イグジットマネジメントとは【メリットや具体的な取り組みについて詳しく解説します】

記事更新日:2023年02月20日 初回公開日:2023年02月20日

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イグジットマネジメントは単なるリストラと異なり、変化する顧客のニーズや世界情勢に対応した健全な企業体制を整える重要な戦略です。しかし退職や離職という言葉のイメージからネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。とくに退職勧告された場合にはレピュテーションリスクという企業への悪評が広まる可能性もあり、イグジットマネジメントを遂行するには十分な注意が必要です。ここでは、イグジットマネジメントの方向性による分類や目的および施行のポイントを具体的に解説いたします。社員の方々の進路にかかわる人事担当の方々に参考としていただければ幸いです。

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イグジットマネジメントとは

社員の退職を戦略的に行うマネジメント

「イグジット・Exit」は出口や退出などを意味する英語(由来はラテン語)で、企業における入り口が採用および入社とすれば出口は退職にあたる言葉になります。イグジットマネジメントとは、社員の退職を積極的にバックアップすることで、個人と会社の双方にメリットがあるように円満退社を取り計らうことです。会社は経費削減や社員の若返りという恩恵を受け、個人はキャリアを活かした再就職できるメリットがあります。企業はイグジットマネジメントを戦略的かつ積極的に行うことで、戦力を落とすことなく長く反映し続けることが可能になります。

イグジットマネジメントが必要な理由

終身雇用が一般的ではなくなった

日本独自の制度といわれた終身雇用が終焉を告げ、より条件の良い企業への転職があたり前となった昨今において、イグジットマネジメントは大きな役割を持ちます。企業において社員のマネジメントは重要なものと理解されていますが、社員が入社したときから既に退社に向けての準備が必要になったと言えるでしょう。人事担当の方々は個々のキャリアを把握するとともに、将来に向けての人材戦略を市場の動きなどに合わせて長期的に考える必要性が高くなりました。イグジットマネジメントは終身雇用援助制度ともいえる会社が社員を守る新しい手法です。

シニア社員の活用が重要視されている

少子高齢化および人口減少に歯止めがかからない日本では、企業の人材不足が大きな課題となっており、シニア社員の活用が課題となっています。2013年より施行された高年齢者雇用安定法では65歳までの高年齢者雇用確保措置が講じられ、令和3年の4月1日より法改正にて70歳以上の雇用が努力目標に設定されました。このような流れからも企業のシニア層が増加していくことは間違いなく、イグジットマネジメントによりシニア層を確保しながらも企業が市場の変化に対応できるバランスの良い人材配置が求められています。

イグジットマネジメントのメリット

組織の新陳代謝を図れる

イグジットマネジメントのメリットはベテラン社員の退職により若手の人材を確保が可能となり、組織全体の新陳代謝が図れることです。ベテラン社員の方々は古い考え方を大事にして、新しい取り組みを拒む人も多く見られます。古くからの慣習が全て悪いことではありませんが、変化する市場や顧客のニーズに対応するには新しい考え方や手法を取り入れる必要があります。イグジットマネジメントは、人材の若返りの他に企業の考え方を柔軟にして対応力の高い企業へ変化させる手法です。

社員の主体性が高まる

イグジットマネジメントを採用する企業では社員が自らスキルアップを図り目標を目指そうとするため、社員の主体性が高まるとともにモチベーションアップの効果も期待できます。スキルアップして転職を目指す人も、企業に残って指導者としての道を歩もうと考える人も将来を見越して自己研鑽に励むようになり、会社全体に活気が出ます。ぶら下がり社員などがいなくなることで会社は身軽になり、変化にも迅速かつ柔軟に対応できるモチベーションの高い会社になることは間違いありません。

人件費を抑えることができる

人件費は企業の支出の中でも大きな金額を占める固定経費ですが、イグジットマネジメントを行うことで人件費を圧縮するメリットがあります。企業も変化しつつありますが、いまでも終身雇用制度および年功序列型の名残があり、企業の大半がシニア人材に高い賃金を支払っています。シニア一人の退職に対して新規の人材を1.5〜2人雇用できることもあることは、紛れもない事実です。イグジットマネジメントを進めることで若返りとともに人件費を抑えられるのは大きなメリットです。

企業のイメージ向上につながる

イグジットマネジメントを成功に導くことができれば、企業のイメージやブランド力は向上するでしょう。現在においても退職や転職という言葉は、日本においてマイナスのイメージがあります。しかし企業と個人の希望が合致した円満退社や転職を実現できれば、企業のイメージを悪くすることはありません。逆に転職先で活躍する元社員が増えることや独立して成功する人が増えれば企業全体のイメージは大きく向上して、キャリアアップを目指して入社する人材も増えるはずです。

イグジットマネジメントのデメリット

優秀な人材が流出する可能性がある

イグジットマネジメントを行う際には、人事担当者で流出させる人材と企業に残す人材を振り分けることになります。しかし、最終的に決定するのは個人であり、人事担当者の思惑に反して優秀で残しておきたいと思っていた人材が流出することもあるのが現実です。優秀な人材であれば、他の企業からも引く手あまたで高い条件を提示されることも多く、事前に引き止める策を考えておく必要があります。重要なポストを用意するなど賃金の面で優遇する方法もありますが、まずは本人の意向を十分に聞いておくことが必要です。

イグジットマネジメントの種類

生涯現役型

イグジットマネジメントにおける方向性の1つが「生涯現役型」です。退職まで企業で働いてもらうことから終身雇用と同じように思えますが、イグジットマネジメントでは活躍できる場所や環境を整えることに意味があります。個人が持つ能力を発揮できる場所に配属し、卓越した能力を十分に発揮できるように環境を整えることで個々のモチベーションはアップします。年齢などには関係なく個人の持つ能力や体力を考慮したうえで、最高の働く場所を提供し個人を企業にとどめるマネジメント方法になります。

進路選択型

もう1つのイグジットマネジメントは「進路選択型」です。この方法も個々のキャリアアップが図れる場所や機会を与えることは同じですが、方向性としては個人に選択を委ねるマネジメントになります。イグジットマネジメントについての理解もしてもらい、転職や独立の方向性もあることを示唆します。また一方で、残留したいのであればそれなりの地位も与えるが今以上の努力をして欲しいと最後は個人に決定してもらうというマネジメントです。2つの選択肢から自分の意志で選べるため、歓迎されるイグジットマネジメントといえます。

転進支援型

「転身支援型」のイグジットマネジメントは、社員の退職を積極的に支援する方法です。現在では退職を見据えたうえでキャリアを積むために入社する人も増えており、そのような方々を積極的に後押しするマネジメントになります。そのため、独立や転職に必要なキャリアを身につけておく必要があり、いずれ辞めるのだからという考えから軽率な人事配置などをすることはご法度です。円満に退社してもらうことと、転職や独立しても成功することで企業も評価も上がるため、最も注目されるイグジットマネジメントといえるでしょう。

イグジットマネジメントの具体的な取り組み

離職防止対策を実施する

イグジットマネジメントは出口戦略や退職マネジメントとも言われているように、退職してもらうことだけが注目されがちです。しかし、離職を防ぐリテンションマネジメントもイグジットマネジメントに内包されることを忘れてはいけません。離職を防ぐためには企業が魅力的であることが必須の条件であり、それゆえに新入社員や転職社員を抱えることができるのです。魅力的でない会社に未来はなく、イグジットマネジメントは単なる退職者を募る行動になり企業は衰退の一途を辿ることになります。イグジットマネジメントの第一歩は、ここで働きたいという魅力ある会社にすることです。

能力やキャリアに応じた離職の提案をする

イグジットマネジメントでは、個々の能力やキャリアに合わせた離職を提案することが大事です。単に退職勧告をするのではなく、十分なキャリアと能力を備えた貴方には残念ながらこの会社に最適な部署が存在しないことを告げ、転職や独立を提案します。離職の提案は訴訟にまで発展することもあるため慎重に行う必要があります。そのため個々の能力やキャリアを詳しく把握するとともに、賞与の査定がされたときなどに適切な助言を上司からフィードバックしておくことなども重要です。

定年を迎える社員への再雇用の促進を行う

イグジットマネジメントでは、定年を迎える社員の再雇用も重要です。離職した方々の代わりとなる戦力がいなければ企業は大きく変貌するどころか潰れてしまいます。抜けた穴を埋めるために通常の採用も行いますが、定年を迎えたベテラン社員の再雇用は願ってもない人員対策になります。即戦力になり、採用した新入社員の見本ともなる熟練の人たちを積極的に再雇用することで、企業の戦力低下から逃れることができます。またシニア世代の健康寿命が伸びていることもあり、70歳を超えても働きたいと考えている人も多く、お互いの意志がマッチした雇用関係を築けるでしょう。

イグジットマネジメントにおけるポイント

社員の意見を尊重する

イグジットマネジメントを行ううえで最も重要なことは、社員の意見を尊重して最終的には個人に判断を委ねることです。企業では年齢によって採用人数が異なり、団塊世代などと呼ばれる時期には多くの人が採用され、出生率の低い時期や景気の悪い時期には採用人員は少ないのが一般的です。だからといって、一方的に退職を願い出ることは倫理に反するだけでなく、訴訟になることまでも考えられます。企業側の努力と意向を伝え、社員の方々個人が判断して円満退社に導くことが本当のイグジットマネジメントです。

コミュニケーションの取り方に注意を払う

イグジットマネジメントを成功させるためには、日頃から社員とコミュニケーションをとっておくことが大切です。全社員の意志や変化を知るためには、定期的な人事アンケートなどで転職や独立などへの考え方を聞いておくのもよいでしょう。これらをもとに人事担当者や各部署の上司より個人の意向を確認しておき、人事評価と合わせてイグジットマネジメントの方向性を決めていきましょう。安易に一個人に対して退職を口にするなどはもってのほかです。コミュニケーションの取り方には十分な注意をしてください。

まとめ

効果的なイグジットマネジメントを実施しましょう

人材不足が深刻な問題になっている日本企業において、イグジットマネジメントは入り口であるエントリーマネジメントとともに企業にはなくてはならない役割を担っています。人事担当者の方々は人材の多様化と、シニア層の増加に合わせた人材配置を考えなければいけません。また同時に、退職者の再雇用や業務提携なども視野に入れて人材確保を行う必要に迫られています。イグジットマネジメントは企業と個人が成長するために必要不可欠なものです。出口は次のステップへの入り口であることを社員に理解してもらい、効果的なイグジットマネジメントを行ってください。

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