記事更新日:2020年10月30日 | 初回公開日:2020年10月08日
人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンド人事考課は、昨今人事評価と同じ意味合いで使われるケースが多く、ほぼ大きな違いはないと捉えても差し支えありません。より厳密にいえば、人事考課は先にも述べたように社員の総合評価を査定に反映する為の人事制度。一方で、人事評価は人事考課と同じく業務とその成績を評価するというものですが、査定の為という目的は明確に示されていません。これらのことから一般的に、人事評価の大きな概念の中に人事考課が含まれているとされています。
社員を公平に査定するということが人事考課の1つ目の目的です。もし確固とした評価制度がなかったり、考課者である上司が部下の働きを把握していなかったりして、成果に対応していない評価をされたとしたらどうでしょうか。社員は業務へのモチベーションを失い、仕事のクオリティーが低下していきますよね。それだけではなく最終的には、企業の業績悪化を招きかねません。その対策として多くの企業で人事考課が導入されています。
人事考課の目的2つ目は、社員の能力把握と向上です。よりレベルの高い仕事をしてもらう為には、社員一人ひとりの現状の能力を把握することが必須。長所や短所を分析し、OJTなど社員育成時の参考にしていきます。新卒や中途社員を部署に受け入れたものの、その人材の能力を把握出来ておらず有効に活かせない場合や、育成マニュアルに沿った柔軟性に欠けた指導をしてしまうケースも。それでは人材の持ち腐れになりかねません。そのような状況を踏まえ、人事考課を導入している企業が多いとされています。
まず、期が始まる前に明確な目標を社員に設定してもらいます。その後、上司がそれを確認し双方が納得する目標に作り上げていきます。また口頭で話してしまうと、忘れてしまう可能性がありますよね。そこで活用したいのが、人事考課シート。このシートは人事部から各部署に配布するのが一般的とされ、部署毎ではなく全社共通の評価基準が明記されています。目標を記載する欄もあるので忘れる心配もなく、かつ社員が評価基準をいつでも確認でき、非常に有効であると言えます。
次に、目標設定した期間に応じ、査定のタイミングで自己評価してもらいましょう。自己評価する上で、適正な評価を社員それぞれにしてもらう事が大切になり、社員への評価基準の周知は欠かせません。また評価する際に、抽象的な表現で記載してしまう人が多いとされています。営業職であれば数値を用いたり、事務職であればいかに効率的に業務を遂行したかを見える可したりするなど、具体的な内容で人事考課シートに明記してもらいましょう。
最後に、上司による評価とフィードバックをしていきましょう。社員の目標と実際の業務を比較し、最終的に評価していきます。その後、評価をもとに健闘した点と、改善が必要な点を人事考課シートに記載し社員へフィードバック。このプロセスは、来季に向けた新たな目標を設定する時に重要になるだけではなく、社員の意欲向上および維持の為にも不可欠です。考課者は、出来るだけ具体的な評価とフィードバックをするよう心がけましょう。
評価業務考課は、設定した目標に対する実現度を評価する項目です。すなわち、仕事の結果を査定するもので、期の最初に設定した目標の達成度や成績で評価していきます。企業の利益に直接反映される項目の為、非常に重要。一方で、業務考課に評価の重きを置いてしまうと、プロセスを軽視しがちになってしまう可能性もあるため、注意が必要です。一般的に、役職が付いている管理職にはこの項目の重きをおき、新卒や中堅社員には軽くするとバランスが取れて良いと言われています。
能力考課は、業務を通し身につけた能力を評価する項目です。その能力として重要視されているのは、高いレベルで業務が行える知識を保有し、発揮できる保有能力と発揮能力。そして、まだ表には出ていないものの、成長のポテンシャルである潜在能力の3つがあります。先の2つの能力は、同じ業務であってもより高い成果を挙げたり、効率的なやり方を取り入れたりした社員が評価されるべき、という人事考課の概念においても非常に重要。また潜在能力は、将来性を測り評価する能力ゆえ、平等に評価することが難しいので、慎重に判断しましょう。
情意考課は、日々の業務に対するやる気を様々な観点から評価する項目です。能力があり目標に対する成果を挙げていても、仕事に対する熱意や意欲がない社員であれば、組織にとってはプラスになりません。それ故この評価項目では、協調性と責任感、積極性や規律性が重視されています。社員同士の良好な関係性やチームワークを築く為にも必要になりますよね。評価する際は、上司だけではなく、同じチームメンバーや同僚、そして後輩など多方面からヒアリングすると良いでしょう。
目標管理能力考課は、自分で設定した目標へのアプローチ過程を評価する項目です。能力考課とは異なり結果ではなく、目標達成までのプロセスなど過程を重視しています。MBO(Management by Objectives)と言われる目標管理制度を活用し、上司が目標を設定するのではなく社員自身が目標を設定。結果として業務への意欲を高め、成長を促すことを目的としています。経営学者であるピーター・ドラッカーが提唱し、アメリカの大手企業で採用。今では全世界で導入されています。
メリット1つ目は、社員の士気が上がるという事です。上司と面談しながら目標設定や評価、フィードバックを行う人事考課。不明点があればその場で直接上司に確認でき、相互にコミュニケーションを取りながら、両者が納得のいく評価をすることが可能。人事考課を取り入れることで、人の手とはいえども比較的公正な評価が行われ、社員のモチベーションが上がっていきます。結果として、社員の企業に対する信頼度や満足度の向上だけではなく、離職率の低下にもつながっていくとされています。
メリット2つ目は、企業目標を社員へ明確に示すことができるという事です。人事考課の評価基準は基本的に、人事部が決定し各部署へ配布。故に、全社的な企業目標に沿った評価基準が作成されます。高い評価を得るには企業目標を理解し、それに基づき業務に取り組む必要がありますよね。また自動的に企業と社員のベクトルのズレを修正し、統一する効果もあるとされています。それらの理由から、人事考課は従業員数が多い大企業や拡大思考のベンチャー企業には、特に有効と言えるでしょう。
デメリットは、手間と時間がかかるという事です。まず企業理念を反映した評価基準を作成。この基準が曖昧なものでは伝わりにくい為、検証と修正を繰り返し作り上げることが絶対条件。その後、目標設定をし査定のタイミングで上司が評価していきます。故に、すぐに評価ができる訳ではなく、ある程度の判断期間が必要となってきます。また考課者は、常にその基準で被考課者を注視しなければなりません。この点を踏まえた上で、長期的な視点を持ち実施していくことが大切です。
人事考課を導入する上で注意すべき点1つ目は、評価する考課者の判断能力です。もしその人が、人事考課についての知識がない場合、適切な評価が出来ません。これは人間が評価する場合に起きてしまうヒューマンエラーとされ、人事考課エラーとも呼ばれています。評価項目の1つが非常に良かった場合に、他の項目も自動的に良い評価にしてしまうハロー効果。また最初の印象に縛られ評価してしまう第一印象効果などが挙げられます。これらのエラーは完全に防ぐ事は難しいですが、事前に考課者へ通知しておく事でエラーを起こすリスクを最小限に出来ます。
注意すべき点2つ目は、設定した目標以外の業務を蔑ろにしてしまう可能性があるということです。これは社員が人事考課制度について理解していない場合に起こりやすい現象。人事考課は目標への達成度だけではなく、それまでのプロセスやいかに効率的に業務を遂行したか、また業務への熱意やチームへの貢献度などを総合的に判断する制度です。その事を目標設定の段階で、事前に伝えておくと目標へのコミットだけではなく、その他の業務へ柔軟に対応するようになるのでオススメです。
人事考課は、社員を公正に、判断できるだけではなく、導入する事で社員の意欲向上と離職率低下をもたらします。そして人事考課では、4つの評価項目に基づき多角的に社員を評価し、その結果を査定に反映していきます。また考課者と被考課者が制度についてしっかりと認識していることも重要なポイント。今回は人事考課とは何か、そして実際に導入する際に注意すべき点を中心に提示させていただきました。人事考課で正当な評価をし社員の統率と意欲向上を図ってみてはいかがでしょうか。
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