記事更新日:2020年06月05日 | 初回公開日:2017年06月06日
外国人採用・雇用 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報 グローバル経済 厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、外国人を採用した際の届出が義務化された平成19年以降、その数は増加しています。
届け出義務化以降初めての統計である平成20年10月末時点では、76,811か所の事業所が486,398人の外国人労働者を採用しましたが最新の平成28年10月末時点では172,798か所の事業所が1,083,769人の外国人労働者を採用しました。これは、平成27年度と比べても事務所数は13.5%の増加、外国人労働者数は19.4%の増加となりました。このように、外国人労働者の採用数自体の増加とともに外国人労働者を採用する事業所数も増えています。
外国人労働者数が増加した背景としては、政府や企業が、卒業後も日本へ留まる留学生の就労支援を行ったり、高度外国人材の受け入れを増やしたりしていることが挙げられます。また、この「外国人雇用状況」の届出状況まとめは、留学生などが資格外活動許可を取ってするアルバイトなども含まれるため、雇用形態を問わず外国人労働者全体が増加していると言えます。
2019年4月1日から、外国人労働者の受け入れを拡大するために新たな制度が施行されました。その新たな制度により、これまでは認められてこなかった外国人の単純労働が認められるようになりました。
改正入管法で新設される在留資格は、2種類があります。
(1)一定の知識・日本語力を要する「1号」(通算5年まで、家族帯同不可)
(2)熟練した技能が必要な「2号」(在留期間更新可、配偶者と子の帯同可)
また政府は、人数の上限を初年度は最大4万7550人、5年間で最大34万5150人受け入れると定めました。2019年4月1日から運用が始まったのは特定技能1号です。特定技能1,2では下記の14業種が対象です。
厚生労働省
* 介護
* ビルクリーニング業
農林水産省農業省
* 農業
* 漁業
* 飲食料品製造業
* 外食業
経済産業省
* 素形材産業
* 産業機械製造業
* 電子・電気機器関連産業
国土交通省
* 建設業
* 造船・舶用工業
* 自動車整備業
* 航空業
* 宿泊業
製造業 | 23.5% |
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卸売業・小売業 | 16.3% |
宿泊業・飲食サービス業 | 14.3% |
その他 | 45.9% |
日本は超少子高齢化社会であり、労働人口は減少の一途をたどっています。さらに、多くの新入社員は勤務地に東京や大阪を希望するため、地方では人材不足が続き問題になっています。その結果、今後様々な業種、特に中小企業で深刻な労働人口不足が起こっています。そして、その対策の一つが外国人労働者の採用です。
事業所規模別に事業所を見てみると、500人以上の規模で外国人労働者を採用している事業所数は7245か所と、外国人労働者を採用している事業所全体のうち4.2%なのに対し、30人未満規模で外国人労働者を採用している事業所数は97,951か所であり、全体の56.7%を占めています。
さらに、産業別に見た場合は製造業が23.5%、卸売業・小売業が16.9%、宿泊業・飲食サービス業が14.3%を占めています。また、前年と比べると製造業で働く外国人労働者の割合が減少している一方で、建設業で働く外国人労働者の割合が増加しています。
日本で外国人労働者を採用する企業が増えているのは前述した通りですが、実際、現場では様々なことが問題となっているようです。
まず、日本人と外国人の意思疎通が取りづらいという問題があります。原因として日本語特有の「曖昧な表現」が挙げられます。日本人同士であれば、曖昧な表現で伝えることで角が立たないと思いがちですが、外国人への曖昧な表現は誤解を招く可能性があります。多くの外国人は、はっきりと具体的に伝えてもらったほうが、後から意思のくいちがいが生まれず、お互いに気持ち良く仕事ができると考えています。
また、生まれ育った文化の違いから、すれ違いが起きる可能性もあります。例えば、日本では謙遜が美徳と思われがちなので、自身や自社を落とすことで相手を持ち上げるような会話がなされることがあります。しかし、外国人のほとんどにはそういった謙遜の文化がありません。例えば、日本では手土産を「つまらないものですが」と伝えて手渡しますが、外国人にとっては「つまらないものをわざわざ渡すのか」と疑問に思うものです。
また、日本人の謙遜の文化とは逆に、外国人の中には自分の主張をはっきり言うように教育される国から来る人もいます。
このような文化の違いにより、日本人も外国人も共にお互いの常識が通じず、お互いにフラストレーションが溜まり、大きなトラブルに繋がる可能性があります。
最低賃金法は、日本で働く全ての人が対象になっています。そのため、外国人労働者も例外ではありません。外国人労働者を採用した際に、最低賃金未満で雇用すると罰せられます。また、渡航費や就労ビザの取得までの費用なども企業が負担する可能性があります。
優秀な人材が多いため人気な外国人人材ですが、外国人の雇用を行う際に最も大きな問題となるのが、就労ビザです。外国人が日本で働く場合、例外なく就労ビザを持っている必要があります。
就労ビザとは、外国人の日本での労働が政府によって許可されたという証明書です。就労ビザには様々な種類のものがあり、外国人が行う業務内容によって適切な就労ビザを取得する必要があります。
就労ビザを取得するには複雑な手続きが必要です。また、申請すれば全員が取得できるものではありません。そのため、せっかく外国人を雇用したのにビザの許可がおりず雇った外国人が母国に帰国しなければならなくなったなどのトラブルもあります。
ビザトラブルは、正しい知識があれば回避できる問題であるため外国人の雇用をお考えの方は「日本で働く外国人の就労ビザ。種類と準備から申請までを一気に解決しよう」をご覧ください。
外国人を採用することによって上で挙げたような問題も生まれますが、外国人を採用することで得られる多くのメリットもあります。
外国人労働者は母国の国よりも日本で働くことを選んでいるため、チャレンジ精神が旺盛な人材が多く見受けられます。それ故に外国人労働者は会社の知名度で働く場所を選ばず、職務内容で選ぶ傾向があり、自分のキャリアで達成したいゴールを明確に持っている人材が多いです。
また、日本人とは異なる考え方やバックグラウンドを持っているからこそ、日本人社員と外国人人材との交流によって今までに無かった発想が生まれ、社全体の活性化も期待できます。加えて、物事をはっきりと伝えることが多い外国人がいることで、社内会議が活発なものとなるでしょう。
多様性とイノベーション力には正の相関関係があるという調査結果があります。様々な国籍の外国人人材を雇用することで、社内の活性化のみでなく会社のイノベーション力が向上し業績アップが見込めます。
さらに、外国人労働者、特に母国語と日本語の両方を使うことができるバイリンガル、マルチリンガルの人材がいることで、海外進出を視野に入れて企業運営ができるようになります。現地の言語や生活習慣、食習慣といった文化の違いを理解した人材がいることは心強いものです。また、現地の企業からの信用度も高くなるというメリットもあります。今後日本国内だけでなく国外に向けてのビジネス展開も視野に入れるのならば、やはり外国人労働者の存在は必要だと考えられます。
外国人の採用から定着まで徹底サポート
まずは、外国人を雇用するために必ず必要な就労ビザ申請の支援を行う必要があります。ビザを申請してから、申請許可が降りるまで3ヶ月ほどかかるため前もって準備をする必要があります。
上でもお伝えした通り、就労ビザ申請は複雑なため専属の行政書士を雇う企業も多いです。
外国人労働者を雇用した際、または外国人労働者が離職した際は、その外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等を厚生労働大臣へ届け出る必要があります。これは義務ですので、外国人を雇用した際は忘れずに行うようにしましょう。
外国人雇用に関する疑問等があれば、厚生労働省の外国人雇用アドバイザーが無料で行っているためご利用ください。
外国人労働者を常時10人以上雇用する場合は、外国人労働者雇用管理責任者の選任が必要になります。そのため、外国人労働者を常時10人以上雇用する予定がある場合は、事前に責任者を選任する準備が必要になります。これは、厚生労働大臣が外国人労働者の雇用動向について把握するための制度です。
厚生労働省によると、不法就労とは下記のように定められています。
1.我が国に不法に入国・上陸したり、在留期間を超えて不法に残留したりするなどして、正規の在留資格を持たない外国人が行う収入を伴う活動
2.正規の在留資格を持っている外国人でも、許可を受けずに、与えられた在留資格以外の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動
このような不法就労外国人を雇用した事業主は、入管法73条2項により、3年以下の懲役、又は、300万円以下の罰金に処せられます。
先ほどお伝えしたように、様々な文化を持つ社員が混同して働く職場では、異文化理解がとても重要になります。異文化理解をせずに働き続けると社員同士の衝突が起こり、職場環境が悪くなります。それを防ぐために、異文化コミュニケーションの理解を深める研修を開く企業が多いです。
また、異文化コミュニケーション研修以外にも、言語によるコミュニケーションも重要になってくるため、日本人社員には英語研修、外国人社員には日本語研修を行う企業も多くあります。
日本人社員と外国人社員がストレスを感じずに働ける職場環境を作るには、社内書類の多言語化をするべきでしょう。
また、海外では日本とは異なる給与体系や評価指標があるため、異なる文化を理解した給与体系やキャリアパスを整備する必要があります。
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