BCP対策とは【マニュアルの作り方や成功させるためのポイントを解説します】

記事更新日:2022年02月22日 初回公開日:2022年02月18日

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BCP対策とは、企業が緊急事態時に事業継続するための手段を決めておく計画のことです。近年、地震や水害に加え、新型ウイルスの流行など、備えるべきリスクが増えています。しかし、実際にBCP対策について何をすればよいかわからないというケースも多いのではないでしょうか。BCP対策はこのような緊急時の被害を最小限に抑えるために必要とされています。この記事では、BCP対策の具体的な取り組みや作り方、成功するためのポイントについて解説します。

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BCP対策とは

企業が緊急事態時に事業継続できるようにするための計画

BCP対策とは「Business Continuity Plan」の頭文字を取った言葉で、企業が緊急事態時の被害を最小限に抑え、事業継続できるようにするための計画のことです。大規模な自然災害やウイルスの流行、テロ攻撃や情報漏洩事故などの緊急事態が起きた際に企業は一刻も早く事業を継続・復旧させなければなりません。事業を継続できないと、企業は取引先や顧客からの信頼を失い、経営困難や倒産の可能性が出てきます。そのような事態を回避するために重要な役割を担うのがBCP対策です。BCP対策は企業のリスクマネジメントに必須であると言えます。

BCP対策とBCMの違い

BCMは事業永続マネジメントのこと

BCMとは、「Business Continuity Management」を縮めたもので、事業継続マネジメントのことです。BCMは、企業が災害発生時において事業を継続させるための計画の策定から、その導入や運営、見直しと持続的改善を含む包括的な事業継続のためのマネジメントを意味します。BCPは事業継続の「計画」自体をさすのにたいして、BCMはBCPを活用して、いかに企業を継続させていくかという「マネジメント」全般を指します。

BCP対策と防災対策の違い

防災対策は災害を未然に防ぐための対策

BCP対策と防災対策の違いは対策を行っている規模に違いがあります。防災は、様々な災害の発生機構を明らかにし財産の安全を図るための対策を取ります。防災対策はあくまで災害について対策を取るものですが、BCP対策は災害を含めたありとあらゆるリスクに備えるという点で大きく異なっていると言えるでしょう。防災では災害に備えた対策を取りますが、BCPでは災害だけではなく、システム障害などのトラブルにも対応しています。BCP対策と防災対策は重複する面も多く、混同されやすいですが、事業継続を目的とした対策をとる場合には防災だけでは不十分となるので注意しましょう。

BCP対策の特徴

緊急時に速やかに対応する

BCP対策の特徴の1つ目に、緊急時に速やかに対応できるという点があります。BCP対策は緊急時に企業が早期復旧に向けて速やかに対応できることを目的としています。BCP対策によって、企業は緊急時でも倒産や事業縮小の可能性を下げられます。あらかじめ緊急時の対応を決めておくことで、迷いを減らしたり、誤った行動をとることも防げたりするでしょう。しかし、計画が曖昧なままだと復旧への時間がかかり、損害が拡大するケースも考えられます。

経営戦略に役立てる

BCP対策の特徴の2つ目に、経営戦略に役立てるという点があります。BCP対策に取り組む過程で、どの事業から優先して復旧作業を行うか話し合う機会を作ります。どの事業を優先するかを決める上で、企業にとって重要な業務を可視化することができます。重要な業務を洗い出すことにより現段階での重要度の低い業務を洗い出す事ができ、企業が経営戦略を見直すきっかけとなります。経営戦略を見直せる点でもBCP対策の策定は役立ちます。

企業価値や信頼性を高める事が出来る

BCP対策の特徴の3つ目は、企業価値や企業の信頼性を高められることができる点です。BCP対策を行うことは、緊急時に事業を継続させるために必要な対策手段を用意しているということなので、企業のイメージアップにもつながります。緊急事態でも安定して経営できることや、不測の事態に対応できることが、ビジネスパートナーとしての信頼性を高めます。BCP対策を行っている企業は取引先としても選ばれやすい傾向にあると言えます。

BCP対策を立てる際の具体的な考え方

非常事態の初動で何をすべきか

BCP対策を立てる際にはまず、初動で何をすべきかを考えます。非常事態が起きたときの初動は重要となります。復旧するための対応をスムーズに執り行う為に、事業継続に関わる被害状況を詳細に比較しなければなりません。初動での対応として挙げられるのは、従業員の安全確認と被害状況の把握、事業継続に必要な資産の被害状況の把握、代替設備などの利用可能な範囲を詳細に把握するなどがあります。初動では現状把握を第一に考えて、BCP対策においてどの計画を適用すべきか正確に判断しなければなりません。

復旧対応はどのように行うか

被害などの現状を把握したら、どのように復旧対応すべきかを判断します。策定したマニュアルなどに照らし合わせ、事業を継続するために必要な復旧作業の優先順位を判断します。例えば、復旧対応できる人材を把握したり、重要なデータを復旧させたりするなどが考えられます。また、電力や通信といったライフラインの供給ルートの確保も同時に行う必要があります。可能であれば、取引先などとの連携も行えると良いでしょう。具体的な復旧対応についても詳細に考えておく必要があります。

復旧後の業務はどのように行うか

BCP対策では、事業の早期復旧と併せて復旧後の事業継続の手段も考えておかなければなりません。復旧直後はすぐには元と同じような状況で業務ができない可能性があります。そのため、復旧直後の業務実施方法について明確に決めておく必要があります。例えば、従業員が在宅勤務で業務を行うなどがあります。業務実施方法を決めた後は、いつでも対応できるようにあらかじめ必要なデータや業務システムを用意しておく必要があります。

BCP対策のマニュアルの作り方

企業に合った方針を決める

BCP対策のマニュアルを策定するにあたって、まず自社に合った方針を決める必要があります。BCP対策を行うことで何を目指すのかしっかりと方針を立て共有し、緊急時に社員が適切な行動をとる事が出来ます。想定される自然災害やリスクをリストアップし、発生時の自社への影響度などを考え、BCP対策が対象となる災害やリスクを絞り込みましょう。社員や顧客、取引先からの信用を守るためにも、経営方針などとすり合わせ、適した方針を考えなければなりません。

社内体制を整える

次に、社内体制を整えます。BCP対策の内容は企業の複数の部門に関係します。そのため、策定にはプロジェクトチームを編成して進める場合が多いです。プロジェクトチームの各作業を調整するために事務局を設置する場合があり、多くの企業では総務部が担当しています。運用の責任者や各部門からのメンバーが決まったら、外部との連携も検討します。BCP対策の取り組みはチーム内だけでなく、全社員が情報を共有すべき事柄です。全社員に対してBCP対策の周知徹底が図れるように社内体制の設備を行いましょう。

優先事業を決める

社内体制が整ったら、優先すべき事業を決めます。それぞれの事業が止まった場合には、自社の企業活動がどの程度停止して、どの程度の損害になるのかを明確にしておくことで、復旧させる事業の優先順位を決定します。優先順位の基準としては作業遅延により損害拡大が懸念される事業や売り上げや評価に影響している事業などが挙げられます。優先順位を誤らないようにするために、主観的な判断ではなく、複数のデータから検討することが重要です。

事前案を策定する

事業の優先順位を決定したら事業ごとの業務を洗い出し、復旧させる業務の優先順位をつけていきます。中核事業が停止した場合に、どのくらいの期間までなら会社が持ちこたえる事が出来るのかを考慮することが重要です。事業を継続させるための業務とリソースを把握し、復旧時間にどれくらいかかるのかシミュレーションを行うことで具体的な事前案を策定できます。事業に必要な資源が利用できなくなった場合、資源の代替を確保する手段の検討も必要です。

発動基準や体制を整備する

BCP対策を策定するためには必ず「BCP対策の発動基準」と「BCP対策発動時の体制」を明確にする必要があります。発動基準が曖昧になると、発動に時間がかかり損害が大きくなる可能性があります。緊急時は冷静な判断が難しくなるため、事前にチームを組成しトップダウンで素早く動くことができるようにしましょう。誰が指示を受けて実際にどのような行動をとるのか細かい部分まで具体的に決めることで、緊急時の混乱を防ぐ事が出来ます。

BCP対策を成功させるために必要なポイント

BCPの方針を明確化させる

最後にBCP対策を成功させるためのポイントをいくつかご説明します。BCP対策を成功させるためのポイントとして、BCP対策の方針を明確化させる必要があります。自社で中核を担う事業が何なのか、自社の事業全体を把握して必要な優先順位を明確にします。非常事態が起こったときに、優先度の高い事業を継続することだけに注力することができるため、企業としての被害を最小限に抑える事が出来ます。BCP対策の方針を固めるためにも、企業として何を優先して守るべきかを把握する必要があります。

継続的なテストと改善を行う

BCP対策の制度を上げるには、継続的にテストと改善を行うことが重要です。策定内容に沿ってテストを行うことで、BCP対策の内容に問題がないか検証しましょう。そこで課題を洗い出し、その都度計画を改善していきます。完成したBCP対策がうまく機能するかどうかは実際に緊急時にならないとわからない点が多いかもしれません。しかし、BCP対策に対して意識を高めるためにも、緊急時を想定したテストを継続的に行うことが大切です。また、実際に発動して収束したら、問題がなかったか振り返り、次につなげるようにしましょう。

BCP対策に対する意識を社内全体で統一させる

BCP対策を成功させるためには、BCP対策を策定するだけではなく、BCP対策に対する意識を全社で統一しなければなりません。BCP対策において計画とマニュアルを策定しただけでは、いざというときに活用できないからです。本社のほかに支社があるような企業は、1か所でもBCP対策に対する意識が低いだけでBCP対策は機能しなくなってしまいます。BCP対策は決められた内容やマニュアルを基に意識づけすることが重要です。

復旧の優先順位や目標時間を決める

BCP対策を成功させるための必要なポイントとして、復旧の優先順位や目標時間を決定することも大切です。自社の業務がどのくらいの期間停止すると信頼性が失われるのかという視点から逆算してタイムリミットを決定します。あらかじめ優先順位を決定し、目標時間を推測しておくことは、緊急時の混乱を防ぎ早急に復旧させるために必要です。取引先や顧客との信頼関係を崩さないためにも、推測できる範囲内での復旧時間は決定しておくことが望ましいでしょう。

まとめ

BCP対策を導入して非常事態時の対策を図ろう

BCP対策は、災害や有事の非常事態に見舞われた際に事業をいかに継続できるかという計画です。不可抗力ではありますが、事業を継続できなくなるということは、企業として生き残ることが難しい上、万が一の備えがあるかどうかは企業の信頼性にも大きく影響します。また、BCP対策を行うことによって、緊急時に被害を抑え、社員の暮らしも守る事が出来ます。早い段階からBCP対策を実行し、事業、従業員、社会的信頼を守る体制を万全に整えておきましょう。

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