モチベーション3.0とは【注目される背景や取り入れるメリットについて解説します】

記事更新日:2025年01月15日 初回公開日:2025年01月15日

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モチベーションが高く、自律的に働くことのできる従業員が多い組織は企業にとって理想的であると言えるでしょう。しかし、実際は従業員のモチベーション低下に悩む企業は少なくありません。企業が従業員に与えるモチベーションは、待遇や賞罰が基本的でしたが、変化の激しい現代において、働き方の多様化が進んでいるため、この方法には限界があります。そこで注目されているのがモチベーション3.0です。この記事では、モチベーション3.0について解説していきます。人材育成に活かしたい人事担当の方はぜひ参考にしてください。

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モチベーション3.0とは

ダニエル・ピンクの著書で提唱されたモチベーションの新たな概念のこと

モチベーション3.0は、米国の文筆家であるダニエル・ピンク氏が2009年に提唱した概念です。モチベーションとは、「動機付け」という意味であり、何か行動を起こしたり、行動の方向性を決めたりする要因やプロセスを指します。モチベーションについては、今までに心理学領域を中心として研究が進められてきました。その中でもモチベーション3.0は、これまでのモチベーション理論に比べて内発的な要素が重視されています。

モチベーション1.0とは

モチベーション3.0の他に、モチベーション1.0というものがあります。モチベーション1.0は、人の生理的欲求にもとづく動機づけのことです。生きていく上での原始的な欲求のことで、例を挙げると生存することや安全に暮らすことなどがあります。ビジネスにおいては、仕事は報酬を得るための手段となります。モチベーション3.0は内発的動機づけを重視しているのに対して、モチベーション1.0は生理的動機づけがモチベーションの根源となっている点に違いがあります。

モチベーション2.0とは

モチベーション1.0に加え、モチベーション2.0という概念も存在します。モチベーション2.0は、外部からの刺激や報酬によって動機づけられる「外発的動機づけ」の一形態です。このアプローチでは、従業員の意欲や行動を引き出すために、報酬や昇進、昇格、ボーナスなどの外的なインセンティブを重視します。モチベーション2.0は、近代の企業経営においては非常に普及しているアプローチであり、特に生産性向上や成果主義に基づいた組織文化の中で重要な役割を果たしてきました。

モチベーション3.0が注目される理由

内発的動機付けにつながるため

モチベーション3.0が注目されている理由としては、内発的動機づけにつながるためです。モチベーション2.0の考え方は19世紀後半ごろから現代に至るまでモチベーション管理の基本と考えられてきました。しかし、外発的動機づけでは創造性や自律性が損なわれることや、維持が困難であること、報酬のために手段を選ばなくなる恐れがあることが危険性を生むと指摘されることも増加しています。このことから、新たなモチベーションの概念として内発的動機づけを考えるモチベーション3.0の誕生は大きな注目を浴びることとなりました。

モチベーション3.0の3つの要素

自律性

モチベーション3.0は、3つの重要な要素で構成されており、そのうちの1つが「自律性」です。この「自律性」とは、単なる独立性とは異なり、他者からの指示や制約を受けずに自発的に行動できるだけでなく、他人と協力し、助け合う関係性を築く能力や姿勢を含んでいます。個人が持つ能力やアイデアを最大限に引き出す土台を作り出し、結果的に全体の理解が深まることで、プロジェクトや業務の効率性や生産性の向上といった大きなメリットにつながるでしょう。

成長

モチベーション3.0の3つの要素の2つ目は、成長です。モチベーション3.0における成長とは、自分の目標を達成するために鍛錬を積み重ねることです。成長に基づくモチベーションでポイントとなる点は、掲げた目標が成長によって達成できるようになるという強い意志を持つことです。例えば、スキルの向上や知識の会得、これまでより大きな仕事をこなせるようになるといったビジネスの総合力向上などが該当するでしょう。マネジメント力やリーダーシップが身につくなど人間性の成長も含まれます。

目的

モチベーション3.0の3つの要素のうち、3つ目に挙げられるのが「目的」です。この「目的」とは、単に仕事をこなすだけでなく、その仕事の中に自分が価値を見出すことを指します。例えば、単なる企業の売上増加や利益追求といった経済的な目標だけではなく、自分の仕事が顧客のニーズを満たし、さらに社会的な課題解決につながっていると実感できることが重要です。このような感覚を得られると、日々の業務に対するモチベーションが高まり、持続可能なパフォーマンスを発揮しやすくなります。

モチベーション3.0を取り入れるメリット

本質的な目的・目標が明確となる

モチベーション3.0を取り入れるメリットとして、本質的な目的や目標が明確となる点です。モチベーション2.0のようなインセンティブや外部から受ける評価といった外発的動機づけでは、承認欲求がモチベーションとなってしまいます。そのため、手段を選ばないモラルハザードや不必要な競争が発生するリスクがあり、本来目指すべきゴールから外れてしまう恐れがありました。そのため、内発的動機づけであるモチベーション3.0では、目標や目的達成がモチベーションとなるため、本質に近い形でモチベーションが働きます。

長期的な目標達成を目指せる

モチベーション3.0のメリットとして、長期的な目標達成を目指せる点があります。アメとムチによるモチベーションコントロールを行うと、「報酬を手に入れることでやる気が失われる」ことや、「怒られることで自信喪失につながる」恐れがあることから、長期的なモチベーション維持には向いていません。一方で、内発的動機づけによるモチベーションに従って活動を行う場合、周囲からの影響を受けにくくなるため、長くモチベーションを維持することが可能となります。そのため、長期的な目標達成の見込みがあり、効果的であると言えます。

創造性の発揮に効果的である

創造性の発揮に効果的である点もモチベーション3.0を取り入れるメリットです。モチベーション2.0までの外発的動機づけによるモチベーションコントロールでは、自分で物事を工夫することで成し遂げる創造性の発達を阻害することが懸念点として挙げられていました。そのため、現代では一般的なクリエイティブな業務ではあまり効果的であるとは言えません、このことから、自律性や成長を重視しているモチベーション3.0を取り入れることで、創造性の発揮や新たな価値の創出を促すことが期待できると言えます。

モチベーション3.0を取り入れる際のポイント

モチベーション1.0、2.0を満たす

モチベーション3.0を取り入れる際のポイントとして、モチベーション1.0と2.0を満たしていることが前提であると言えます。毎日の生活が苦しい状況や、給料が少ない状況、仕事にやりがいが見出せないような状況でモチベーション3.0を取り入れてしまう場合、内発的なモチベーションを呼び起こすことが難しくなるでしょう。まずは、給与や労働環境、仕事上の役割などをしっかりと与えられ、現状に満足していることが重要なポイントとなります。

従業員に目標を決めてもらい、裁量権を与える

従業員に目標を決めてもらい、仕事の裁量権を与えることもモチベーション3.0を取り入れるポイントです。「何を目標にするのか」「達成したいことは何か」を従業員に決めてもらうことで、内発的な動機に呼びかけることができます。目標を決めてもらい、裁量を持たせることで、自分で判断できる状況が与えられ、自律性や創造性の発揮、成長につながりモチベーションアップが期待できるでしょう。また、これらがうまく行くことで、成功体験が生まれ、より一層モチベーションの向上につながります。

環境を整える

モチベーション3.0を取り入れて活用するためには、環境を整えることが非常に重要です。リモートワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方の選択肢を増やすことは、ワークライフバランスの向上につながり、結果として仕事により集中できる環境を提供します。時間や場所の制約が緩和され、選択肢が広がることで、同僚との対面の時間にも一層の価値を感じられるようになり、自然とコミュニケーションも活性化するでしょう。こうした取り組みは、個々の生産性やチーム全体のパフォーマンス向上にも寄与します。

評価精度を見直す

モチベーション3.0を取り入れる際の重要なポイントの一つが、評価精度の見直しです。モチベーション3.0が効果的に機能するためには、従来の評価基準や仕組みを見直し、組織の文化に合った方法に変化させることが求められます。従業員が自分自身で目標を設定し、それに対して自己評価を行いながら進むプロセスを支援することで、個々のモチベーションを高めることができるでしょう。このように、評価基準を見直し、自己主導的な行動や成果を正当に評価する仕組みを整えることが、モチベーション3.0をより一層活性化させるためのカギとなります。

モチベーション3.0を活用した事例

自主性を高める取り組み

モチベーション3.0の自主性を促進する取り組みの一例として、ある企業では「勤務時間のうち一定時間を自分の個人的なサイドプロジェクトに費やすことを認める」というルールを導入しました。この取り組みによって、従業員は与えられた業務だけでなく、自分が情熱を持つプロジェクトにも取り組むことができるようになり、業務の枠を超えた新たなアイデアやイノベーションが生まれました。従業員自身が自分の興味や好奇心を活かして仕事に取り組むことで、モチベーションが向上し、企業全体の創造性や柔軟性が高まりました。

成長を促進する取り組み

モチベーション3.0の成長を促進する取り組みとして、部下を持つ従業員に対して「自分の後継者を育てること」を明文化し、企業のルールとして定めた事例があります。この取り組みが導入されることによって、上司は自らの部下に対して、単に業務を指示するだけでなく、その成長に積極的に寄与するようになります。具体的には、部下が次のステップに進むために必要な情報やスキルを提供し、キャリアパスを明確にすることで、部下は自分の成長の道筋をより具体的にイメージできるようになります。

目的を活用した取り組み

世界中で広く利用されているWikipediaは、モチベーション3.0の目的を活用した取り組みの優れた例です。Wikipediaはウィキメディア財団という非営利団体によって運営されており、ページの執筆や編集には報酬が発生しません。編集者や執筆者は金銭的な報酬を目的としているわけではなく、むしろ「知識の共有」や「社会貢献」といった内発的な動機が大きな原動力となっています。このように、外発的な報酬ではなく、社会的目的や使命感に基づいた活動が多くの参加者を引き寄せています。

まとめ

モチベーション3.0を取り入れて効果的な人材育成を行おう

モチベーション3.0は、ここ数年日本でも注目されている新しい概念です。新たな価値を生み出すことが求められている現代のビジネス環境において、内発的動機づけを用いる人材育成は欠かせないものとなっています。モチベーション3.0を取り入れることで、マネジメントを意識して行うことができ、自律性の高い人材を育成することが求められています。そのためには、組織の枠組みを根底から見直すことが大切でしょう。管理職の意識改革をはじめとした人材育成からのアプローチにも積極的に取り組む必要があるでしょう。

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