無期雇用とは【無期雇用に転換される仕組みや条件などについても解説します】

記事更新日:2025年05月13日 初回公開日:2025年05月13日

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「契約社員として、このまま働き続けられる?」「無期雇用って、正社員と何が違うの?」「5年経ったら自動的に変わるの?」そんな疑問や将来への不安を感じていませんか?無期雇用はメリット(雇用の安定、スキルアップ)だけでなく、デメリット(正社員との待遇差、仕事内容の変化)があります。無期雇用に関する正しい知識を身につけ、納得のいく働き方を見つけましょう。この記事では知っておくべき無期転換ルールの仕組みや条件、気になる正社員との違いまでビジネスパーソンが押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。

無期雇用とは

雇用期間に定めのない労働契約

無期雇用とは、雇用期間に定めのない労働契約です。契約社員やアルバイト・パートといった有期雇用と違い、契約期間の満了という概念がありません。原則として、企業が定める定年まで雇用が継続される見込みとなります。労働契約法の改正で施行された「無期転換ルール」により、一定の条件を満たした有期雇用労働者が無期労働契約への転換を企業に求める権利を得ることになりました。雇止めへの心配が減り、より安定した働き方が実現しやすくなった点は大きな変化でしょう。

正社員との違い

無期雇用と正社員は給与や待遇、責任の範囲などに違いがあります。正社員は多くの場合、フルタイム勤務で賞与や退職金があり福利厚生も手厚く、企業内で責任ある業務を担う立場とされます。有期雇用から無期転換した場合は労働契約法上は契約期間のみが変更され、他の労働条件は企業が就業規則などで別段の定めをしない限り、有期契約時のものが維持されます。もちろん、企業が無期雇用転換を機に正社員として採用するケースもあります。

無期雇用へ転換できる仕組み

無期転換ルール

無期雇用へ転換できる仕組みとして、無期転換ルールがあります。有期労働契約で働く人が法律で定められた条件を満たした際に、使用者(企業)に対し、無期労働契約に切り替えるよう申し込める制度です。適用の主な条件は同一の企業との間で有期労働契約が繰り返し更新され、通算の契約期間が5年を超えていること、そして契約が1回以上更新されていることです。要件が揃うと「無期転換申込権」が発生し権利を行使して申込みをすると、企業は客観的で合理的な理由がない限り、拒否できません。

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無期転換ルールが制定された背景

従業員の雇い止めに対する懸念を払拭するため

無期転換ルールが制定された背景には、従業員の雇い止めに対する懸念を払拭する狙いがあります。ルールが導入される前は契約社員やパートなどの有期雇用労働者が、契約が何度も更新され長期的に勤務していても、企業の都合で雇止めされる不安が常にありました。無期転換ルールは、有期雇用労働者の立場を強化し、雇用の安定性を高めて安心して働き続けられることを目的に施行されました。一定期間を超えて企業に貢献してきた労働者を保護し、安易な雇い止めを防ぐ意図があります。

無期転換ルールに関する用語の定義

有期労働契約の意味

無期転換ルールに関する用語の定義として、有期労働契約の意味を理解しましょう。有期労働契約は1年間や6ヶ月間といった形で契約期間が設定され、期間を満了すれば原則として雇用関係は終了します。ただし、企業と労働者双方の合意に基づき、契約が更新されることも少なくありません。契約社員や期間を区切って働くパート・アルバイトなどが、この有期労働契約に該当します。無期転換ルールは、この契約形態で働く人を対象とする制度です。

無期労働契約の意味

無期労働契約の意味について、理解しましょう。有期労働契約とは異なり、雇用期間に終了時期の定めがない労働契約のことです。労働者が希望し、企業が定年を規定している場合、その年齢まで原則として働き続けることが可能です。一般的には正社員がこの契約を結んでいますが、無期転換ルールにより有期雇用から転換した人も、期間の定めがなくなるという点で無期労働契約となります。安定した雇用が確保される点が、有期労働契約との決定的な違いです。

無期転換ルールが適用される条件

4つの条件がある

無期転換ルールが適用されるには4つの条件があります。第1に、契約が有期労働契約であることが前提です。第2に、同一企業との有期労働契約が更新され、その通算期間が5年を超えていること。第3に、この5年超の期間内に少なくとも1回は契約更新がされていること。3つの要件を満たすと、労働者に無期転換申込権という権利が発生します。第4のステップとして、労働者がこの権利を実際に企業に対して行使し、「無期雇用にしてほしい」と申込みを行うことが必要です。

無期転換の類型

雇用期間を変更すること

無期転換の類型として、雇用期間の変更があります。無期転換ルールの原則的な形であり、有期労働契約で働いていた労働者が無期転換申込権を行使した場合、労働契約の期間だけが「期間の定めなし」に変わるというものです。給与、労働時間、業務内容、勤務地など、契約期間以外の労働条件については、企業と労働者間で別途合意がない限り、有期契約時のものがそのまま適用されます。雇用の安定は得られますが、自動的に正社員と同じ待遇になるわけではない点に注意しましょう。

正社員へ転換すること

無期転換の類型として、正社員への転換もあります。無期転換のタイミングで企業が労働者を単に無期にするだけでなく、正社員としての雇用契約を新たに締結するケースです。契約期間が無期になるのはもちろん、給与体系や賞与・退職金、福利厚生、責任の範囲なども含めて、正社員と同様の労働条件に変更されます。労働者にとってキャリアアップの好機となるでしょう。企業によっては無期転換の権利を持つ労働者の中から勤務実績や能力などを評価し、選考を経て正社員へ登用する制度を設けています。

条件付きの正社員に転換すること

無期転換の類型として、条件付きの正社員に転換することもあげられるでしょう。通常の正社員とは異なり勤務地や職務内容、労働時間などに一定の限定が付けられているのが特徴です。例えば、「転勤なし」「特定の業務のみに従事」といった条件が付くケースがあります。無期転換を進めるにあたって、限定正社員制度を設けて労働者の働き方に関するニーズに対応する企業もあります。労働条件の具体的な内容は企業ごとに異なるため、就業規則などで確認することが重要になるでしょう。

無期転換ルールに際して企業が準備すること

就業規則を整備する

無期転換ルールに際して企業が準備することとして、就業規則を整備があげられます。無期転換した労働者にどのような労働条件が適用されるのか、正社員との違いはあるのかなどを明確に規定しておく必要があるでしょう。企業が無期転換する労働者に対して、転換前とは異なる労働条件(例えば専用の賃金テーブルや手当など)を適用したいと考えるケースもあります。具体的な内容を就業規則に明示し、対象となる従業員に周知しなければ、労働者との間でトラブルが生じたり、人事・労務管理上の混乱を招くリスクがあります。厚生労働省の資料なども参考に、専門家に相談しながら適切な対応を進めましょう。

無期転換による労働者のデメリット

正社員になりにくい

無期転換による労働者のデメリットとして、正社員になりにくいケースがあります。無期転換ルールは、あくまで契約期間を無期にする制度であり、正社員と同じ待遇や地位が保証されるわけではありません。企業によっては、正社員とは異なる雇用区分として位置づけ、給与体系や昇進・昇格の機会、福利厚生などに差を設けているケースが少なくありません。正社員への登用制度が別途設けられていたとしても、その適用には一定の条件や選考があることが多く、希望者全員が転換できるとは限りません。安定した雇用は得られても正社員としてのキャリアを望む労働者にとっては、不本意な結果となります。

労働条件は変更されない

無期転換による労働者のデメリットとして、労働条件は変更されないことががあげられます。無期雇用へ転換したとしても、給与・労働時間・休日・福利厚生などの待遇面は、企業との間で特別な取り決めがない限り、有期雇用時の契約内容がそのまま維持されます。無期転換ルールは、あくまで雇用期間の定めをなくし雇用の安定を図る目的の制度であり、賃金アップなどの待遇改善を企業に直接義務付けるものではありません。「無期になったら自動的に給与が上がる」「賞与の対象になる」といった期待は、企業の判断がなければ叶わない可能性が高いでしょう。

仕事が重くなる恐れがある

無期転換による労働者のデメリットとして、仕事が重くなる恐れがあります。会社からの期待値が上がり、これまでより成果や幅広い役割を求められる場面も出てくるかもしれません。より難易度の高い業務を任されたり、担当する仕事の範囲が広がる可能性があります。「期間の定めがなくなった分、より企業に貢献してほしい」という考えが、結果的に労働者の負荷増加につながることも考えられます。給与などの待遇は据え置かれているのに、責任だけが重くなると不満を感じる結果になるかもしれません。無期転換前に企業側と認識をすり合わせておくことが、後のトラブルを避ける上で大切です。

無期転換による労働者のメリット

定年まで在籍が可能になる

無期転換による労働者のメリットとして、定年まで在籍が可能になることがあげられるでしょう。有期労働契約の場合は契約更新の心配や雇止めのリスクが常に伴いますが、無期転換権を行使し契約が変われば、雇用期間の定めがなくなります。企業に定年制があれば、その年齢まで継続して勤務することが可能となります。法律上、解雇のハードルも有期雇用と比べて高くなるため、雇用の安定性は格段に向上するでしょう。将来の見通しが立てやすくなるため長期的な生活設計や、腰を据えたキャリア形成を進めやすくなる点は大きな利点です。

スキルアップが見込める

無期転換による労働者のメリットとして、スキルアップが見込める点もあげられます。雇用が安定することで、企業側も労働者を長期的な人材と捉え、教育訓練や研修といった育成投資の対象としやすくなります。有期雇用の契約期間という制約がなくなるため、これまで担当範囲が限られていた労働者も、より責任のある業務や多様な仕事に挑戦する機会が増えるでしょう。企業によっては、無期転換者向けのキャリアアップ支援制度を設けていることもあります。長期的な視点で仕事に取り組むことで専門的なスキルや知識を深まり、自身の市場価値を高めていくことにつながるでしょう。

収入が安定する

無期転換による労働者のメリットとして、収入が安定することも期待できます。有期雇用の場合、契約が更新されなければ収入が途絶えてしまうリスクがありますが無期雇用になれば、原則として定年まで毎月の給与が安定的に得られるようになります。無期転換を機に賃金テーブルが変更されたり、賞与の支給対象となったりすることで、収入が増加するケースもあります。(ただし、これは企業側に義務はありません)待遇が大きく変わらなかったとしても、雇止めの不安なく長期的に収入を得られる見込みが立つのは、重要なメリットといえるでしょう。

まとめ

無期雇用に関する法制度を理解しキャリアを考えよう

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無期雇用の法制度を理解しキャリアを考えることが重要です。無期転換ルールは、有期雇用労働者にとって雇用の安定につながるメリットがある一方、正社員とは異なる点や注意すべきデメリットも存在します。自身の雇用形態や契約内容、企業の就業規則などを確認してキャリアプランにどのような影響があるのか、メリット・デメリット双方を理解したうえでの判断が必要です。厚生労働省の資料や場合によっては弁護士などの専門家の意見も参考にしながら、客観的な知識に基づき後悔の無い選択をしましょう。

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