記事更新日:2026年06月15日 | 初回公開日:2026年06月01日
用語集 グローバル用語解説 外国人採用・雇用 人事・労務お役立ち情報
センスメイキングとは、経験や事象に能動的な意味を与えるなどして、状況を好転させるプロセスのことです。私たちは日々、予測できない変化や複雑なトラブルに直面します。センスメイキングは経験やストーリーを用いて意味づけを行い、行動を導き出す思考法といえます。新規事業の立ち上げを例に挙げると、開始時点で事業の完璧な成功は保証できません。しかし「技術で社会を豊かにする」という意義を提示できれば、チームの前向きな行動を引き出す可能性が高くなります。完璧な正解を探すよりも、関わる人々が共有できる物語を作り出すアプローチといえるでしょう。
センスメイキングが注目される背景には、現代が不確実性の高い時代であることがあげられます。数年前の成功法則や緻密なデータ分析が、突然の技術革新や市場の変化によって一瞬で陳腐化してしまう時代です。過去の延長線上に未来を描くことが困難になる中、論理的な正解を探し求める従来のマネジメントは機能不全に陥っています。先行きが見えないからこそ、リーダー自らが現状に意味づけを行い、暗闇の中でチームを導く力が不可欠になっています。
センスメイキングが注目される背景として、持続可能な社会への関心が高まっている点があげられます。論理が通用しない市場を相手にする企業に、さらなる難題がのしかかります。単なる利益追求だけではない、環境や持続可能な社会づくりへの貢献です。しかし「社会課題の解決」という目標は非常に抽象的であり、現場にとっては日々の実務と結びつかず、戸惑いや停滞を生む原因にもなるでしょう。ここで必要になるのが、自社の事業と社会課題とのつながりを解釈し直すプロセスです。抽象的な目標を現場が納得して動ける物語へと翻訳するセンスメイキングが、組織を動かす鍵になります。
不確実性の高い市場環境や社会からの要求に加え、組織内部で進行する価値観の多様化もセンスメイキングが注目される背景にあります。働くメンバーの価値観がかつてなく多様化しています。共通の前提を持たないバラバラな個人に対し、客観的な数値目標やトップダウンの指示だけで足並みを揃えさせることは、もはや不可能です。異なる視点を否定するのではなく、全員が共感できるひとつの物語の中に包み込む必要があるでしょう。これら3つの波が重なる現代において、センスメイキングの求心力がマネジメントの要となります。
センスメイキングの要素のひとつにアイデンティティがあります。世の中に無数にある情報に対して意味づけをする際、私たちは無意識のうちに、自分たちの立ち位置を基準にして物事を判断しています。たとえば、前例を重んじる保守的な職場と、変化を積極的に推進する企業とでは、同じトラブルが起きても解釈や対応は異なるものになるでしょう。センスメイキングは「我々らしさ」という揺るぎない軸を拠り所にすることで、状況が変化しても一貫した判断を生み出します。アイデンティティはセンスメイキングのプロセスの起点となる、重要な要素といえるでしょう。
回想・振り返りは、センスメイキングにおいて必要不可欠です。目の前で起きている事象の意味を、リアルタイムで正確に理解することは困難です。センスメイキングの提唱者であるカール・ワイクは、「自分が言ったことを見るまで、自分が何を考えているかどうして分かるだろうか?」と語っています。意味は常に「行動した後」にしか作られません。とりあえずやってみたプロモーションの結果を見つめ直すと、「ああ、あの失敗はこういう意味だったのか」と点と点がつながることがあるかもしれません。このような振り返りの蓄積が、次に進むための判断基準になります。
行動・行為がなければ、振り返るための過去の点(経験)は作られません。センスメイキングでは行動と思考は切り離されたものではなく、同時に進行するサイクルとして捉えられます。会議室で完璧な計画を練ってからではなく、未完成な状態でもいいから顧客にぶつけてみましょう。動くことで初めて、「こんな想定外のクレームが来た」「意外な機能がウケた」など、生々しいフィードバックを得られます。とりあえず一歩踏み出して環境に働きかけることでしか、新しい現実は感知できません。
行動によって得られた素材を活かすには、社会性が必要です。組織におけるセンスメイキングは、社会的なプロセスです。人々は他者との交流や対話を通じて環境を解釈し、世界を理解しています。たとえば市場からネガティブな反応が返ってきたとき、営業部門は「価格が問題だ」と言い、開発部門は「売り方が悪い」と反発するでしょう。これは単なる社内対立ではなく、課題の共通認識を作り上げるプロセスそのものです。人々はこうした摩擦や対話を通じて環境を解釈し、「結局のところ、今我々に何が起きているのか」という共通の認識を持ちます。
センスメイキングにおける継続性とは、物事の意味づけを一度きりで終えるのではなく、常に更新し続ける性質のことです。激論の末にひとつのストーリーで合意できたとしても、継続性がなければ安心はできません。ビジネス環境は絶えず変化しているため、昨日合意したストーリーは今日にはもう陳腐化してしまう可能性があります。過去の成功体験や作り上げた解釈に固執すると、環境に適応できなくなるリスクに直面します。新しい情報を取り入れ、意味づけを更新し続ける継続性が求められます。
センスメイキングにおける環境情報の部分的認知とは、人は事象の全体ではなく、一部しか認識できないという前提に立つことを指します。行動を起こせば、今度は様々なデータや反応が怒涛のように押し寄せてきます。ここで真面目な組織ほど「すべての情報を集めて正確に分析しよう」という罠に陥りがちですが、それでは意思決定がフリーズしてしまいます。たとえば「特定の優良顧客のひとつの苦言」といった象徴的な情報だけにフォーカスし、そこから全体を解釈して、現場に提示しましょう。抽出した重要な情報にフォーカスして心に刺さる物語を提示する方が、現場に腹落ち感をもたらします。
センスメイキングにおける説得性・納得性は、組織を動かす最大の原動力となります。リーダーが語る説得性・納得性のある物語は、データや合理性を超えて人々の感情に強く作用します。人は緻密な分析結果や正論だけでは、未知の領域へ踏み出しません。主観的であっても、一貫性のある物語が現場の共感を生みます。ただし、経営陣が抱く説得性・納得性が、現場の従業員にそのまま通用するとは限りません。そのため、他者からの批判にも耐えうるように、ストーリーを絶えず修正・再構築し続けることが求められます。
センスメイキングの活用例のひとつに、組織改革があります。2010年代のソニーでは、エレクトロニクス部門と金融部門などの間で「自社は何の会社か」というアイデンティティの対立が生じていました。当時の平井一夫社長は、一見バラバラな組織に対して「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というセンスメイキングを実践します。平井氏はこの「感動」というキーワードを、世界中の支社や会議室などあらゆる場面で繰り返し語り続けました。説得性の高いストーリーが、ソニーの復活に向けた大きな推進力となりました。センスメイキングにおける組織改革は、社内の解釈を統一して停滞を打ち破るプロセスです。
センスメイキングにおけるリーダーシップとは、正解のない環境下で独自の物語を語り、現場の行動を引き出す能力を指します。変化の激しい現代において、センスメイキングなき完璧な分析への依存は、組織の停滞を招きます。優れたリーダーは分析の限界を見極め、未来の物語の構築を優先します。日本電産の永守重信氏は、「自家用ドローン時代が来る」という壮大なストーリーを語り、投資家から資金を引き出しました。センスメイキングを活用したリーダーシップは、物語から企業の未来を創り出す原動力になります。
センスメイキングを経営戦略に取り入れた企業は、他社には真似できないポジションを得られます。センスメイキングを取り入れた戦略では、完璧な正確性よりも「もっともらしいストーリー」を構築して関係者を動かすことを優先します。ストーリーによって、長期的な目標に向かって効果的な行動を引き起こす方が戦略的に有益だとみなすからです。失敗を許容する環境を整え、現場から上がってくるフィードバックをもとに物語を柔軟に修正しましょう。行動と軌道修正により、他社には真似できない独自のポジションが確立できます。
常に変化に目を向けるのは、センスメイキングをビジネスで活かすうえで欠かせません。たとえば、自社のシステムに対して、導入コストや作業速度への反応が薄くなったとします。代わりに他ツールとの連携に関する質問が、顧客から急増したと仮定しましょう。こうして小さな手がかりから、かつて主流だった「安くて早い」という価値観は崩れ、「変化に適応するための柔軟性」にニーズが移行していると再解釈が可能です。「我々は単なるコスト削減ツールを提供する会社ではなく、顧客の変革を支えるインフラである」と自社のアイデンティティを再定義します。常に変化に目を向ける姿勢が、市場の変化の兆しを捉える第一歩となります。
センスメイキングを活かす方法として、人との交流を増やすことがあげられます。ここで言う交流とは、仲良しクラブを作ることではありません。予定調和の会議室から抜け出し、あえて自分たちとは異なる利害や価値観を持つ他部署、異業種の人とぶつかり合うことです。同じ部署の似た者同士で議論を重ねても、画期的なストーリーを紡ぎ出すことはできません。既存の枠組みで処理できない矛盾に直面して初めて、人は現状を打開する新しい解釈を渇望します。耳の痛い意見を恐れずに対話をして、前例踏襲の空気を壊しましょう。
センスメイキングをビジネスで活かすには、振り返りを習慣づけることが不可欠です。週次や月次でレビュー会議の場を設け、過去の決断をチーム全体で検証しましょう。何が成功し何を改善すべきかという問いかけが、組織の学習サイクルを回します。集団での検証と並行して、リーダー自身が喧騒から物理的に離れる時間も重要です。スティーブ・ジョブズが歩きながら集中状態に入ったように、孤独な環境で思考を整理しましょう。デスクやPC画面から離れ、自らの足跡を俯瞰する時間が不可欠です。定期的な振り返りの習慣が、不確実な未来へ向かう推進力を組織にもたらします。
センスメイキングを身につけて不確実性の高い社会に対応しましょう。過去の延長線上にある精緻なデータ分析だけで、ビジネスの荒波を乗り越えるのは困難です。手探りの状態であっても、リーダーは自らの経験や周囲の小さな変化にセンスメイキングで意味を与え、チームを巻き込むことが求められます。優れた企業は過去を物語化する作業を通じて、現場の迷いを断ち切ってきました。論理的な正しさを超えた納得感がなければ、組織の停滞を打ち破る自発的な行動は生まれません。センスメイキングによって周囲を導く姿勢が、先が見えない状況を希望ある未来に変えるでしょう。
「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。
グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。
他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。
この記事を読んだ方は次のページも読んでいます。