ギャップイヤーとは?【過ごし方から日本の現状、メリットまで詳しく解説】

記事更新日:2021年03月29日 初回公開日:2020年09月28日

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近年のグローバル化に伴い、海外から様々な文化が取り入れられるようになりました。今回取り上げる「ギャップイヤー」もその一つと言えるでしょう。ギャップイヤーは直訳すると「隙間の時間」となります。ギャップイヤーという制度はヨーロッパを中心とした国々では広く浸透していますが、日本人にはあまり馴染みがないかもしれません。今回は知っていそうであまり知らない「ギャップイヤー」という言葉について詳しく紹介をしていきます。

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ギャップイヤー制度とは

高校卒業と大学入学のあいだの期間

ギャップイヤーとは、イギリスで誕生した制度で「高校卒業と大学入学のあいだの期間」に自分のやりたいことをすることが出来ます。場合によっては、大学卒業から大学院入学までの期間を指すこともあります。ただし現在では大学在学中の休学も含めてギャップイヤーと呼ぶのが一般的でしょう。この制度自体は義務ではなく、何をするのかは完全に学生の自由です。学生は留学や旅行、ボランティアなど様々な活動をして、ギャップイヤーの期間を充実させています。

日本の現状

日本では浸透していない

ここ5年から10年の間にグローバル化が急速に進んでいるとはいえ、イギリスで誕生したギャップイヤー制度は日本ではあまり浸透していません。2015年に海外留学サイトのEFが行った調査によると、ギャップイヤーという言葉の認知度はわずか2割程度に留まっています。おそらくこの記事を見るまでギャップイヤーという言葉について説明出来なかったという方も多いのではないでしょうか?実際に、大学入学前にギャップイヤーを利用した学生がいるという話をほとんど聞いたことがありません。

大学や企業の理解が必要

日本でギャップイヤー制度が浸透しない背景には、大学や企業側の捉え方の違いが挙げられます。日本の学校制度の場合、一般入試や推薦入試などを通じて受験をして、4月から大学に入学することがほとんどです。実際に多くの大学では合格が決まってから入学までの期間にギャップイヤー制度を利用することを認めていません。残念ながら企業も採用の際に、ギャップイヤーの期間をマイナス面として捉える傾向がまだまだ残っているのが現状です。

大学の取り組み

東京大学 「FLY Program」

ギャップイヤーは日本ではあまり浸透していませんが、一部の大学では積極的にギャップイヤーの活用を推奨する動きもあります。ここでは二つの大学の例を紹介しましょう。一つ目は東京大学の初年度長期自主活動プログラム、通称「FLY Program」です。このプログラムは入学初年度の4月から3月までの一年を休学期間として、その間に学生自身の選択によって社会体験活動を行うものです。参加者からは「学問的探究心が高まった。」、「挫折体験や主体性を得ることが出来た。」といった声も寄せられています。

小樽商科大学 「ギャップイヤープログラム」

続いて紹介するのが、小樽商科大学が実施する「ギャップイヤープログラム」です。この取り組みが他大学と大きく異なるのは、休学ではなく入学前にギャップイヤーを経験することが出来る点です。2019年度はハワイ大学に4か月程の派遣留学をするという内容のプログラムが提供されました。参加学生は語学向上のための授業だけでなく、語学以外の専門科目を学ぶことが出来るのも大きな魅力となっています。ギャップイヤーを通して語学能力や異文化理解を高め、国際的な感覚を養うことが出来るでしょう。

ギャップイヤーの過ごし方の具体例は

海外留学

ギャップイヤーを利用している人は実際にどのように過ごしているのでしょうか?ここでは3つの代表例を紹介します。まず1つ目は海外留学です。留学ではプログラムを利用して現地の大学で授業を受けたり、英語などの語学スキル習得のために語学学校に通うなど、いくつかのパターンがあります。一部の国ではワーキングホリデービザを使って学校に通いながら、アルバイトをするという人もいるでしょう。様々な選択肢の中から自分に合った留学プランを探すようにすると良いですね。

ボランティア

2つ目に紹介するのがボランティアです。ギャップイヤーの期間は新しいことにも積極的に挑戦できます。地域のコミュニティを作ったり、環境保護活動に参加したり、スラム街で暮らすストリートチルドレンの支援をしたり。どれも大学では体験出来ないことばかりですよね。ボランティア活動をすることによって、周りの人に役に立つことが出来たり、人間関係が大きく広がったりなど様々なメリットもあります。実際に海外の学生の多くは社会の一員としてボランティアを経験しているそうです。

インターンシップ

最後に3つ目はインターンシップです。インターンシップは研修生として、企業で就業体験をする制度のことで、その種類も豊富にあります。もちろん大学在学中もインターンシップをすることも可能ですが、ギャップイヤー期間の学生ほど充分な時間は取れません。また、インターンシップをすることで、自分の将来について考えるきっかけになるかもしれません。なのでもし興味を持った仕事があるのであれば、ギャップイヤーを利用して長期のインターンシップに参加してみるのも良いでしょう。

ギャップイヤーのメリット

やりたいことを見つけられる

ギャップイヤーには様々なメリットがあります。一つ目はギャップイヤーの期間が自身の将来について考えるきっかけになるという点です。高校生までの経験は勉強や部活動など非常に限られています。一方、ギャップイヤーの間は何をするかは自由なので、自分のやりたいことに集中出来るでしょう。学校生活では得られない様々な経験をする中で、新たな発見や将来やりたいことが見つけられるかもしれません。社会人になってからという選択肢もありますが、仕事の関係でまとまった時間を取るのも難しいでしょう。

入学後の目的意識が高まる

ギャップイヤーの間に普段の生活では味わえない様々な経験をすることで、大学で何を学びたいのかを考える良いきっかけになります。一般社団法人日本ワーキング・ホリデー協会によると、ギャップイヤーを経験した学生の大学中退率はわずか3%で、経験していない学生と比較すると17%も低いというデータが出ました。この結果からギャップイヤーを利用した学生は単に単位を取るために授業を受けるのではなく、勉強に対してより明確な目的意識を持って取り組んでいるということが言えるでしょう。

人脈が広がる

ギャップイヤーの期間は通常の学生生活では会うことの出来ない人たちに出会うことが出来ます。国内のみならず海外での経験は新たな人脈の形成に繋がり、もしかしたら一生付き合っていける親友に出会えるかもしれません。その中で得た新たな人間関係は、今後の人生に大きな影響を与えることでしょう。また、社会人になってから人脈を広げるのは思っているよりも難しいものです。学生の立場であれば仕事の利害関係もないので、気軽に人間関係を築くことが出来るでしょう。

ギャップイヤーのデメリット

金銭面の問題がある

ギャップイヤーはメリットだけではありません。最も大きな課題となるのが収入源です。ギャップイヤーの期間にアルバイトやインターンシップなどで収入を得たり、既に貯蓄があれば問題ないでしょう。しかしそうでなければ、自分自身がやりたい活動を行うためにお金を集めなればなりません。特に海外で生活をする場合は滞在費や渡航費、保険料など、想像以上にお金がかかるものです。ギャップイヤーを充実した時間にするために、お金の管理は計画的に行うようにすると良いですね。

目的がなければ無駄な時間になってしまう

もしギャップイヤー期間の具体的な目標や目的があれば、その人にとってとても有意義な時間になることでしょう。しかし目的ややりたいことが思いつかなければ、ギャップイヤーを利用しないという考え方ももちろん正しいはずです。ギャップイヤー制度自体はどの国でも義務では全くありません。また就職活動のときにも、ギャップイヤーの期間に何をしたのかを説明できなければ、決して良い評価にはつながらないでしょう。何かやりたいことをするために必要な期間としてギャップイヤーを捉えると良いかもしれません。

ギャップイヤー制度を導入している国

イギリス

世界にはギャップイヤー制度が普及している国が数多くあるという事実をご存知でしょうか?ここでは三つの国に絞り、特徴や現状を紹介していきます。1か国目はイギリスです。イギリスといえばギャップイヤー発祥の地として知られていると先程紹介をしました。発祥の地というだけあって多くの学生が利用していると想像しがちですが、大学入学前にギャップイヤーを取得する学生は1割程度だそうです。残念なことに、経済的負担が大きい点というから諦めざるを得ない学生も一定数いるのが現状です。

オーストラリア

一方で、南半球にあるオーストラリアはギャップイヤーを取る学生に対して、比較的寛容な社会であると言えます。オーストラリアでは日本の受験勉強のような文化がないので、大学入学前に自由な時間を作ることが出来ます。また日本の私立大学のように「休学費用」も支払う必要がありません。海外旅行や留学をする学生がいる一方で、この期間にアルバイトをする学生もいます。その理由は、オーストラリアでは大学の学費を自ら支払う人が多いからだと言えるでしょう。

ドイツ

最後に紹介する国がドイツです。ドイツは他国と比較してギャップイヤーを活用する学生が多く、4割以上の学生が高校卒業から大学入学までの1年間をギャップイヤーとして設けています。その中でも、「どのように過ごすか決めていないがいったん休みたい。」と回答する人も少なくありません。そのため、ギャップイヤー中の過ごし方も多様です。例えば、FSJと呼ばれる社会奉仕活動やドイツの行政機関が主催する開発国支援のボランティア活動に参加する若者もいます。

人事担当者が押さえるべきポイント

どのような体験をしたのかを評価する

「ギャップイヤー」という言葉の知名度が日本ではまだまだ低いので、どのように評価すればよいのか分からないという人事担当者の方も大勢いると思います。実際にギャップイヤーの利用を「休暇」として捉えられたために就職でマイナスの評価を受ける学生も少なくありません。人事担当者の方は、学生がギャップイヤーの期間にどんな活動に取り組み、何を得たのか、どんな苦労をしたのかなど、個人個人の経験に注目をして、評価をするようにしてみましょう。

採用制度自体も多様化している

これまで日本社会で長く続いてきた終身雇用制度は、これから衰退していくことでしょう。それに伴い企業の採用制度も非常に多様化しています。例えば、ユニクロやメルカリなどの一部の企業では新卒通年採用を始めました。特に海外の大学に通う学生やギャップイヤーを利用した学生にとっては、就職活動の時期を柔軟に決めることが出来るといったメリットがあります。このように、自社がどのような人材が欲しいのかによって、採用基準だけでなく採用制度も決定すると良いかもしれません。

まとめ

ギャップイヤーを通じて「自分と向き合う時間」を作りましょう

ここまで現状や具体例など、いくつかの視点からギャップイヤー制度について紹介してきました。今回紹介した「ギャップイヤー」について詳しくなることが出来ましたでしょうか?ギャップイヤー期間は自分がやりたいことに集中出来ます。そしてどんな経験をしても、自分自身としっかりと向き合うことが出来る、貴重な時間になることでしょう。少しでも興味を持ったら人生を充実させる経験として、ギャップイヤーを利用してみてはいかがでしょうか?

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