シニア社員の意欲を向上させる4つの方法【活用事例の企業も紹介します】

記事更新日:2022年11月11日 初回公開日:2022年10月31日

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令和3年4月1日に行われた高年齢者雇用安定法の法改正によって、シニア社員の雇用数は今後さらに増加することが見込まれています。シニア社員を雇うことに対よるメリットは、人件費をはじめとするコストの削減でしょう。しかし企業側のメリットのみを求めすぎた結果、シニア社員のモチベーションが下がってしまうケースが多くあります。また、上記の事柄以外でもシニア社員に不満を持っている会社も少なくありません。この記事では多くの会社が不満を持っている事象やその解決方法を詳しく記述し、シニア社員とより良い雇用関係を築くための方法について解説します。同じ職場に再雇用後の年上の社員がいる方は、是非ご一読ください。

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シニア社員制度とは

一般的に60~70代の人材の雇用を指す

シニア社員制度の対象となる年齢は60~70歳です。シニア社員という言葉に明確な年齢の定義はありませんが、多くの企業で60歳を定年としているため、一般的に下限が60歳とされています。この数年で多くの企業が定年の引き上げを始めるとともにシニア社員という言葉が多く使われるようになりました。人口の30%を高齢者が占めているこの高齢化社会において、シニア社員を増やすことはとても有効な高齢者の輝き方となるでしょう。しかし、それと同時にシニア社員を雇用するにあたって、数多くの課題が見受けられているのも事実です。

改正高年齢者雇用安定法

改正高年齢者雇用安定法は令和3年4月1日に施行されました。この法律は、以前までの60歳未満の定年禁止や65歳までの雇用機会確保に加え、65~70歳までの就業機会を確保することを目的としています。具体的な内容としては、企業の社会貢献事業に従事できる年齢の上限を70歳まで引き上げることや、70歳までの再雇用制度や勤務延長制度の導入などがあります。しかしあくまでも努力義務であるとされており、現時点では強大な強制力はありません。

シニア社員の課題

モチベーションが低下しやすい

シニア社員に対する一番の課題として挙げられるのが、モチベーションが低下しやすいという点です。就業機会の確保や雇用延長に関しては、法律の改正によって容易となってきています。しかし、責任の重さや処遇がそのまま維持されることは難しく、仕事のやりがいがなくなってしまうことがモチベーション低下の大きな理由となっています。このような場合の対応として、シニア社員が持つ知識や技術が直接活かすことが出来る職場に移動させることが有効です。その後、シニア社員自身にも目標を設定してもらい、目指すべきゴールを再確認することでモチベーションの向上が期待できます。

マネジメントが困難である

マネジメントが難しいという点もシニア社員を雇用するうえで大きな課題となります。シニア社員の中には他人の意見を聞こうとしない社員や、再雇用後にリタイア状態になって仕事に真剣に取り組まなくなる社員もいます。このような社員には 自身の役割を明確にさせて達成すべき最低限の目標を示しましょう。また、年下ばかりの環境に居づらさを感じているケースもあるため、シニア社員に対するコミュニケーションスキルのフォローを行うことも重要となります。

報酬の適正化が難しい

シニア社員に対する課題として、報酬の適正化が難しいという点も挙げられます。再雇用によって勤務しているシニア社員の報酬は、一般的に現役社員の時の報酬の4~6割減少すると言われています。そのうえ、再雇用の場合は担当する業務が変わらず給与のみが減少することがあるため、モチベーションの低下に直結しやすいでしょう。このように双方が期待する内容が食い違うことを避けるためにも、再雇用後の待遇について話し合いを行い、ある合意を得ておく必要があります。

シニア社員を雇用するメリット

若手の成長につながる

シニア社員を雇用することによって若手社員が早い段階で成長することが期待されます。営業職を例に挙げると、自社の商品のアピールの仕方や購入や契約の促し方など意識すべきポイントがあります。経験を積みながらこのようなスキルを身に着けていくうえで、シニア社員のアドバイスは間違いなく若手社員の助けとなるでしょう。また、サントリーホールディングスは一部のシニア社員を社員の相談相手として雇っており、業務内容の約4割を相談業務としています。このようにシニア社員ならではの雇用を取り入れるということも、シニア社員の有効な活用においては重要となるでしょう。

人手不足が解消される

人手不足の解消が期待できることもシニア社員を雇用するメリットとして考えられます。シニア社員の活用の仕方を大きく3つに分けると、専門職での活用と経験業務分野での活用、労働力としての活用があります。専門職での活用は一番モチベーションが下がりにくいとされており、長期的に見て安定した人材確保が可能となります。経験業務分野での活用は、新規採用や社員教育をしなくとも生産性を維持することが出来ます。また、低コストで若手社員の育成を行うことも可能となります。労働力として単純な作業を担当してもらう場合は、シニア社員のモチベーションを低下させないための工夫が必要です。

経験や人脈を活用できる

経験や人脈を活用できるという点も企業側の大きなメリットです。過去に経験したことがある部署にシニア社員を配属することによって、より多くの人脈や経験を活かすことができます。シニア社員が約40年間勤め続けた中で得た成功体験や、会社の取引先についての知識は会社や現役社員としてもかなり重要な財産となります。またシニア社員が持つ人脈や様々なネットワークを使うことによって、新たな事業展開のきっかけとなる可能性もあるでしょう。

現役社員が安心感を抱く

現役社員が安心感を抱いて業務を行うことができるというメリットもあります。シニア社員が働いている様子を見ることは現役社員が将来を考えるきっかけにもなります。また、同じ職場にシニア社員がいることは、直接職場や業務内容に関する質問がしやすい環境となります。現役社員がシニア社員に質問することがコミュニケーションをとるきっかけとなり、「職場になじめない」というシニア社員の悩みを防ぐことも可能です。長期的に働き続けようと考えている現役社員にとっては、シニア社員が働く環境や待遇を知ることで将来に対する安心感にもつながるでしょう。

シニア社員を活躍させるためのポイント

会社側が期待している役割を伝える

シニア社員を活躍させるための重要なポイントは、まずシニア社員に期待している役割を伝えることです。シニア社員とともに働いている人の中には、「シニア社員は勤務年数が長いから、何も伝えなくても大丈夫だろう」と考える人がいます。しかし、それは全責任をシニア社員が負っていることになり、モチベーションが低下してしまう可能性があります。シニア社員に若手社員の育成を担当してもらう場合には、こまめに話し合うだけでなく、「知識や作業方法について教えてほしい」と伝えるだけでもシニア社員の長期的な活躍につながります。

評価や報酬を適正化する

評価や報酬の適正化はシニア社員の活躍につながる大きなポイントとなります。シニア社員は特に、社員によって業務の遂行状況の違いが顕著に表れます。したがって、もしシニア社員の給与を一律にしてしまうと遂行速度が速い社員のモチベーションが下がることが懸念されます。このように、行った業務の量をどのように評価し、報酬に反映させるかという問題を解決する必要があるでしょう。具体的な方法としては、給与の一部に成果の達成度によって変動する業績給を導入する方法があります。業績給は遂行した業務量の違いが目に見えて分かるため、社員に受け入れられやすいというメリットもあります。

健康状態を配慮する

健康状態の配慮をするということも重要なポイントの一つです。シニア社員を雇用するうえで健康状態のケアは特に必要不可欠となってきます。また、本人に健康上の問題がない場合でも、親族の介護によって職を離れる人も少なくありません。そのような社員の負担を少しでも減らすための対策として、様々な勤務体系を用意しておくという方法があります。例えば短時間勤務などの選択肢を設定し、シニア社員自身に選択してもらいます。これによって、シニア社員は心身ともに余裕のある生活を送ることができ、長期的に安定したパフォーマンスを発揮することが見込まれます。

シニア社員がしたい仕事を兼業可能にする

シニア社員が望む場合に兼業を可能にすることで、シニア社員がより一層活躍することが期待されます。シニア社員は何十年も会社のために尽くしてきた功労者です。そのため、シニア社員が行いたい業務を後押ししながら勤務してもらうことも活用方法のひとつです。ここでいう兼業とは、副業や社内外のボランティア活動の事を指します。他の業務を兼業可能とすることのメリットは、自身のやりたい業務を行えるようにすることによってモチベーションの低下を防ぐことが可能となる点です。また、シニア社員が自身の強みを発見したり新たな可能性を見つけ出す良いきっかけにもなるでしょう。

シニア社員の活用事例

ソニー

ソニーでは、シニア社員やベテラン社員に向けた「Career Canvas Program」を行っています。このプログラムでは社員の「自律」を重んじており、異動をすることなく他の業務を兼務することが可能となっています。この取り組みの大きな狙いは、人生百年時代において増え続けるベテラン社員やシニア社員を活性化させ、定年までのキャリアの道筋をそれぞれの社員に考えてもらうことです。「Career Canvas Program」では、知識を増やす機会と実現のための下支えの2つの取り組みによってシニア社員の将来を支援しています。

大和証券

大和証券では、改正高年齢者雇用安定法が施行される以前の2013年から雇用義務年齢を超える社員の雇用を始めていました。具体的には、営業職の中の「上席アドバイザー制度」において雇用上限年齢を撤廃し、意欲と能力が高い社員が働き続けられる環境を作りました。また、ベテラン社員を雇用するうえで重要な問題となる介護問題についても様々な対策がされています。例として1095日の休職期間や相談しやすい環境づくり、在宅勤務制度の導入などを導入しています。これらの取り組みを通して大和証券はシニア社員に自分自身のゴールを決めてもらい、達成するための環境を会社側が用意するとしています。

タニタ総合研究所

タニタ総合研究所は、タニタを定年退職した社員の受け皿としての役割があります。タニタを退職後に定年後も働きたいという意思を持つ社員はこのタニタ総合研究所に入社し、残業のない環境で仕事を行います。現役時に比べると給与は少なくなりますが、全員がタニタで働き続けた経験があるため、活き活きとした職場となっています。そのうえ、派遣社員としてタニタに勤務し若手社員にアドバイスをする場面もあるため、シニア社員としての役割も十分に果たすことが出来る取り組みとなっています。

まとめ

シニア社員を有効活用して企業を発展させましょう

今後定年が70歳まで引き上げられることを考えると、シニア社員のモチベーションの維持の仕方や働きやすい環境づくりに関する工夫が必要不可欠です。また、シニア社員は増加する一方であるため、シニア社員への対応の仕方を確立しておく必要があります。ほとんどのシニア社員は、「まだまだ仕事はできる」という会社に踏みとどまりたい気持ちと、環境や待遇の変化によってモチベーションが上がらない悩みを併せ持っています。整った環境でシニア社員が活躍することは、組織にとって大きな利益となるでしょう。

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