記事更新日:2024年09月06日 | 初回公開日:2024年09月06日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報経験者採用とは、採用活動で「すでに社会人経験のある人材」を採用することです。経験者採用とはいわゆる中途採用のことを指しており、経験や実績が豊富な人材の採用を行うことを指します。新卒採用以外の採用活動では、中途採用という言葉が広く使われています。経験者採用と呼ばれるようになったのは、ここ数年のことであるため中途採用という言葉が定着しており、いまだ経験者採用ではなく中途採用を使っている企業も多くあります。
経団連が「中途採用」から「経験者採用」に表記変更を行いました。経験者採用という言葉は、「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」案および経団連の会長の会見がきっかけです。中途採用という言葉が広く知られていますが、中途採用という言葉はネガティブなイメージを含んでいるため、経験者採用という言葉を使うようになりました。また通年採用を実施している企業も多く中途採用がそぐわなくなったことも影響しています。
経験者採用と似ている言葉にキャリア採用があります。キャリア採用は即戦力を採用したい際に行う採用方法です。経験者採用とは、社会人経験があり転職やキャリアアップを考える人だけでなく業界未経験の人も対象になっています。キャリア採用は、その分野で豊富な経験を持ち専門知識を有している人材を採用することです。そのためキャリア採用では即戦力になる人材が対象となりますが、経験者採用は経験のある人材だけでなく未経験者も含みます。
経験者採用表記の課題は、中途採用余地も汎用性が低い点です。中途採用という言葉は、新卒採用採用以外の全ての採用をカバーできる言葉であったため使いやすかったと言えます。しかし経験者表記と記載した場合には、「異業種からの未経験では転職できないのか」と転職希望者が応募を諦めてしまう可能性もあります。そうなってしまうと応募事態が減ってしまうため注意が必要です。経験者採用と記載する場合に誤解を招かないようにすることが大切です。
認知度が低く検索されにくいのも、経験者採用表記の課題です。経団連が経験者採用を提唱したのが2022年であるため、経験者採用と言う言葉がまだ一般に定着していません。中途採用という言葉の方が多くの人にとって馴染があることから、経験者採用という言葉は聞き慣れない言葉として認識される可能性もあります。またネット上でも同様で、経験者採用よりも中途採用の方が検索エンジンの評価が高くなっている傾向です。多くの人に見て貰うためにも使用するワードは注意しましょう。
経験者採用を行うメリットは、専門知識や経験が豊富な人材を採用できる点です。経験者は新卒採用者に比べて、前職での経験などを元に豊富なスキルや知識を身に着けています。経験者を採用することによって、今までの経験を元に業務を進めてもらうことが出来ます。経験豊富な人材が持っているノウハウを活用することで、自社の業務プロセスの課題解決やオペレーションをスムーズに進めることが可能となり、業務効率を高めることも出来ます。
経験者採用のメリットは、人材育成コストを削減できる事です。新卒採用を行うと、社会人経験がない人が殆どであるため業務を任せるための研修だけでなく社会人としての基礎知識などを習得してもらうための研修も必要です。一人前に業務を行えるようになってもらうためには、長期間の研修や育成を行わなければなりません、経験者を採用することができれば、新卒採用と同等の育成コストを掛ける必要がないため、人材に掛かる費用を削減できます。
企業の生産性向上につがげられるのも、経験者採用を行うメリットです。経験者は未経験者に比べると、業務を効率的に進めていくことが出来ます。前職が同業種で働いていた人は、前職での知識などを活用して業務フローなどを最適化することも可能です。経験者を採用することで人材育成に掛かるコストの削減を行えるメリットがあるだけでなく、今までの経験を活かして自社内の業務効率化を行い生産性向上に繋げられる可能性もあります。
経験者採用を行うデメリットは、給与が高くなりやすい点です。豊富なスキルや経験を持っている人は、未経験者に比べると高い給与水準を求める傾向にあります。経験豊富な人材は他の企業でも採用したいと思える人材であるため、魅力的な経歴やスキルを持っている人ほど採用するために高い給料を払わなければなりません。マネージャーや管理職を採用したい場合は、より高い水準が求められます。経験者は給料アップを目的に転職していることも多いため、それに満たないものは応募が来ません。
経験者採用は、柔軟性に欠ける場合があるデメリットがあります。豊富な知識や経験を持っている人は、自分の業務のやり方が確立していることが殆どです。自分のやり方に自信を持っていると業務フローの変更などに対して抵抗感を持っている経験者も多く、仕事に対して柔軟性に欠ける場合があります。柔軟性を持てなくなると、新しい課題や環境に適応することが難しくなってしまうため経験者よりも未経験者のほうが柔軟性が高いと言えます。
伸び代がない可能性があるのも、経験者採用のデメリットです。若年層の経験者を採用出来た場合はこの限りではありません。しかし既にキャリアのピークに達しているようなマネージャーや管理職などを採用すると、未経験者や若年層の社員に比べて成長する幅は少なくなります。経験者を雇用することで、ノウハウの伝承などメリットも勿論ありますが長期的な目線で社員の成長を伸ばしていける機会は限定されてしまう可能性もあります。成長幅を求める場合は、経験者でも若年層の人を採用するようにしましょう。
経験者採用に適した採用方法は、転職サイトを活用することです。新卒採用の際に求人サイトへの掲載をしている企業も多いはずです。経験者採用も同様に、転職サイトを活用して転職活動を行っている人も少なくありません。昨今では、SNSを活用した採用手法も広まっているため、転職サイトだけを使ってしまうと中々応募が集まらないのではと考えている人もいるかもしれません。しかし応募までスムーズに行える転職サイトは潜在層の人たちにもアピールすることができるため、経験者採用には適しています。
ダイレクトリクルーティングも、経験者採用に適しています。ダイレクトリクルーティングとは、応募者から応募を待つという従来の採用手法から企業が応募してほしいと思った求職者にアピールする採用手法です。優秀な人材は引く手あまたのため、求人を掲載するだけでは中々応募に繋がらない場合もあります。大企業に比べて認知度の低い中小企業などは、求職者に直接アピールすることで企業として認知してもらうことが出来ます。ダイレクトリクルーティングは、直接企業の魅力を伝えることも可能です。
経験者採用を成功させるポイントは、業務内容などの条件を明確にして募集することです。経験者を採用したい場合は候補者に求めている要件などを明確にして求人票に掲載しておくことが大切です。取得が必要な資格や経験年数に条件を設定する際も、しっかりと明記しましょう。自社ではどういったキャリアを積むことができるのかということも、転職を考えている経験者は知りたいポイントです。求人内容が曖昧なままになっている場合、ミスマッチが起こりやすくなるため注意が必要です。
経験者採用を成功させるには、入社後の待遇面を充実させることが大切です。近年では、ワークライフバランスを重視した働き方を好む人が増えています。ライフステージにあった働き方を提供できている企業は、転職者から選ばれやすいといえます。高い給料を払うということだけでなく、従業員が働きやすい時間を選べるようにできる仕組みや育休や介護休暇などを取りやすい環境など福利厚生面を充実させる必要があります。待遇面を充実させることができれば優秀な経験者を採用することへ繋がります。
様々な採用方法を活用することも、経験者採用を成功させるポイントです。昨今では従来のような求人サイトへの掲載だけでなく、SNSを活用した方法やリファラル採用など数多くの採用手法が存在しています。従来と同じような採用手法だけでは、若年層の優秀な人達を応募に繋げることが難しくなっています。どれか一つに頼っている採用手法では、費用負担が大きくなる・応募が思ったよりも来ないといったケースが考えられます。様々な手法を活用することによって、ノウハウの蓄積も出来ます。
スキルと人柄の両面で確認することで、経験者採用を成功させることが出来ます。経験者を採用する場合、どうしてもスキルや所有資格など経歴を重視して採用してしまいがちです。いくら経験豊富な人材であっても、自社の雰囲気や企業理念などにあうかどうかはわかりません。スキル重視で採用してしまうと、ミスマッチが起こりせっかく採用したにも関わらず退職してしまう可能性もあります。そうなってしまわないためにも、スキルだけで採用するのではなく自社に合いそうな人柄を持っているのかを確認するようにしましょう。
経験者採用を行うメリットやデメリット・成功させるためのポイントなどについて解説しました。経験者採用とは、中途採用のことであり経験豊富な人材を採用することを意味しています。2022年に経団連によって中途採用から経験者採用へと呼び名が変わりましたが、まだあまり浸透しておらず検索されにくい実態があります。経験者採用を行う場合は、メリット・デメリットをしっかりと把握した上で自社に合う人材を採用することが大切です。経験者採用を活用して人材確保を進めていきましょう。
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