煙とならないような職場環境を整える必要があります。対策しないままにしておくと、休職や退職に繋がります。
逆スモハラとは、非喫煙者が喫煙者に対して禁煙を強要したり喫煙行為を叱責したりすることです。非喫煙者が受動喫煙にならないように対策を行うことは大切ですが、喫煙者もタバコを吸う権利は持っています。スモハラに該当するからと、非喫煙者の意見ばかりを取り入れタバコを吸うという行為を過度に制限してしまうと、喫煙者の心理的ストレスが大きくなります。逆スモハラから訴訟に発展してしまうケースも考えられます。非喫煙者と喫煙者を会社として両方守るためには、分煙対策が必要不可欠です。
スモハラの具体例や、スモハラが起きた際の会社への影響・対処方法などについて解説しました。スモハラは匂いで非喫煙者へ不快感を与えるだけでなく、受動喫煙によって健康被害を与える可能性のあるハラスメントです。改正増進健康法によって受動喫煙を防止することが義務付けられており、どの企業でも対策が必要です。スモハラは他のハラスメントとは異なり意図せずスモハラになっている場合もあるため、研修を行い認識してもらうことが重要です。スモハラ対策をしっかり行い、社員全員が働きやすい環境を作っていきましょう。
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