ディーセントワークとは【そのメリットや企業事例についても解説します】

記事更新日:2024年12月12日 初回公開日:2024年12月12日

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少子高齢化などの影響により、人材の確保が難しくなっている昨今では従来と同じような条件では人を増やすことは出来ません。また高い給与をもらうよりもプライベートと両立させるワークライフバランスを重視する人も増えてきており、企業としては従業員が働きやすい環境を整備することが必要です。働きやすい環境を提供することで、従業員の満足度向上や人材不足解消に繋がります。従業員の満足度を高め組織を発展させられる手法として注目されているのが、ディーセントワークです。今回はディーセントワークについて解説していきます。経営層の方は参考にしてみてください。

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ディーセントワークとは

権利が保護され十分な収入を生み適切な社会保護が供与された生産的仕事

ディーセントワークとは、権利が保護され十分な収入を生み適切な社会保障が供与されている生産的な仕事のことです。1999年に開催された第87回ILO総会でフアン・ソマビア氏が就任時のスローガンとして掲げたのが最初です。日本語にすると、訳や人によって表現が異なる場合がありますが人間らしい生活を送るための労働条件を指しています。継続的に生活をするのに十分な収入があり、男女平等は勿論のこと様々な人が差別を受けずに家庭と両立できる環境を意味しています。

SDGsとの関係

ディーセントワークはSDGsで目指すべき未来の一つです。SDGsは誰一人を取り残さない世界を目指す国際目標です。2015年の国連サミットで採択された全部で17ゴール・169のターゲットから構成されています。その中でSDGsの8番目の目標が労働です。条文には、「すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセントワークを推進する」と記載されています。SDGsを達成するためには、ディーセントワークが必要不可欠です。

ディーセントワークが重視されている理由

働き方改革が推進されているため

ディーセントワークが重視されているのは、働き方改革が推進されているためです。日本においても正規雇用と非正規雇用で所得格差が問題視されています。また日本の労働環境は国際社会の中で比較しても、遅れを取っています。2013年には国連の社会権規約委員会から多くの労働者が長時間労働を行い、過労死が発生し続けていると勧告を受けています。こういった状況から働き方改革が推進され、労働者の権利の保障や安全配慮が確立されています。

ディーセントワークを推進するメリット

従業員の満足度が向上する

ディーセントワークを推進することによって、従業員の満足度を向上できます。女性の社会進出を進めることから、時短勤務やフレキシブルな育休や介護休暇制度を導入している企業は増えていますが実際には使いづらいと感じている人も少なくありません。ディーセントワークの考えを元に多様性を認めていくことによって、その働き方を求めている従業員の満足度は高まっていきます。労働人口が減少していく中で、満足度を高め離職を防ぐことは重要です。

企業のイメージが上がる

ディーセントワークを推進するメリットは、企業のイメージアップです。従業員の権利が保証され、社会的な責任を果たしている企業は消費者などから良い印象を持ってもらいやすくなります。一方で、ハラスメントで問題になった場合や長時間労働などが世間に公表されると瞬く間に広がり、企業のイメージダウンに繋がります。ディーセントワークを実施することによって、従業員の労働環境を整備している企業は、イメージアップだけでなく業績の工場にもつなげることが可能です。

人手不足が解消する

人手不足が解消することも、ディーセントワークを推進するメリットです。人材不足は企業規模に関わらず、どの企業でも長年課題となっています。そういった状況下でも、従業員の多様性を受け入れ働きやすい環境を整備している企業には自然と人が集まってきます。従来とは異なり、長時間労働をして高い給与をもらうよりもプライベートを充実させて仕事をしたいと考える人が増えています。そういった時代の流れに合わせた働き方を提供している企業は、人材が集まりやすくなります。

ディーセントワークの基準

厚生労働省による4項目

ディーセントワークの基準は、厚生労働省によって4項目定められています。「働く機会があり持続可能な整形に足る収入が得られること」「働くうえでの権利が確保され、職場での発言が行いやすく認められること」の項目があります。他にも、プライベートと両立することが出来、職場環境や社会保険などのセーフティーネットが確保されているということも重要な項目です。4つ目には、公正な扱いや男女平等な扱いを受けることがまとめられています。

ディーセントワークの評価軸

WLB軸

ディーセントワークの評価軸には、WLB軸があります。WLBはワークライフバランスの頭文字から来ており、仕事と家庭のバランスを取りながら年令に関係なく働き続けることが出来る労働環境かどうかを判断します。家庭だけでなく地域の活動に参加や自己啓発を両立しながら無理なく働けるかどうかも評価の軸となっています。この軸ではフレキシブルな働き方や休暇制度の整備など労働者のニーズに合わせた働き方の実現を促進していきます。

公平平等軸

ディーセントワークは、公平平等軸があります。公平軸は、すべての労働者が性別や雇用形態に影響されることなく公平・平等に活躍できる職場かどうかを判断します。2020年の同一賃金同一労働関連法が施行されましたが、能力を正当に評価する仕組み作りも重要です。この軸ではジェンダー平等だけでなく、ダイバーシティの尊重や差別を撤廃することを推進しています。また障がい者や働きたい高齢者にも働く場所を提供することが大切です。

自己鍛錬軸

ディーセントワークの評価軸の一つに、自己鍛錬軸があります。自己鍛錬軸は、職場内において働く人の経験に応じた能力開発を行える機会が与えられ、キャリアアップが出来るのか・やりがいをもって働けるのかというのが評価の軸になります。教育や研修を行う体制が充実していることは勿論ですが、労働者の希望が含まれているキャリアアップの仕組みが作られていることが理想と言えます。更に研修や資格取得にかかる費用などの補助や、受講しやすくする仕組みづくりなども重要です。

収入軸

ディーセントワークの評価軸は、収入軸です。収入軸は、仕事を行うことで人間らしい生活を送ることの出来る収入が得られるかどうかを評価する軸です。国からの賃上げ要請に対応し、少しずつ賃金は引き上げられていますが十分とは言えません。また子育て支援や介護休暇制度など導入はしていても、活用されていない企業も少なくありません。従業員のライフステージの変化に対応できる賃金の支払いが必要です。そのためには最低賃金だけでなく生活水準や物価高への対応も欠かせません。

労働者の権利軸

ディーセントワークの評価軸の中には、労働者の権利軸があります。労働者の権利軸とは、労働者が企業と同じ立場で労働条件や職場環境について話し合える職場かどうかという点が判断されます。労働者には労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)などの権利が尊重されています。日本では労働組合の組織率が2021年時点で約17%止まりとなっています。労働組合がない場合には社員会など労働者が意見を言える場所を設置することが大切です。労働者の権利や意見を尊重することによって、組織内の協力体制が整い信頼関係を構築できます。

安全衛生軸

安全衛生軸もディーセントワークの評価軸です。安全衛生軸は、労働者にとって安全な環境が確保・維持されているかどうかが評価軸となります。日本では、身体面の労災事故は設備や器具のハード面の整備が進んでいることによって以前に比べると減少しました。しかし長時間労働やハラスメントに関する問題は改善しておらず問題は深刻化しています。またテレワークが進んだことによるコミュニケーション不足などで精神疾患に陥る労働者も増えています。こういった状況から、企業は労働者の心身の安全に配慮することが大切です。

セーフティネット軸

セーフティーネット軸も、ディーセントワークの評価軸の一つです。セーフティーネット軸では社会保障制度の充実度合いを判断します。業務中や通勤中の事故に対しての補償を行う労災制度や条件に当てはまる人が確実に保険に加入できている職場かどうかを評価します。健康保険はすべての人が平等に医療サービスを受けることが出来る国民保険制度の基盤となる部分であり、憲法で保証されている生存権にも繋がります。努力義務として科せられているものは、積極的に導入するようにしましょう。

ディーセントワークを目指す企業例

日立製作所

ディーセントワークを目指しているのは、日立製作所です。日立製作所では、ディーセントワークに基づいて人事戦略を構築しています。人材のグローバル化やグローバル人材の採用・キャリアサポート開発などを軸として若手社員の海外勤務推進などを行っています。他にも外国人の採用や、国外の大学を卒業した日本人の採用を積極的に実施しています。他にも従業員に対してサーベイを実施して、グローバル人材が業務にやりがいを感じられるように実態把握を行い施策や制度の拡充を図っています。

パナソニック

ディーセントワークを目指している企業は、パナソニックです。パナソニックでは、次世代教育支援と女性の活躍推進に力を入れています。信頼関係を構築する相互関係を基盤とした組織風土の醸成や、従業員が仕事と子育てや介護との両立が出来るように働き方や休みの取り方の見直しなどを実施しています。具体的な施策としては、上司と部下で1対1で対話する場を設定することや、有給休暇やファミリーサポート休暇取得の推進を行うなどしてディーセントワークの実現に尽力しています。

サイボウズ

サイボウズもディーセントワークを目指している企業です。サイボウズはモットーに、「100人いたら100通りの働き方」を掲げています。ワークスタイルを変革させるための要件に、制度・ツール・風土の3つを挙げています。在宅勤務や、人事給与の見直しだけでなく育児休暇の取得推進にも力を入れています。他にもITを活用したバーチャルオフィスや情報共有を容易にするためのクラウドの導入など様々なことを行い、多様性を重視する企業文化を構築しています。独自の制度を導入するなど、注目を集めています。

まとめ

ディーセントワークを推進し企業を活性化させよう

ディーセントワークを推進するメリットや、評価軸などについて解説しました。近年ディーセントワークは以前より注目されるようになり、導入する企業も増えています。企業は従業員の多様性を認め、働きやすい環境整備を行わなければ益々人手不足に陥ってしまいます。ディーセントワークは人間らしい生活を送るための環境づくりだけでなく、仕事の成果を適切に評価する仕組みづくりなども大切です。ディーセントワークをしっかりと理解し推進することによって、企業を活性化させていきましょう。

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