子なしハラスメントとは?【意味や具体例、企業ができる対策を解説】

記事更新日:2026年09月02日 初回公開日:2026年09月02日

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近年はパワハラやセクハラだけでなく、さまざまなハラスメントが問題になっています。子なしハラスメントもその一つで、子どもがいない人への何気ない言動や、子どもの有無を理由にした仕事上の扱いによって起こります。子どもがいない理由は、本人の選択だけでなく、不妊治療や病気などさまざまで、周囲からは分からないことも少なくありません。人事担当者は、子どもの有無を理由に社員への接し方や仕事上の扱いを変えないよう注意する必要があります。本記事では、子なしハラスメントの具体例や対処法、企業が行える対策について解説します。

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子なしハラスメントとは

子供がいない人に対して不快な思いをさせたり精神的苦痛を与えること

子なしハラスメントとは、子どもがいない人に対する言動によって、不快感や精神的な負担を与えることです。子どもがいない理由は本人の選択だけでなく、病気や不妊治療などさまざまであり、周囲から事情が分からないことも少なくありません。そのため、子どもの予定について何気なく尋ねたつもりでも、相手にとっては答えにくかったり、負担に感じたりする場合があります。職場で注意したいのは、結婚すれば子どもを持つという前提で相手を見てしまうことです。子どもの有無や今後の予定を決めつけず、本人から話していない家庭の話題に必要以上に踏み込まないようにしましょう。

子供がいない家庭とは

子供に好意的な印象を抱いていない

子どもがいない家庭のなかには、仕事や趣味、夫婦二人での生活などと比べ、子どもを持つことに相対的に好意的な印象を抱いていない人もいます。現在の生活を大切にしたい、子育てよりも仕事や趣味に時間を使いたいなど、その理由はさまざまです。ただし、子どもを持ちたいと思わないからといって、子どもに否定的な印象を持っているとは限りません。自分は子どもを持たないと考えていても、友人の子どもと親しく接したり、子育ての話を楽しんだりする人もいます。子どもがいないことだけを理由に、本人の価値観や子どもへの接し方まで決めつけないようにしましょう。

病気によって子供が産めない

病気が原因で、子どもを持つことが難しい社員もいます。病気や治療について、職場に詳しく伝えていない人もいます。そのため、子どもの予定や子どもがいない理由を尋ねると、本人が話すつもりのなかった健康上の事情まで説明させることになりかねません。何気ない質問でも、相手にとっては触れられたくない内容である可能性があります。勤務上の配慮について相談があった場合は、病名や子どもがいない理由ではなく、勤務時間や業務量など、どのような調整を希望しているのかを確認します。本人の事情を詳しく聞き出すのではなく、業務を調整するために必要な内容に絞って話を進めましょう。

不妊治療をしていても授かるのが難しい

不妊治療を続けていても、必ず子どもを授かれるとは限りません。そのため、子どもがいない社員に対して「子どもを望んでいない」「仕事を優先している」などと決めつけるのは避けましょう。不妊治療では、月経周期や卵胞の育ち方に合わせて治療を進めるため、通院日が直前に決まることもあります。仕事と治療を両立するために、勤務時間や休暇の調整が必要になる人もいます。人事担当者や上司は、子どもの有無から本人の家族計画まで推測せず、勤務上の相談があった場合は、本人が希望する配慮や働き方を確認して対応しましょう。

子なしハラスメントの具体例

子育てをしないからと言って仕事を押し付ける

子なしハラスメントの具体例として、子育てをしないことを理由に仕事を押し付けるケースがあります。貴社では、子育て中の社員を支える負担が、特定の社員に偏っていないでしょうか。子育て中の社員が急に休んだ場合には、他の社員が仕事を引き継ぐこともあるでしょう。しかし、子どもがいない社員は残業や急な対応がしやすいと決めつけ、毎回同じ人に仕事を任せるのは適切ではありません。こうした業務分担が続けば、特定の社員に負担が偏り、不公平感につながります。誰かの休みに対応する場合は、子どもの有無で決めるのではなく、それぞれの業務量や勤務状況を確認したうえで分担しましょう。

子供は必要という個人の考えを押し付ける

子なしハラスメントの具体例として、子どもは必要という個人の考えを押し付ける言動があります。子どもを持つことを当然の選択として扱うのは、本人の家族観や人生設計に踏み込む行為です。たとえば、子どもがいない社員に出産を勧めることや、子どもがいる生活の方が幸せだと評価する発言には注意しましょう。本人がそうした話題を求めていない場合、善意のつもりでも価値観の押し付けになります。自分の経験や家族観を基準に他の社員の生活を評価するのは避けましょう。

産んでない人にはわからないなどの発言をする

子なしハラスメントの具体例として、産んでいない人にはわからないなど、子育て経験がないことを理由に相手の意見を軽視する発言があります。職場で子育てに関する話題が出た際に、内容を聞く前から「経験がないから分からない」と扱うようなケースです。子育てを経験した人にしか分からないことはあるでしょう。一方で、仕事の進め方や職場の制度については、子育て経験の有無にかかわらず意見を出せます。発言の内容ではなく家族構成で判断すると、社員が持つ知識や経験を活かす機会まで失われます。子どもの有無を理由に意見を退けず、発言の内容をもとに判断しましょう。

プライベートに踏み込んだ話題をする

子なしハラスメントの具体例として、プライベートに踏み込んだ話題をすることがあげられます。本人が話していない家庭の事情や、子どもを持つ予定まで詳しく尋ねるのは避けましょう。子どもがいない理由には、本人の選択だけでなく、病気や不妊治療などさまざまな事情があります。何気なく聞いたつもりでも、相手にとっては答えたくない話題かもしれません。本人が答えを濁したり話題を変えたりした場合は、それ以上質問を重ねないようにします。職場では、相手が自分から話していない私生活まで聞き出さないようにしましょう。

子なしハラスメントの対処法

似た境遇の人に相談する

子なしハラスメントに悩んだ場合は、似た境遇の人に相談してみましょう。一人で考えていると、相手の言動に違和感があっても、何がつらかったのかをうまく言葉にできないことがあります。似た経験をした人に話すと、「子どもがいないから残業できると思われている」「家族のあり方に口を出されている」など、不快に感じる部分が見えやすくなります。漠然としていた違和感を言葉にできれば、何が負担になっているのかが見えやすくなります。そのうえで、相手に伝えるのか、上司や人事に相談するのかなど、次の対応を考えてみましょう。

社内の相談窓口を利用する

周囲に相談しても改善しない場合や、同じ言動が繰り返される場合は、社内の相談窓口を利用しましょう。社内窓口は、個人間では解決しにくい問題を会社側に伝える手段の一つです。相談時は、いつ頃から、どのような発言や業務上の扱いに困っているのかを伝えます。メールやチャット、メモなどが残っていれば、事実関係を確認する際の材料になります。相手への注意や職場での対応など、希望がある場合はあわせて相談するとよいでしょう。会社側が状況を把握できれば、事実確認や関係者への対応を検討しやすくなります。

社外の相談窓口を利用する

総合労働相談コーナー

社外の相談窓口として、総合労働相談コーナーがあります。子なしハラスメントにあたるのか、どこへ相談すればよいのか分からない場合にも利用できる窓口です。相談は無料で、予約は必要ありません。専門の相談員が電話または面談で話を聞き、内容に応じて利用できる制度や相談先を案内します。さらに、問題によっては労働局による助言や指導、あっせん制度を利用できる場合もあります。社内だけでは解決が難しい場合や、次にどこへ相談すべきか迷ったときの相談先として利用できます。

みんなの人権110番

みんなの人権110番は、差別やハラスメントなどを人権問題として相談できる法務省の窓口です。職場で受けた言動について、いじめや差別ではないかと感じた場合にも相談できます。電話は最寄りの法務局につながり、法務局職員や人権擁護委員が相談に応じてくれるでしょう。相談は無料で、内容についての秘密も守られます。電話のほか、インターネットや面談でも相談が可能です。人権侵害の疑いがある場合は、相談内容に応じて法務局が調査を行うこともあります。受けた言動について人権の観点から相談したい場合は、利用を検討するとよいでしょう。

法テラス

法テラスは、法的なトラブルの解決を支援するために国が設立した公的な法人です。一定の条件を満たせば、弁護士や司法書士による無料法律相談を利用できます。さらに、専門家への依頼が必要な場合は、弁護士や司法書士の費用などを立て替えてもらえる制度もあります。費用が理由で専門家への相談をためらっている人にとって、利用を検討しやすい制度といえるでしょう。また、どの制度や相談先を利用すればよいか分からない場合には、相談内容に応じた案内も受けられます。子なしハラスメントへの法的な対応を考えているものの、費用面に不安がある場合は、法テラスの利用を検討してみましょう。

子なしハラスメントへの対策

相手の立場になて考える

子なしハラスメントを防ぐには、相手の立場になって考える姿勢が求められます。子育て中の社員が休む際は、業務を引き継ぐ社員の負担にも目を向けましょう。フォロー役が毎回同じ社員になれば、通常業務への影響や不公平感につながるでしょう。愛知県一宮市では2026年4月から、育児休業中の職員の業務を一定期間カバーした職員に手当を支給しています。支える側の負担にも目を向けた取り組みの一例です。特定の社員だけがフォローを担わないよう、人員配置や業務分担を見直しましょう。

ハラスメント研修を行う

子なしハラスメントを防ぐために、社内でハラスメント研修を行いましょう。貴社のハラスメント研修は、禁止事項を伝えるだけで終わっていないでしょうか。研修では、問題となる言動だけでなく、相談を受けた際の対応や社内窓口についても扱います。とくに管理職には、家族構成を業務分担や評価、キャリアの判断に持ち込まないことを伝えましょう。知識を覚えるだけでは、実際の職場で迷ったときに対応できません。研修では、禁止事項だけでなく、相談を受けた際の報告先や対応手順まで確認しましょう。

ハラスメントの対策法

ハラスメント防止対策を強化する

ハラスメントの対策法として、防止対策を強化しましょう。貴社では、子どもの有無によって社員への対応が変わっていないでしょうか。問題となる発言を禁止しても、家族構成が仕事上の判断に影響する状態が残っていれば十分とはいえません。配置や評価、休暇などの運用を見直し、子どもの有無が社員の扱いの差につながっていないかを確認します。さらに、社内制度が子どものいる社員だけを想定した内容になっていないかも見直しましょう。発言だけに目を向けると、仕事上の扱いに残る偏りを見落としてしまいます。日常の制度や運用から、子どもの有無によって社員を分ける場面を減らすことが対策の強化につながります。

就業規則などによって規定管理を行う

子なしハラスメントへの対応は、就業規則などによって規定管理を行いましょう。規定がなければ、問題が起きるたびに、どこまでが許される言動なのかをその場にいる人の感覚で判断することになります。家族に対する考え方は人によって異なるため、個人の常識を基準にすると対応にも差が出るでしょう。就業規則などに会社の方針を明記しておけば、問題の有無を個人の価値観ではなく、組織として定めた基準をもとに判断できます。相談への対応や行為者への指導方法もあらかじめ定め、問題が起きた際に規定に沿って対応できる状態にしておきましょう。

まとめ

ハラスメントを防いで職場環境を良好にしよう

子なしハラスメントを防ぐために必要なポイントについて理解できたでしょうか。子どもがいない人へのハラスメントは、私生活に踏み込む発言だけでなく、子どもの有無によって仕事上の扱いを変えることでも起こります。職場では、家族についての考え方を押し付けず、本人が話していない事情まで詳しく聞かないようにしましょう。企業は、社員の配慮だけに任せるのではなく、研修や相談窓口、就業規則などを整え、問題を防ぐ仕組みを作ることが求められます。子どもの有無にかかわらず社員が働きやすい職場環境を整える際の参考にしてください。

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